日常のちいさな旅

平 川 渚 Hirakawa Nagisa

作ったもの、見たもの  記録、お知らせ、報告

運針

2011年10月20日 | event
10月21日、22日、23日と静岡県掛川市で開催される「第13回 遠州横須賀街道ちっちゃな文化展」に参加します。
昨年一昨年もお世話になった 三熊野神社前の、戸塚邸倉庫をお借りして展示させてもらいます。




今回の内容は「運針」です

3日間、とても多くの人々が訪れるこの文化展
訪れた人の手で、キャンバスに絵を描くように 白い大きな布に 糸を縫いつけていってもらおうと思っています
訪れたみなさんと共に作品を作っていきたいと思います

気づいたらわりと 糸を使った作品をずっと作ってきて 最近、自分の糸に対する関わりとは別に 糸や一針に願いや祈りを込めるという 昔からされていたことを考えていまして

今回一枚、石巻に持っていく布を用意しようと思っています
文化展が終わったら その足で石巻に持っていきます

この企画をしようと思ったのは 前回石巻に行った時に、町の様々なところで 全国から集まったメッセージの寄せ書きや 短冊や 折鶴などをたくさん見かけて 
ひとつひとつのメッセージは読まないまでも こんな遠くからここのことを想って 送られてきているということに とても感銘がありました 想いがちゃんと伝わって来ていました
せっかく多くの人々が訪れるこのイベント なにか想いをのせるものを作れたらと思いました

それと この夏「福島大風呂敷」というものがあって 福島で行われる野外音楽イベントの際に、被爆を防ぐために芝生に敷く風呂敷を作ろうというものに少し参加したことがありました
余った布を縫い合わせて別府から送り それがまたつなぎあわされて 大きな風呂敷になったようです 

これに参加して 自分の気持ちがとても楽になった感覚がありました
震災後ずっと 何かしたいけど 何をしたらいいのかわからない もやもやとした気持ちでいて
具体的に手を動かして作ったことで すごく救われました
そういう同じような気持ちを抱えている人が多いのではないかと思って この布にそれを託してくれたらいいなと思っています

想いを 流す というのは 大事なことだと思います
それが叶うとか どうなるとかは また別のことで 糸や針にのせて 自分から流す ということが大事なんだと思います

どうなるのか うまくいくのかわからないけれど ともかくやってみようと思っています










カミサマホトケサマ

2011年10月19日 | info
由布院駅アートホールで 船尾修写真展「カミサマホトケサマ」が開催されています。
10月24日までです。

大分県の国東半島のいたるところに残る神仏習合の風習を 東京から移り住み7年間かけて撮った写真
ほんとうに素晴らしい写真です。

写真そのものも本当にすごいし 国東の風習がとんでもなくすごい 怖ろしいほどに 
それを当たり前のように 自分たちの日常の中で遂行している人々
身近にこんなところがあるなんて 全然知りませんでした

先日船尾さんを迎えてのアートフォーラムが開催され 参加してきました
食事をして 作家の言葉を聞いて 参加者も質問をしそれに作家がこたえる とても有意義な時間でした
ギャラリーの人 地元の人 旅館の人 観光の人 アーティスト 作家の友人 様々な人が自由に参加して一緒に過ごす 由布院らしい在り方だと思います


写真集「カミサマホトケサマ」これもとても素晴らしい本でした
文章を読んでいて鳥肌がたちました 何度か涙がでました

Amazonでも購入できるようです。






由布院駅アートホールの来年度の展示募集がはじまっています
10月31日締め切りです
下のページから申し込み用紙をダウンロードできます

http://www.yufuin.gr.jp/art/





石巻

2011年10月19日 | Weblog
9月の上旬、宮城県の石巻に行きました

友達が震災直後からずっと石巻にいて その友達をたずねて行くことができました

たった3日間だったけど、色々見させてもらって、色んな人に会うことができました


震災後 私はずっと 不思議な感覚でおりました
多分九州に暮らしている人は同じように感じていた人は多いのではないかと思いますが
報道で見る被災地の状況と、普段通り過ぎてゆく自分の周りの日常との あまりの距離に 現実感が伴わず とてつもなく大きなことが 確実に起こっていると頭ではわかっているのだけれど それがどういうことなのか よくわからないでいました

九州に住んでいても 被災地にボランティアに行った人 何かしらの支援活動をしている人 たくさんいます 
けれど私は何をすればいいのかよくわからなかった  というか自分のことにするのが怖かった
できれば自分に関係ないことにしておきたかったんだと思います

けれどもその友達から連絡をもらって その子の声で話を聞いて 行こうと思いました
何ができるかわからないけど ともかく行ってこようと。


九州からバスを乗り継いで石巻まで行きました
長い長い距離 けれど確実につながっているところ
自分の身の回りにいるような 普通の人たちが暮らしていました
ここで こういうことが起こったのかと ほんのほんの一片だろうけれど 少し実感をしました

本当にすごくすごく いろいろな事があるようでした
ニュースにはならないような とてつもない量の様々なことが 集積していました

その中で友達が言いました
ずっと同じ土地で代々漁師をしてきたような人たちが 家を失い もとの場所にはもう住むことができず 生き方を変えることを余儀なくされて みんなとても不安を抱えている 
今抱えている困ったこと、辛いことを 少しずらしていつもとは違うように見せられるような 少し違った価値観でとらえられるような そういうことが今必要だと思う と 

もしかしたら そういうことはアートやアーティストができることなのではないのだろうかと 思いました

何が正解か わからないけれど 間違っているかもしれないけれど とにかくいいと信じたことをやってみるのは ぜったい悪いことではないと思いました 


もう、知らない土地ではなくなった
また石巻に行こうと思いました