ウクレレ漫談家の牧伸二(本名:大井守常)さん(78)が2013年4月29日未明、東京都大田区田園調布本町の丸子橋から多摩川に転落し、死亡したことが同日わかった。警視庁田園調布署は自殺の可能性が高いと見て調べている。
毎日新聞の報道などによると、29日0時過ぎ、橋の上から男性が飛び込むのを通行人が目撃、110番通報した。男性は牧さんで、駆けつけた警察官が病院に搬送したが間もなく死亡が確認された。遺書などは見つかっていないという。
牧さんは1957年、漫談家の故・牧野周一さんに弟子入り。「あーやんなっちゃった」などと歌うウクレレ漫談で人気を博した。
「芸人はいつでも舞台に立って、お客の拍手を浴びていたいもの。だから、舞台があればそこに行く」-。東京都大田区の橋から飛び降り、亡くなった牧伸二さんはベテラン芸人らしく、以前の取材に対して芸に対する思いを語っていた。
2002年に脳出血で倒れた牧さんは左手足に後遺症が残ったが、リハビリで克服。闘病を語る講演のほか、仲間の芸人と高齢者施設での公演に力を入れていた。「ギャラが目的じゃない。お客さんが喜んでくれることが一番」と語っていた。
政治家ら時の権力者らを鋭く風刺したウクレレ漫談で文化庁長官賞を受賞したが、「誰が上、誰が下、それはファンが決めるもの。役所や寄席が決めるものではない。舞台に立てば芸人は一匹おおかみだから、自分のやりたいことをやりますよ」と芸人の心意気を語っていた。
僕らの世代には、少なくとも僕には、牧伸二さんといえば、「大正テレビ寄席」だ。日曜正午からの演芸番組。大正製薬一社提供。僕の小学生時代。「大正テレビ寄席」が始まったのは1963年だという。僕が6、7歳の頃。毎週日曜日、楽しみにしていたテレビ番組だった。特に司会の牧伸二さんが大好きだった。毎週番組冒頭、牧伸二さんのウクレレ漫談があるんだけれど、いつも短いので不満だった。もっと牧伸二のウクレレ漫談がいっぱい見たいのに‥、といつも思ってた。好きだったなあ、「大正テレビ寄席」。漫才と落語と途中からコントも入って来たけど、僕は漫才が好きだったな。落語でも子供ウケするようなのは好きだった。コロムビア・トップライトとかは駄目だった。やはり小学生だし、大人向けネタは難しくて駄目だったな。途中から東京コミックショーとかね。楽しかったなあ、子供時代のテレビ。
牧伸二さんの「ロゼット洗顔パスタ」のCMで歌ってた歌、なんて懐かしいな。♪あ~あ嫌んなっちゃった、あ~ああ驚いた‥。
牧伸二さん、78歳か。別に寝たきりでもないし、車椅子でもないし、自分で歩けて自分の身の回りのことは自分で出来てたんだろうに、橋から飛び降りる体力があったんだろうに、どうして自分で死んじゃったんだろうなあ。借金苦、生活苦でもないだろうに。解らないなあ。仕事も持ってるし、仲間も居るし。自殺に赴く心境って、やはり「行き詰まり」だろうし。生き詰まり。
老齢になると、なかなか明日への希望みたいな心境は見出しにくいものだろうけど。やっぱ、若い頃、40歳代くらいまでの体力とかエネルギッシュ、バイタリティーとかって、高齢になって見ると、本当に凄いものだもんなあ。
牧伸二さん、僕が子供の頃、思いきり楽しませてくれてどうもありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。
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