失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「ブルーライト・ヨコハマ」 種ともこ 1991年

2012-04-13 | 
種ともこの12thシングルは、小西康陽によるオーバープロデュースの見本のような作品。

①ブルーライト・ヨコハマ
作詞:橋本淳、作曲:筒美京平、編曲:種ともこ・小西康陽
casting starring: tomoko tane / screen play by yasuharu konishi / poetry reading by maki nomiya
オリジナルはいしだあゆみ、1968年。いしだあゆみ最大のヒットであり、筒美京平の代表作のひとつ。
ジャジーでラウンジーなピアノが響く導入部から、アンビエントなイントロ+波の音のSEをバックに野宮真貴が語り出す。「日曜の夜遅く 私たちふたりは 中華料理のレストランで ご飯を食べた」野宮さんの声とクールなバックトラックが溶け合う快感。続いて「エビのシュウマイと お茶と 椎茸と豆腐 牛肉と野菜炒め フカヒレのおそば そして最後にタピオカを注文した」とメニューが淡々と並べられる部分がどうにもエロいのだ。さすが小西さん、分かってらっしゃる。
種さんが「♪街の灯りが~」と歌い出すのは2分30秒あたり。緻密なひとりコーラスを重ねている種ともこの個性が活かされているかといえば、そうでもない。小西さんの京平好きは有名だが、このカヴァーから楽曲に対する愛を感じとるのは難しい。いや、もちろん大好きなのだろう。むしろ「好き」を超えた作品だからこそガチンコ対決は避け、ピチカートに加入したばかりの野宮真貴という武器をナレーションで使う変化球勝負に出たのではないか。全体で8分超の長尺で、結局印象に残るのは野宮さんの声(おそらく小西さんの狙いどおり)。上記のクレジットとは逆に、野宮さんが主演女優で、種さんの歌はBGMか映画のエンドロールのように聴こえてしまう。

②NAKED WOMAN
作詞・作曲・編曲:種ともこ
こちらはSSW種さんの本領発揮。①からの流れはあんまりよくないな。

定価800円、中古で315円。
チャイナドレスできめた種ともこ。遠景に見えるは、もちろん横浜マリンタワー。


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