goo

恥を知らぬこと、どこ吹く風の如し:風林火山

(画像は、3年前のもの)
「前回の続き」
山梨県甲府駅には、甲斐の武将、武田信玄の像がある。
この武田信玄に仕えた山本勘助を主人公とした時代小説”風林火山”の影響から、
”風林火山”という言葉が、武田信玄の軍旗というイメージがあるけど…。
(恥ずかしながら、NAも、そう思っていたけど、ね)
武田信玄の軍旗には「疾如風 徐如林 侵掠如火 不動如山」と記されている。
この文面は、武田信玄が懇意にしていた快川(かいせん)和尚が、
孫子の兵法を部分的に引用したもの。

つまり、”風林火山”とは書かれていないし、
もちろん、武田信玄も”風林火山”とは言っていない。
だから、当然…、
古代中国の兵法家・孫子も、”風林火山”などとは言っていないのだが、
世の中にはデタラメを吹聴するものがいて、
間違ったイメージがばらまかれているといったところ。
もっとも、他人の受け売りを、
何の疑問も感じず自分の言葉のように語っていることは、案外と多く。
「人のふり見て、なんとやら・・・」と言うところ。
ちなみに孫子の言葉を記すなら…。
「戦争は、敵を欺くことを根本とし、利によって行動し、
分散したり、集合したりして変化するのである」
「したがって、わが軍略の敵に知られざることは、闇のごとく」
「進退の迅速なことは、風のごとく」
「ゆるやかに静かなことは、林のごとく。山のように泰然として動じず。」
「行軍は、迅雷のように早く。敵地を侵掠することは烈しい、火のごとく。」
「村々を掠め取って、兵に分配し、土地を奪って、
そこから上る収益を兵に分け与えよ。」
「そして、万事、この軽重利害を考えて行動する。」
何故か、迅速さにおける記述が、2回にわたってある。
始めは分からなかった。
まず言われる迅速さ“風”とは、風聞のこと。
つまり、戦略における情報の重要性を説いている。
情報の重要性を、知り尽くした孫子らしい。
次の行軍の早さにおける記述は、戦争の長期化による有害性も説いている。

国家にとって、「戦争の有害性」を説いた孫子。
「己を知り、敵を知り、地の利を知れば百戦して、百勝する」
「戦争の有害性を知らぬ者は、戦争の有益性も知らぬ」
軍事的な勝利が、戦争目的の達成ではない。

歴史は、兵法を巧みに用いるものによって、作られてきた。
孫子を含め、古代中国の諸子百家の思想は、実に興味深い。
(2020年7月誤字脱字訂正:続く)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 惑うこと、揺... おだやかざる... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。