碧田直の いいじゃないか。

演劇ユニット、ミルクディッパー主宰の碧田直が、日々を過ごして、あれこれ思ったことを、自由気ままに綴ります。

無題そのごひゃくななじゅうなな

2017-11-16 21:16:48 | 日々
今日は快晴。午後から雲が出た。

ほぼ週一のペースでバイト先に来る同僚と、二日ぶりの対面。仕事に来るのは一週間ぶりだが、二日前に近くで別の仕事をしていたとかで、わざわざ事務所に寄って、お茶の差し入れをしてくれた。だから会うのは二日ぶりとなるが、彼が近くで働いていたからと、差し入れをしてくれるのは、これが初めてではない。過去に何度もあり、そのたびに、差し入れなんかいらないから、自分の食べるものでも買ってと言うものの、それでも買ってくる。いい人と言えば、こんないい人はいないというくらいの、いい人である。
本当のことを言うと、週一とはいえ、仕事を通じて付き合っていくうちに、彼が本当に、人間としてはやさしすぎることに一抹の不安を覚えていた。たしかに、いい人であるのは素晴らしいし、どうしてもの用事ができたときなどにバイトを代わってもらって、俺自身、彼のいい人の恩恵に預かっているのだが、あまりにいい人すぎて、そこをつけこまれるのではないかと思っていたのだ。彼は二人の子持ちでもあるし、あのやさしさが返って仇になりはしないか、ひいては、それが彼に不幸を招くのではないかと。
それが、今日少しばかり払拭された。とあるバイトの人間関係での懸案事項を、俺と二人で喋っていたら、彼が「のんびり、おだやかに仕事ができる環境ならいいですよね」と、まさにおだやかに口にした後、同じような口調で「どうせ使い物にならない人間の集まりなんだから」とつぶやいたのだ。
驚いた。何ともブラックな発言ではないか。自虐的でもあるし、毒もある。俺は笑うしかなかったのだが、同時に安心もした。彼は神様ではなかった。そのやさしさには、たぶん限度があって、彼の中でもさまざまな感情が入り混じっているのだ。彼は、人間だったのだ。
正直、人間的にどうかと思う奥さんにこき使われ、彼はきっと早死にしてしまうと思っていただけに、今日の発見は俺をホッとさせた。このブラックさがあれば、ギリギリのところで自分は守れる。問題は本当にギリすぎて、手遅れになってしまうことだが、どうにか彼は切り抜けるだろう。人がいいだけでは、生きていけないときがある。おそらく、彼は大丈夫だ。
明日はバイト後に観劇。長い一日になるだろう。ではまた明日。
コメント
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