金属中毒

鋼のファンサイト。ラッセルを軸に。両兄弟の愛憎とロイエド、そして25年もの純愛アームストロングラッセルを絡める

すあし7

2012-05-27 21:57:43 | APH
 すあし7
 納得できない人は山ほどいるが、やはりダントツでドイツをあげるべきだろう。なぜ急に帰国したのか?自分が寝ている間に何かあったのか、まさかとは思うがなにしろあの場には世界の愛欲担当たるフランシスがいた。当人は愛の国とかほざいているようだが、もしや桜に不埒なまねをしたのではないか。そんなことがあっては自分を信頼して妹を預けてくれた日本に顔向けができない。いや、兄がいたのだしそういう事態は無いと思うが。
 しかし、それではまさか、兄が桜に不純異性行為を働いたのではないか?
考えると同時にそれだけは無いとドイツの理性が否定する。愛弟子の妹たる桜は兄にとっては妹も同然である。
 だが兄も酔っていただろう。そして桜はかよわい少女だ。兄がその気になれば簡単に取り押さえ意のままにできる。ドイツは考えてしまった。ついまじめに考えてしまった。
 桜は小さい。細い。淡い。手首なぞドイツの半分も無いだろう。兄好みのさらさらでふわふわで。兄にかまわれてちょっと困ったようにでも楽しそうに笑っている顔を思い出す。
 
 桜がドイツに来てから1年もたっていない、それも桜はベルリンではなくボンにいたため顔を合わす機会もそう多くない。その多くない記憶のなか桜はいつも兄にかまわれていた。
 いつもは兄からかまわれている愛犬たちがさみしそうにするほど、兄は桜から離れなかった。それはまわりへの牽制もあるようだが、兄自身が桜を離したくないようなのだ。溺愛という言葉が自然にうかんでくる。
 その割には桜の帰国に対して兄は落ち着いている。電話はしているようだがとくに問い詰めたりもしていない。電話の内容も相変わらずの童話の読み聞かせであるらしい。
 よくわからないなとドイツは思う。兄が桜を好んでいるのは理解できるが、それはどういう領域なのか。
そんなことを深く考えているせいか夢を見た。夢の中の桜は白い着物姿で、兄はもう袖を通すことの無いプロイセンブルーの軍服だった。
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すあし6

2012-04-27 13:42:37 | APH
すあし6

 いきなり帰国しました。と言われて納得する人は少ないだろう。特に今回、本田桜の帰国には誰一人納得できなかった。

 まずはちょっと意外な人から例示しよう。
 カナダである。あまり知られていないがカナダの誕生日は7月である。大抵の国と同じくカナダも誕生日は国を挙げてお祝いする。外国の観光客もたくさん来るし、高級ホテルは予約で埋まる。
 国の化身には様々な特権がある。高級ホテルの利用権もそのひとつだが、今までカナダはその特権を使ったことは無い。ところが今年は早々にそれを予約した。しかも最高級のスイートルームを、ダブルで7日間である。
 報告を受けたカナダの上司は(スローペースのうちのお国様もようやくそういうお付き合いをする相手ができたのだな)と喜んだ。ところが予約は取り消されてしまった。
 それをさりげなく上司が問うと、カナダは答えた。
「今年は一緒に桜を連れて行くからと聞いたから予約したんです」
 「ギルベルトさんも来てくれないかもしれない。本田さんどうして急に帰国させたのか、・・・アルフレッドなら聞いているかもしれないけど」
 後半の言葉はつぶやきになったが上司はしっかり耳にした。
(はて、うちのマシューの楽しみにしていた相手はどういう者なのか)
相手が国家でなく州や県レベルでそのために気を使っているのなら、国賓ではなくても別の名目で招待してもいい。かわいいマシューの大事な相手ならカナダ政府としては大歓迎である。
 数ヵ月後、本田桜あてにカナダ政府から届いた招待状に「油断しました」とつぶやいたのは菊。妹を変化させたのはてっきりフランスかギルベルトかと思っていたのに、まさかカナダとは!!!「許しませんよ」黒くつぶやく日本。妹の桜がそもそも個体としてのカナダを認識していない事に気が付くまで、菊はカナダ産のサーモンを食べなかった。


 さて、数ヶ月先の話はともかくとして、宴会の翌日に戻そう。
 もちろん一番納得できないのはギルベルトである。桜が連れ去られてすぐ菊に連絡している。と言うのも桜は庭に出ているところをいきなり連れ出されたので携帯を部屋に置いたままだった。
 「おい、どういうことだ」
師匠時代の強い口調で問われた菊は、おもわず八橋無しの答えを返してしまった。
「わかりません。でも私には桜が要るんです」
弟子の言葉で心情面での原因を察したギルベルト。それは兄であり修道会でもあるギルの察しの良さである。
 それでも直接のきっかけがあったはず、というわけでフランシスはギルとトーニョにダブルでぼこられた。
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すあし5

2012-04-20 19:59:47 | APH
すあし5

 フランシス以外の男達はなぜこんなことになったのかなどは気にしていない。
当事者の桜は感覚の波に揺らぐだけでせいいっぱい。もうおぼれかけている。唇が震える。Aの形に開かれる。
 お、いいな。そう思ったフランシスは携帯を出して、写真を1枚。それをすぐ添付して菊に送ってやった。




 結果を先に書けばこのメールを見た菊は真っ青になって、官邸に夜間訪問。
 わけがわからず鯉のように口をぱくつかせるばかりの総理に命令書を突き付けてサインさせる。翌日、スペインの日本大使館員が高級車で乗りつけ、口を開く暇もない国たちをしりめに桜をさらい帰国させた。

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すあし4

2012-02-13 02:52:20 | Weblog
おやおや、どうしてこんなことになっているかな。
声には出さずフランスはつぶやく。
ちょっと自分がいなかった隙に悪友たちは何か楽しそうな事をしている。
フランシスは声をかけようかと思ったが、おもしろそうだったので様子を見ることにした。

うーん、菊ちゃんに写メで送ってやりたいような顔だよ。この子もこういう顔できるんだね。でもどうせならお兄さんといるときにこういう顔してくれたらいいのに。

 どうやら兄の菊にしっかり注意されたらしく、桜はフランシスに用心している。
そんなに用心しなくてもお兄さんは嫌がる女の子に手を出したりしないのに。もちろん女の子が自主的にお兄さんを迎え入れてくれるようになるための策は講じるけどね。
 フランシスにとっては恋愛以前の駆け引きも楽しいものだ。
ただ、よほどきつく言われたらしく桜の用心は強い。それにギルベルトである。ギル本人は桜に触りたい放題しているのに、フランシスがちょっと近づこうものなら無言で威嚇してくる。ところが桜本人はギルが触ってくる意味をまるでわかっていない。桜の目にはギルは恋愛対象として認識されていない。桜の言動を見るに孫のような存在と思っているらしい。
 
 不憫なやつだね。見てるぶんはおもしろいけど。
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すあし3

2012-02-13 02:30:52 | APH
すあし3

 熱い冷たい海が伝わる
ぱしゃり。水の音がする。その音に桜はうっかりと目を閉じた。すると自分がどこにいるのか、どういう状況なのかを忘れた。産まれたときの記憶。両足が暖かい水に浸り、この地のモノになるとわかった始まりの記憶。それが今の感覚とつながる。

 もう少し時間があれば、桜の表情の異常さに彼女に触れている男たちは気がついただろう。この時、冷たい手の男は桜の足の爪の内側を優しくなぞるのに集中していた。桜本人の手さえめったに触れないそこは、湯につかっていたせいもあり湿っていた。爪の堅さといつも守られている皮膚のたよりなさに同時に触れて、体温の低い男はそれを新しい感覚として認識した。一方でスペインは赤くなっている桜の肌にオリーブオイルを塗りこんでいた。暖かい手の男は普段のおおざっぱな雰囲気とは裏腹に丁寧にやわらかに塗りこんでいく。もう少し時間があれば、二人の男は自分たちが触れている女が快感を感じていることに気がついただろう。しかし、ここで第3の男が部屋に入った。食器をかたずけたフランスが部屋に入ってきた。
 
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素足

2012-02-06 00:40:22 | APH
素足2

 どうしてこんなことになってしまったのかしら。
はぁ、と心だけでつぶやく。すると、聞こえているはずもないのに、赤い瞳が見上げてくる。
どくん。ただ、見上げられているだけなのになぜか違う人のように見える。いつも見慣れているのは、射るような強い瞳。そして私だけに見せる顔、孫のように甘ったれてくる瞳。そのどちらでも無い。うるんでいるように見えるのはきっと彼が酔っているから。私を見上げているからではないの。そうよね。みんな酔っているの。だからこんなことになっているだけ。

 右足の小指をこする熱い指の感覚。右足を持ち上げているのは太陽に国、スペイン。
 左足の薬指をくすぐる少し冷たい指。左足を持ち上げるのは、かっての軍国。

冷たい感触が小指の爪をくすぐる。爪、伸びていなかったかしら。桜は思う。前に切ったのは7日前。足のつめは伸びるのが遅いけど、さすがに少し伸びていた。そのほんの少しの爪を男の手が丁寧に洗う。男にしては柔らかい感触の指がいくども爪の表面をすべる。こするほど強くなく、でも存在を忘れさせない圧感で。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 
桜は呼吸を止めて数字を数えた。
少しでも落ち着くために。そうしないとうっかり声を出してしまいそうだ。
それから気がつく。数えている数字のリズムが冷たい手の男が爪にふれるのと同じタイミングであることに。
 熱い冷たい波打っている。いくつもの感覚を足の爪が伝える。
自分たちは国の化身である身だから、いま触れられている部分は私のどこなのかしら。私の始まった淤能碁呂島(おのごろじま)は滴り落ちて産まれたから
 数字を数えなくなってから桜の思考は乱れた。

 
 
 
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素足

2012-01-10 12:26:19 | Weblog
いきなりこの題名です。
実は、某ぴくしぶで絵をテーマにと言う企画があって、末席を汚させていただこうと思い立ちました。
 
 すあし。はだし、むき出しの足

プロイセンがいるとドイツはすぐ潰れちゃうんだよ。安心するんじゃないかな。
じゃがいもやろーがいるとばか弟はすぐ寝ちまいやがる。

 年末の宴会で一番に寝てしまったのは北イタリア。幸せそうな顔を見ながらジョッキを空にし次の瞬間爆睡したのはドイツ。
 ほんとうにお兄様の教えてくださった通りですね。
もう一人の日本である本田桜はほほえましい気分で愛らしい孫世代達を見た。
と、その視線が引っ張られた。強い力ではない。でも有無を言わせない意思のこもった力。
「ドイツさんもイタリア君もかわいらしいですね」
にっこり笑って桜は自分を引き寄せた男を見る。いつものように自分の隣を独占し、しばしば甘えてくるかわいい男プロイセンがいつものように彼女を見下ろす。これは身長差のせいで特別の意図は無い。
 この時点ではプロイセンも上機嫌だった。
 さて、ぐっすり眠ったイタリアとドイツをスペインとプロイセンが部屋に運んだ。
先に宴会室に戻ったのはスペイン。このとき桜は少し行儀が悪いとは思いながら、足袋の上から足をさすっていた。和服は着慣れているしぞうりも履きなれているがヨーロッパの固い石畳は勝手が違った。たぶんあちこち赤くなっているだろう。
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ぼくとけっこんしてくにになろうその10

2011-12-14 13:41:31 | APH


 あの2度目の世界大戦終了時にフランシスは言った。「この際、ドイツを5つに分けて管理しよう」
つまり戦勝国のフランス・イギリス・アメリカ・ロシアで分割管理しようと主張した。
あの時フランシスの提案が受け入れられていれば、フランシスの悪友は今も現役の国だったはずだ。

 勝者である連合国のうち4カ国で分割するのに5分割、お気づきの方も居るだろう。この時点でフランシスはギルベルトをベルリンを中心とした独立国とし、他にイギリス保護国のハノーバー連合、ロシア保護国の東部連合、アメリカ保護国の南部連合、フランス保護国の西部連合に分割しようとした。
 そこに『ドイツ』の生き残る余地は無い。なぜか?ごく簡単なことだ。
 フランシスは『ドイツ』を嫌いだったから。

 現在の両国を、EUの2枚看板と呼ばれる両国を知る読者から見れば、フランシスが『ドイツ』を消したいほど嫌いなのは理解できないだろう。2011年時点でフランスとドイツはヨーロッパをまとめる相棒として、お互いを深く信頼し敬愛している。だが考えてほしい。これは1945年頃の話である。

 ルートヴィッヒの公式デビューは1870年戦争、つまり普仏戦争。この時ルートは最初は国家体現者ではなく、将校の1人として参戦した。ギルベルトとしてはかわいい弟の最初の戦、絶対に勝たしてやりたい。その国としてのデビューを栄光で飾ってやりたいという気持ちが強かった。またフリッツ親父のあこがれだったフランスの文化に、弟や弟を支える若い世代を触れさせたい気持ちもあった。だから、一応の制圧がすんだ後、ギルベルトはパリの管理を弟と若い世代に任せた。
 
 さて、管理を任せてどうなったか。パリ・コミューンの蜂起。それは、フランス人同士の虐殺になった。
歴史をかじった人ならわかるだろうが、パリ・コミューンは階級闘争、資本家と労働者の対立でありもともとフランス人同士の戦いである。つまりフランス革命の続きのようなものだ。 資本家は占領軍のドイツ軍に共同作戦を求め、パリ市民の虐殺に走った。このときドイツ軍はパリを包囲したがあまり積極的に虐殺に参加しなかった。
 え、今の話のどこにドイツを嫌う理由があるの?と、疑問を持たれるかもしれない。ここはフランシスの感情の問題である。もしパリを占領しているのがギルだったらフランス人同士の虐殺にはならず、強力無比なプロイセン軍がパリ・コミューンをもっと効率的に制圧しただろうにとの想いが消えない。

 それ、甘えじゃないの。そんなふうに言われればそうだと答えるしかないが、結局は感情の問題である。
また、その後の二度の大戦もドイツは何度もヘタを打ち、だらだらと戦争を長引かせた。終戦時のフランシスはときおり自我が不安定になるほどボロボロだった。
 そんな未熟者のドイツに国を任せたことに対して、プロイセンの責任を追及する人もいるだろう。実際この後行われた、プロイセン解体は保護者監督責任を問うたのだ。子供がガラスを割ったので、子供の代わりに親が謝りに来いと強制したわけである。
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ぼくとけっこんしてくにになろうその9,5

2011-12-06 00:40:29 | APH
 ぼくとけっこんしてくにになろうその9、5 

 感動という言葉で締めくくれるその9話であったが、実はその数分後ギルベルトは真っ赤な顔と涙目で副官のところに走り戻っている。
 「どうしたのです?」
明らかに動揺している若い…外見は若い…上司を受け止めて、副官は鋭く問うた。大選帝侯から直接命じられている。「プロイセンは強いが、ギルベルトはまだこどもだ。くれぐれもギルベルトを守るように」と。
「なんでもない」
言葉では言いきるが今にも落っこちそうな涙が言葉を裏切る。
副官はギルベルトが走ってきた方向に小隊を向かわせた。敵ではないと思うが、われらの大事なお国様を泣かせた悪いやつをほおっておくことはできない。われらのお国様はいまちょうど思春期頃の外見をしている。戦場の気配をまとわないときのギルベルトは良家のおぼっちゃまに見える。それが高級将校の軍服をまとっているので、悪い女にでもからかわれたのかもしれない。
小隊は焚き火の跡を見ただけで不埒者を見つけることはできなかった。

  
 


 
 この護衛隊長はこの後もギルベルトにずっと付いていた。誰とでも打ち解けるようで、実際には人みしりの強いギルはあまり周囲の人間が入れ替わるのを好まなかった。その退役の日、護衛隊長はふと聞いてみた。あの時どうしたのですかと。
 ギルはあの時のようにまっかな顔になって、さすがにもう涙はうかばなかったが「尻、なぜられた」
 
 フランシスの記憶をもとに再構成した9話にはこの文章は入っていない。フランシスにとっては魅力的な存在に手を出すのは当たり前すぎて印象に残らなかったのだろう。
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ぼくとけっこんしてくにになろう9回目

2011-11-20 22:04:11 | APH
ぼくとけっこんしてくにになろう9回目 正当なリンチの記憶
 
 ヘタしたら2桁まで主人公も相方も出番なし・・・だな、これは。

南部の州。第2次大戦の後、東西分裂のおり「これでプロイセンと縁が切れる」と喜んだ。 
南部の州がプロイセンを嫌った理由、そもそもはプロイセンが成り上がりであること。そのプロイセンに無理やり統一され、独立国で無くなったこと。

 ただし、ドイツ統一の餌にされぼこぼこにされたフランシスには別の意見がある。
確かに北部ドイツは軍事力で北ドイツ連邦として統一されたが、南部の連中は違う。あいつらはこのお兄さんをぼこりたいというだけで帝国ドイツに自ら加わったのだ。つまり本来なら南部の連中にはプロイセンに文句を言う資格は無い。現にゲルマンの国であっても統一ドイツ帝国に加わらなかった国もある。ルクセンブルグは今も独立国である。
 フランシスの正直な感情としては、ドイツの南部の州よりもこの時に自主独立を選んだ小国への評価は高い。[ルクセンブルグはもともとフランス系の血が強く心情的にもフランス寄りだった]。


 (ベルリンにもお兄さんの子供たちはいっぱいいたんだけど)
プロイセン現役時代、フランシスの子供達の一部は[フランス人であるプロイセン国民]として幸福に暮らしていた。子供達のほとんどはプロテスタントで、フランス王ルイ16世に迫害追放され(火刑の公式記録がある)路頭に迷うところだった。それを救ってくれたのが大選定公。内密に連絡を取り足弱の年寄りや子供たちを護衛までしてくれた。
その護衛の中に目立つ銀髪の士官がいた。『ジル!』隠れて付いてきたフランシスは思わず叫んでしまった。たかが難民の受け入れに国家様本人が来るとは!

     

参考までに  1985年10月ルイ14世がナントの勅令を廃止。新教徒への迫害火刑略奪が始まる。翌月には選定公のポツダム勅令が出る。当時としては驚くべきスピード対応である。新教徒達は2万人以上が避難していき、1700年頃にはベルリンの人口の3分の1が新教徒のフランス人になった。

「よぉ、久しぶり」
ギルベルトはフランシスに気が付いていた。だからさほど驚きもせず声をかけ護衛の隊列を離れた。
 季節の挨拶から始めるような仲ではない。殺し合い、殴り合い、そのすぐ後に酔いつぶれるまで飲み合い、馬鹿な遊びを共にする二人の国家達はすぐに本題の話を始めた。当然使うのはお国様だけが使う国体語である。
「俺の子供達を頼む」
「もう俺のガキどもだぜ」
「ダンケ」
フランシスはあれこれ言わず、ドイツ語で礼を述べた。
隊列の兵が大声でそろそろ出発すると告げた。足弱の老人に合わせてなので隊列の進みは遅い。
「お前、もう帰れ。俺のガキは俺が守る」
ギルは乱暴な口調で、さらに付いてこようとするフランシスを押し戻した。すでにフランス国境を越えている。これ以上進むことはフランシスの身を危うくする。

 口調も所作も乱暴だが、それが自分の身を思ってのことだとわかっているからフランシスは素直に受け入れた。だが、すぐに隊列に戻ろうとするギルの肩を押さえた。
「何だ?」
「ルイ王は避難民に混ぜて工作員をお前の国に入れるつもりだ」
フランシスの声が低くなる。
「ま、それくらいのことはするだろうな」
ギルの返答はあっさりしている。
「俺が調べられるだけの工作員の名をここに書いてきた」
フランシスは隠し持っていた羊皮紙の束を出した。これを渡したくてフランシスは危険を犯した。まさか、途中でギルに会えるとは思わなかったが。
「ふーん」
その羊皮紙の束がどれほどの重さがあるのか。その価値の重さを知っているから逆にギルは軽く返答した。
フランシスは上司である王に部分的ではあっても逆らったのだ。それが国の体現にとってどれほどの決意であるか。
「俺の子供だったやつがお前のところで騒ぎを起こせば、他の子供達のことも疑われる。お前の上司が受け入れてくれなくなったらあいつらには生きる場所が無い」
だから危険を犯した。王の愛人達やら貴族の婦人達やらの寝室で聞き出して、それでもわからないスパイの名を知るため軍の書類室に潜入さえした。
常に似合わぬ沈痛な表情でフランシスは羊皮紙の束を差し出した。
「おい、休憩のついでだ。めしに付き合え」
どかりと座りギルはすばやく焚き火を用意した。
フランシスは羊皮紙を握り締めたままだ。力の入りすぎた手は血が流れにくくなって真っ白になっている。
つられてフランシスは座った。
「おい、それよこせ」
すっと簡単に羊皮紙の束がギルの手に移った。
ぱさり。
軽い音がした。
羊皮紙の束は特有の獣臭い臭いを出して炎に包まれた。
「ジル!」
「俺の昔の総長が言った。『人はだめと言われたらやりたくなるし、疑われたら反抗したくなる。強制されたらやる気を失くす。一番いいのは本人が自分からやりたくなるように環境を整えてやることだよ』そいつらだって好きで工作員になったわけじゃないだろ」
「ギル」
「そいつらが自分から『プロイセンでずっと生きていたくなる』ようにしてやる」
ギルはその言葉を実行してくれた。

フランシスの手が黒い血のしみをなぜた。ギル、お前は変わらず子供達を守ろうとした。あの時と同じように身を張って。「国として当然のことだぜ」あの時と同じように高笑いして。それなのに、『ドイツ』がお前を傷つけた。



あの夜、まだドイツが統一の喜びで酔いしれていた頃、ギルはフランス国境に近いドイツ南部で刺された。
  

   
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ぼくとけっこんしてくにになろうその8

2011-10-22 23:26:38 | APH
ぼくとけっこんしてくにになろう8回目

 G8の内容は経済エネルギー人権など多岐にわたる。日本の復興振りが話題に出たり、あれだけの災害を受けてこの時期にパリまで来れるほど菊が元気になれるとは,日本国民の底力恐るべしと言うところである。
日本に言わせれば、それは復興を助けてくれた世界の人々のおかげである。特に遠方にもかかわらず救助犬まで連れてきてくれたドイツ、さらに険悪な空気だったにも関わらず作戦を展開してくれたアメリカには深く感謝している。
 
 2011年5月27日、会議は終わった。なんだかんだ言いつつ今回はなごやかであった。ただ1国をのぞいては。 その1国の隣人であるフランシスはパリの自宅に直接帰らず隠れ家に寄った。
 わずかに期待していたのだが、ギルベルトからの連絡はこの隠れ家にも無かった。郵便物もメールも何もない。留守電も空っぽのままだ。いつもならしばらくここに来れないときはメールなり留守電なりにメッセージがある。それすらも今回は無い。まるでプロイセンという存在が消えてしまったかのように。
 
 背中に走った悪寒をフランシスは否定した。そんなはずはない。あのうるさすぎるぐらいやかましい男が消えるはずなど無い。ギルは王を、国名を、土地を、国民を、政府を、地図上の名さえも失っても生き延びた。あのギルが消えるはずはない。背中に走った悪寒は寒さのせいだ。
 5月も末であるのに石造りの建築物は寒い。暖房を入れればいいのだが一人ではそんな手間を掛ける気にならず、フランシスは足元のムートンの敷物を拾い膝にかけた。

 ギルはしょっちゅうこの敷物の上で猫みたいに丸くなって寝ていた。寝心地のいいベッドも大きなソファもあるのになぜだかギルは床の上で眠る。だからフランシスは床を埋め尽くすように暖かい敷物やら毛皮やらを敷き詰めた。ギルがどこで眠ってもいいように。ギルがここで眠っていた最後の記憶は昨年の10月。ドイツ再統一20周式典が終わった後である。それまで公式行事にはほとんだ姿を見せなかったギルがこの式典には出席した。久しぶりの公式行事に疲れたのか、ギルはこのムートンの上で丸くなっていた。

 不安がフランシスの背中を押した。携帯を開きドイツの電話番号を押す。心配も限界だ。ギルのことはドイツに訊けばいい。それが一番早い。大丈夫だ。あいつらは兄弟だ。それも同じドイツだ。フランシスは自分に言い聞かせながら携帯のボタンを押した。最後のキーを押そうとする手が止まった。

 あり得ないと思いたいが、もしも、ギルが消えていたら。
フランシスは携帯を握りしめる。余分なキーにあたったらしく画面の表示がエラーになる。
 もしもギルが消えていたとしたら、あの若い国はそれを受け入れられるだろうか。兄の死を否定し兄はどこかの居ると信じ込むのではないか。他国である自分がギルの事を訊くことによってそのバランスを崩れたら。 昨今の世界は安定しているようだが、現実には今もあちこちで戦火があがっている。フランス軍も戦場にいる。NATO軍も戦場にいる。
 あの二回目の大戦を「最後の戦争」とさらりと言える日本は、奇跡の国だ。
 もしルートが大きなショックを受け、そのショックを一人で処理できなければどうなるか。国民が影響をうけ、それはたやすくヨーロッパの不和につながる。その影響はいまだに分権傾向の強いドイツをたやすく引き裂くだろう。
 フランシスの手から携帯が落ちた。携帯の落ちた床には黒ずんだ染みがあった。
フランシスはその染みの理由を知っている。それはギルベルトの血の痕。20年、もうすぐ21年になる、ドイツが統一に酔っていたころ、ドイツの州によってリンチを受けたプロイセンが流した血。
 


 
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ちょつと覚書

2011-10-08 10:52:09 | Weblog
テンプル ほとんどフランス人 ユーグはフランス語 フランスににらまれる拷問財産没収火刑 魂の救済すら受けられない最低の死刑 自ら使うのはいつもフランス語(つぶやきも思考も) 後は必要に応じて数各国語使用 外見はフランスに似ている。好戦的 戦闘に特化(どこのサ○ヤ人ですか)

ヨハネ最後までイスラムと戦った 地中海の島を転々とした。ロードス マルタ 今マルタで病院経営 ラテン語 フランス語 フランス スペイン ドイツ  大地を持たない唯一の国家として国連加盟

ドイツ騎士団 全部ドイツ人 貴族の2男3男ばっかり 
東方植民 バルト海 のちのプロイセン ドイツ統一 見方によれば社会的に一番成功したのはドイツ騎士団
ラテン語フランス語ギリシア語スペイン語ドイツ語

本人たちは気が付いていないが3騎士団の固有能力(誰かな、ギアスとか言ってるのは)
テンプル ユーグ 想いを強化、鼓舞する
ヨハネ  ヨハネ 想い(慾)を浄化する カトリックの告解に適応している
ドイツ  ギル  想いを純化する。目的とする。この性質が後にプロテスタントに適応しやすかった1因。
         ギルのこの能力はプロイセン統一・ドイツ統一に役立った。
後にユーグの火刑により、ユーグの能力は兄弟に宿る。ユーグの最後の叫び「生きろ」が祝福(呪い)の力を発揮。


1291アッコン陥落
この時ヨハネ騎士団を救うべく、当時の総長がギルを連れてアッコンに走った。目的はドイツ・ヨハネ騎士団の合併。
結局うまくいかず、傷心のギルはしばしヴェネチァでお休み。史実としてこのころドイツ騎士団の本部はヴェネチァにあった。
この時後のフェリと接触。
魂の本拠地ともいえるアッコンを失い、またエルサレム奪還の任を解かれ、仲間を失い、守るべき民を死なせ、己の存在価値を疑うギル。存在の不安定化。そんな時出合ったフェリ。…ギル側の認識のみでもいい。フェリは神聖ローマのことで手いっぱいでギルのことに気がつかない。この場合、美しいヴェネチァの街そのものが重要。守ってきたものは美しさ。フェリを見て、自分のやってきたことはこの愛らしい天使を守っていたのだ。意味があったのだ。
その誇りを抱いて東方に赴くギル。
これより幼年期を脱する。

プロイセンになってからもギルのこの誓いを変らず
  
ギル視点では
ロマーノ守るべき対象 神様に最も近い存在
フェリ守りたい対象
ドイツ守る対象弟
神聖ローマ敬愛の対象感謝の対象にいさま
ヨハネおにいちゃん
ユーグあにき
ブランデンブルグ相棒
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ひまわり セシウム 2000年 西暦3986年

2011-10-08 02:42:04 | APH
 人類が宇宙に出るのは必然だ。地球には寿命があり、それを超えさせるために神は人という存在を進化させたのだから。
そんな風に言ったのはどこのエスエフ学者だったか。あの時代なら誰でも言いそうだから創作かもしれない。

 かってプロイセンと呼ばれたギルベルトはこの1500年間地球と地球の周りを回るコロニー群を見ている。
自己管理型の監視衛星が今のギルの本体。
 
 ヒトガタをとった国が宇宙に住むようになったのはこの1500年ほど。
今や、コロニーにお国様がいるのは常識となった。コロニーに生まれたものは誰でも1度はお国様に会いそれによって国民意識を持つ。コロニーによっては幼少時にこの出会いの儀式をするが、たいていのコロニーでは成人式を兼ねて18歳頃行われる。

 ここ旧ソ連邦合同コロニーでも成人式を行う。若い国民を祝福するのは女性型のお国様、ウクライナ。
豊饒な大地を表象する豊かな胸に、たいていの若者は目をくぎ付けにされる。

 たいていのコロニーでは成人式は単なるお祝の式典にすぎない。
ただひとつ。旧ソ連合同コロニーを除いて。

 新成人の若者たちは儀式の最後にお国様からあるものがたりを聞く。それは1000年以上前。まだウクライナが地球にいたころのお話。

チェルノブイリという土地で起きた原発事故。その毒は意図的にベラルーシの地に降り注がれた。浄化の方法は無く、人はあの土地を救えないまま宇宙に出た。
「このコロニーには本当ならあと2人、国がいるはずだったの」
ウクライナは語る。若者たちが一度も習わない過去を。今のコロニーの政府はあの時代を事を無かったことにしたいらしく、若者たちにあの事故を含めほとんどのことを教えない。だからコロニーの民がこれを聞くのは一生に一度だけ。
 「妹のベラルーシは毒をこれ以上広げないために封印として石棺に入った。弟は、本来ならこのコロニーの中核になるはずの立場を捨てて、地上に残っている。今も地上にいるの」
 「何のために地上に」
若者の一人が尋ねた。
「ロシアちゃんもベラルーシもヒマワリが好きだったわ。いつか、ベラルーシが石棺を出る日のために地上をヒマワリで見たすために」

「そしてこれがお前たちの故郷の姿だ」
ふいに部屋にはいない男の声がした。
誰であるか、ウクライナには見なくても分かった。この1000年以上、年に一度だけウクライナに通信してくる男。一時期は家族でもあった存在。
「ギルベルトちゃん」
「よー、ウクライナねぇちゃん。一年ぶり。あいかわらずいい乳だな」
 天井の旧式の大モニター画面に黄金に輝く平原が写しだされた。
ズームが切り替わり、その平原が背の低いタイプのヒマワリであることがわかった。
 本来ならEUに所属する衛星であるプロイセンは年に一度だけ自分の意思のみで通信回線を開き、高感度カメラで地上のある場所を写す。
石棺のある場所を。
去年まで映像は荒れ果てた廃墟であった。
「イヴァンはやりとげたぜ」

1000年よりもっと前、地上に住んでいた人類の学者があることを見つけた。植物の中でただ一つヒマワリだけが放射性物質を取り込んで浄化できる。ただし、その能力は低く浄化のためには1000年はかかる。
人類は浄化をあきらめ、石棺を封印するにとどめた。その封印が壊れかけ、それを内側から支えるためベラルーシは石棺の中に入った。

イヴァンは石棺の周囲にヒマワリを植えようとしたが育たなかった。やがて人類は地上を離れ、ほとんどの国もそれについていった。
ただひとりイヴァンは地上に残り、ヨーロッパのはるか南の国、スペインの土地から始めヒマワリを植え続けた。少しづつ北へ妹の待つ土地へ。

年に一度だけ地上の様子が写される。始めての年から今まで映るのはただ廃墟と、その後でカメラの位置を変えて写されるヒマワリに覆われたヨーロッパ大陸。
始めてそこに違うものが映る。
ウクライナの瞳が大きく見開かれる。偶然歴史の生き証人になった今年の新成人たちも身じろぎもせず画面を見上げる。


 
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ひまわり セシウム 2000年

2011-09-23 06:38:27 | Weblog
セシウムを吸収すると期待されたヒマワリは、作付け時の土壌中に含まれる放射性セシウムの2000分の1しか除去できなかった。ヒマワリ以外に放射性セシウムを除去できるとみられる植物は見当たらないことから、植物による放射性セシウム除去法は使用できる段階にない、と農林水産省は評価している。

科学ニュースにこんな話がありました。まぁ、福島がらみですね。

そりゃ、2000分の1しか吸収しないんじゃ人間が利用する土地の再生法としては使えませんね。理屈では2000年かけて花を植え続ければきれいな大地に戻るわけですが。と、ここで思いだした。
 2000年は人にとっては絶望的な長さだけど国にとってはどうか。
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ぼくとけっこんしてくにになろう7回目

2011-09-04 22:24:47 | Weblog
今回のG8はなんだか昔のようだった。昔、王侯が国の支配者だった頃、くには王に従い戦争に軍議に他国との会合にパーティに活躍した。当時の国際会議では王の横にお国様がいるのは当たり前だった。
 今回パリで予備会合をした直後、フランス・イギリス・ドイツ・イタリア・アメリカ・カナダ・ロシアは上司に呼び出された。すぐにこっちの会議場に来いというのだ。理由もわからないまま車で走り会議室に入ると、上司8人と日本がいた。
 政権党交代でまだ間が無く、お国様との付き合い方をよく知らない日本の総理は、日本を上司用の会議室に同行させた。
日本だけお国様がいるのはバランスを欠くので他の7国も呼び出されたのだ。アメリカは「これからバーガー食べにいくのに」
とぶーぶー文句を言った。ドイツは眉間に皺を深くした。この時のこれはいつもの事なので誰も気にしなかった。
 日本は急に呼び出された7国にとても恐縮していたが、アメリカとドイツを除く5国は『上司の隣で参加する会議』を楽しんだ。フランスが正面に座るロシアに視線を送ると、いつも貼り付けた笑顔しか見せないこの北の国が本気で笑っていた。フランスも自分の上司に微笑みかけ、上司も軽くウィンクしてきた。
 日本の総理のカン違いで急に合同会議になったけど、これも悪くないと欧米の首脳達は思った。さんざん文句をたれたアメリカも上司にコーラとポテトを勧められると大喜びで横に座った。
 そんな、なんだかほんわかした雰囲気の会議室で一組だけ冷え冷えした国があった。
ドイツである
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