金属中毒

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プロポーズ小作戦104

2009-09-14 01:50:11 | コードギアス
プロポーズ小作戦104
2021年2月10日

返答はすぐには無かった。
それは天子の心を傷つけたが、星刻の側にすればどの件かわからなかったのだ。
何しろ殺した人数ならあの裏切り騎士に匹敵するほどだ。
そのどれが天子様のお心に傷を付けたのか。
星刻がようやくどの件かわかったのは天子の次の言葉を聞いてからである。

「ニュースで見たの。中華は売人だけでなく中毒者も処刑していると。
それをさせているのは」

天子の声が震えた。
「星刻」

「ジノが教えてくれたの。ずっと前にも似たようなことがあって、その時も中華は中毒者も処分したと」
「カレンさんとお話したの。日本では中毒者は被害者として治療されていると」
そのことはもちろん星刻も知っていた。しかし、日本と中華ではそもそも国の規模が違う。中毒者を保護することなど物理的に不可能だ。
また国民性の違いもある。日本でも中毒者が薬欲しさの為に犯罪に走ることはある。ただ、日本の場合それは個人の犯罪にとどまる。
対して中華ではたやすく暴動や反乱につながる。




もし天子が最初にジノの名を出していなければ、星刻はいつもの微笑みをうかべて天子に説明しただろう。今の中華には国民を保護するだけの力がないのだと。また長い間の悪政で国民に政府とは自分達を圧迫・搾取する存在だと思いこまれていること。
国民の思いを変えるためにも一日でも早く国を安定させねばならないこと。その為に不穏な行動の元となる中毒者を野放しにはできないこと。安心して暮らせる国を早く造らなければますます麻薬の類にのめりこむ国民が増えてしまうこと。
平和の為に未来の為に、今はあえて剣をふるうべきときであること。
これらのことを丁重に説明したはずだった。
天子にとってこういった国の事情を理解し、それを推し進めることはつらいことだ。
それでも天子は理解し納得しようと努めるはずだった。信頼し、大好きな星刻が教えてくれるなら。

しかし、この夜星刻が声にしたのは
「それはジノが言ったからですか」
いらだちを含んだ詰問だった。


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