想い出を盗んで

やさしさにさよなら

コメント、メッセージ歓迎です。必ず返事します。

インド映画「バルフィ!人生に唄えば」

2014-11-17 21:48:00 | 日記
この前、また、インド映画を映画館で観た。それは「バルフィ!人生に唄えば」という映画。「耳と言語が不自由な青年との出会いを機に生きる喜びを取り戻していく人々の姿を描いている」。一人は人妻(インドでは人妻が夫以外の男性に心惹かれるという設定が人気なんだろうか)、一人は心の病を持つ若い女性。

体が不自由な人や、心に病を持つ人が主人公の映画、感動の映画・・・と聞くとつい敬遠してしまいがちな僕なので、今回も観る前はほとんど期待していなかった。場面が過去、現在と、行ったり来たりするので、少し、分かりづらかったが、2時間30分の上映時間が長いと感じられないほど、面白く感動的だった。韓流映画や、中国映画にははまらなかったが、インド映画にははまりそうな予感。

主人公のバルフィはハンディキャップはあるが、悪戯好きでの、心は純真な青年。

・・・

「悪人」について・・・

僕がまだ10代のハングリーで「青い」頃、僕の辞書に「清濁併せ呑む」というフレーズはなかった。

「真善美」、つまり、正しいもの、善いもの、美しいものへ憧れていた。それなりに正義感もあった。だから、大正時代の「人道主義、理想主義、 自我・生命の肯定などを旗印に掲げた」「白樺派」の武者小路実篤や志賀直哉などの小説が好きだったのかもしれない。その延長でプラトニックラブにも憧れて。だから、「嘘、悪、醜」を描く現代小説なんて読む気にもなれなかった。

その後、自分なりにいろんなことを経験してくると、黒いことも経験している訳で、いつしか心は「茶色」に染まり、否応なく「清濁併せ呑んでいる」。そう言えば、僕の好きな池波正太郎の時代小説にも、「盗人などの悪人は時として善いことをする。」というような文章が時々、出てくる。

だから、せめて、時には、美しいものや善いものに触れたいという願望があるのかもしれない。

その点、吉田 修一の小説は、読むと心が洗われる、とまでは言わないけど、何かしら自分にまだ残っているかもしれない「善い人」の部分に気づかせてくれるのかも。

自分は「いい人」なんて言うのは嫌味だし、そういう人に限って本当は「いい人」ではなかったりする。僕だって、胸に手をあてれば、自己嫌悪になるような過ちが山ほどある。今でも思い出し、「ああ~」と声をあげたくなるようなことが星の数ほどあるのです。

・・・

※あなたは「いい人」と言われたことがありますか。