「黄金の罠(わな)」などの作品で知られるSF作家の田中光二さん(71)が29日に東京都内の墓地で自殺を図っていたことが警視庁などへの取材でわかった。救急搬送され、軽傷という。
捜査関係者などによると、田中さんは29日午前、港区の霊園内にある家族の墓の前で、首と手首を包丁で刺したという。
田中さんは1979年に「血と黄金」で角川小説賞、80年に「黄金の罠」で吉川英治文学新人賞をそれぞれ受賞。88〜91年には日本SF作家クラブの会長も務めた。
吉川英治文学新人賞などを受賞した小説家、田中光二さん(71)が、東京都港区の霊園にある家族の墓の前で自殺を図っていたことが30日、警視庁への取材で分かった。田中さんは病院に搬送されたが、軽傷で命に別条はないという。
同庁によると、田中さんは29日午前、港区の家族の墓の前で、首と手首を包丁で切りつけ、自殺を図った。田中さんは、個人的な悩みを抱えていたという。
田中さんはNHKを退職後、SFや冒険小説、架空戦記などを執筆して人気を集めた。昭和54年、「血と黄金」で角川小説賞、翌年に「黄金の罠」で吉川英治文学新人賞を受賞。日本SF作家クラブ会長も務めた。
田中光二さんは、僕の青春時代のヒーローの一人です。僕は子供時代からSF世界が大好きで、僕の20代前半は一番、SFに熱中していた時代です。もっとも、子供時代は手塚治虫を代表とするSF漫画で、ですけど、16歳から小説読書を始めた僕は、19歳か20歳頃からSF小説に夢中になり始め、20代前半は特に、日本のSF文学シーンにどっぷり浸かっていました。1978年冬に公開された「未知との遭遇」や78年夏に公開された「スターウォーズ」というハリウッドSF大作が牽引して、日本に初めてSFブームが訪れ、国内SFアニメも隆盛し、文庫本に日本SF小説作品が大量に揃えられ、星新一、小松左京や筒井康隆がメジャー作家となり、あのサンリオがSF文庫を創刊して海外SFを紹介し、日本のSF専門誌が4誌も定期発行された。まあ、このSFブームはそんなに長くは続かなかったけど。サンリオSF文庫もすぐになくなっちゃったし。
この日本初のSFブームの時代に台頭して来た若きSF作家たち、平井和正、豊田有恒、半村良、鏡明、山田正紀、眉村卓‥、そして田中光二。みんなこの時代のSFの若きヒーローたちでした。僕がSFに熱中していたのは長く見れば70年代後半から80年代前半。特に夢中になっていたのは77年頃から80年代初頭頃でしょうか。この当時は僕は、日本のSF専門誌、「SFアドベンチャー」「SFマガジン」「奇想天外」「SF宝石」の4誌を毎号購読していました。田中光二さんの作品は、よく、このSF雑誌で読みました。田中光二さんのエッセイや連載コラム、時折、対談も掲載されていて、それらも興味津々で読んでました。田中光二さんの小説で、雑誌連載で毎号楽しみに読んでいたのは「大宇宙の狼-アッシュ-」シリーズや「エクソシスト探偵」シリーズ。短編作品は単行本か文庫で読んでいると思う。田中光二さんは、今では、僕の青春時代の郷愁が胸によみがえる懐かしい作家さんです。おもしろエッセイ本、「僕はエイリアン」なんて、田中光二さんの真面目で優しい人柄が出ていて、あの当時、好きな一冊でしたね。ちょっと後になるけど、日本のハードボイルドシーンで大沢在昌が出て来た時、北方謙三と田中光二の三者対談を読んだのも印象深く憶えています。
田中光二さんは、戦中戦後時代の無頼派の作家、田中英光氏の息子さんですね。僕は田中英光氏の小説を読んだことはなかったけれど、僕が青年の時から、田中英光氏が太宰治の墓前で自殺した作家、という話はよく知っていました。実際は墓前で自殺を謀り、搬送先の病院で死亡したものらしいですが。奇しくもといっていいのか、同じ作家の父親と同じように自殺を試みるとは‥。田中光二さん、71歳かあ。これまでの著作の作品群を見てみると、膨大な量ですね。僕がSFに熱中していた時代、SF人気の下火になった後も、冒険もの主体に、ハードボイルドや探偵小説、推理小説、アクション小説などなど、エンタティンメント文学を大量に執筆されて来ています。大ベストセラー作家という程ではなかったにしろ、それなりの人気作家で来てこられていた方だと思うのですが。コアなファンも居たと思います。71歳。いったい何があったのか? 自殺を考えるほどの迷い、悩み、苦しみ‥。僕の青春時代のヒーローには、自殺などは考えないで欲しいですね。ヒーローに自殺は似合わない。雄大な宇宙空間を駆け巡るヒロイックファンタジー、「大宇宙の狼-アッシュ-」のスーパーヒーロー、アッシュのように、ひたすら強く。 て思いたい。
田中光二さんていうと思い出すのが「エデンの戦士」。「エデンの戦士」は田中光二さんの1976年発表の小説ですが、僕の思い出は漫画版です。漫画版も1976年で、当時の週刊少年チャンピオン誌上に連載されていました。作画は真崎守さん。
核で壊滅的打撃を受けた地球上で人類が滅び、その後、ようやく放射能が薄らいで来た、100年後だっけ(?)か、忘れた、とにかくすごい長年月後に冷凍睡眠から目覚めた人類最後の生き残りの男女が、地球上の別々の大陸上で目覚め、お互いを求めて原始太古の姿に戻った荒野の地球上をさまよい歩く‥。とかいうサヴァイバル冒険SF物語。
僕は、あの時代、少年漫画誌を買って読むことはなかったんですけど、当時の職場に行くと、毎週、若い社員がチャンピオンを買って来ていて(勿論、僕も若かったけど)、僕は昼休みにロッカールームで毎号読んで、特に、「エデンの戦士」は好きな漫画でした。元々、真崎守の漫画絵柄が好きだったし。毎週、あの時代のチャンピオンは、「がきデカ」と「ブラックジャック」と「エデンの戦士」は楽しみだった。
「出会ってオ××コしちゃったら爆発しちゃったよ!」、先輩の言葉。僕は当時の週刊少年チャンピオンで「エデンの戦士」最終回を見逃していたんで、漫画「エデンの戦士」最終回読んだ、職場の先輩に決着ストーリー尋ねると、先輩はそう答えた。多分、サヴァイバルを生き抜いてやっと出会えた未来世界のアダムとイブは、お互いを確認しあったら地球規模で大爆発しちゃったということだったんじゃないのかなあ(?)。何か、そういうふうになるようにセットされていたとか。僕はその後、秋田書店のコミックス全2巻で再読を果たしているような気がするんだけど、定かでないし、ストーリー細部はもうほとんど憶えていない。やっと出会えて地球ごと爆発じゃ辻褄が合わないけど、いったいどうだったんだろうな? 結論はまるで記憶にない。少年週刊誌の掲載だから、「出会ってオ××コ」シーンは描かれてないと思うんだけど、ま、そういうことなんだろう、という話なのか(?)。それとも、当時の若くてロマンティック好きで青臭い僕に対して、男臭く大人の男の先輩がイライラして浴びせた言い方だったのか。辻褄合わないけど、そういう話だったんだろうな。人類としてはまるで救いの無い‥。知らないけど。










