憲治の教師修業

環境・エネルギーの授業

外来種問題を考える

2008-06-15 12:09:51 | Weblog

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外来種問題を考える


           作成者:中尾憲治(TOSS長崎 イキ壱岐サークル) 
           授業サイト希望者はこちらへ n-kenji@h2.dion.ne.jp
    
    <対象> 小学校高学年か中学生を対象とした授業です。
           理科や総合的な学習の時間を使って行ってください。


 先生の家の庭にある大きな木。朝夕の涼しい時間帯になると、
この木をピョンピョン跳び回る動物がいます。なんだと思いますか?
(難しい質問なので、意見が出ないときにはすぐ次のスライドを提示する)
 ○鳥   ○虫   ○リス

正解はタイワンリスです。
昔、壱岐には「リス村」という施設がありましたが、つぶれてしまい、
そこにいたリスが全部逃げ出してしまいました。
リスの様子です。台詞に合わせてクリックする)
「あっ、みかんだ」「食べちゃおう」「ごちそうさま~」

とってもかわいいリスですがリスが広がったことは、壱岐の人たちにどのように
思われているでしょうか。喜ばれていると思う人? 喜ばれていないと思う人?

タイワンリスによって、果物や野菜が食い荒らされています。
家の木で造られた部分も囓られています。
皮をはぎ取って、木を枯らしたりします。
さあ、皆さんならどうしますか?
 ○捕まえる   ○退治する

壱岐ではこのようにしています。リスを捕まえるためのかごは、
市が無料で貸し出してくれます。そして1匹捕まえると、800円で
引き取ってくれます。こうしてリスの数は少しずつ減ったのですが、
昨年1匹の引き取る値段を600円にしたので、また増えてしまいました。
そしたら今年は、また800円に戻ったんです。

壱岐のタイワンリスのように、他の所から人の手によって
持ち込まれた生物を「外来種」と言います。
一緒に言います。さんはい。
 ○外来種

どんな外来種を知っていますか?
(あまり意見が出ない場合は、クリックして名前を当てさせる)
 ○ワニガメ   ○ニジマス  ○ヘラクレスオオカブト  ○アライグマ
 ○ハクビシン  ○ブルーギル  ○プレーリードッグ  ○セアカゴケグモ

最近、外来種に関してこのような法律がつくられました。
「特定外来生物被害防止法」です。
簡単に言うとこのような法律です。□の中を一緒に読みます。
 『人間に迷惑をかける外来種をやっつけろ』

人間に迷惑をかけると言いましたが、外来種は一体何が問題に
なっているんでしょう?
 ○作物を荒らす   ○生態系を壊す   ○菌をまき散らす

いろんな事が問題になっていますが、今日は「生態系が壊される」と
いうことについて勉強していきます。

生態系を大きく3つに分けると、生産者・消費者・分解者となります。
それぞれ植物・動物・細菌をイメージするとわかりやすいでしょう。
この中に外来種が入ってきたとします。
そうすると自分をやっつける天敵がいないのでどんどん増えていきます。
その影響で餌となる植物は減っていきますが、その後はどうなりますか?
 ○外来種も減ってくる。

そうですね。1時的に数が減っても、この植物は少しずつ増えてくるでしょう。
特定の生物の数が増減することは、生態系ではよくあることで、
これは「生態系が壊れる」というのとは別次元の問題です。

種の絶滅などに書いてある「レッドデータブック」(環境省)から調べてみます。
現在日本の川や湖には、何種類ぐらいの外来種がいると思いますか?
(一人に発表させて、それよりも多いか少ないかで挙手確認する)

最近絶滅した在来種は何種類いると思いますか?
(2,3名に発表させて、答えを確認する)
外来種が60で絶滅した在来種が3ですから、個体数だけ考えれば
外来種によって数は増えていると考えることもできます。

さらに絶滅した3種類の魚の原因を調べてみました。
クニマスは発電、ミナミトミヨは交雑、スワモロコは農薬が影響したと
言われていて外来種が原因になったものは1つもありません。

本当に「生態系を破壊する」のは次の5つだと言われています。
(1文ずつ読ませていく) 
  ①地球温暖化による気候変動 
  ②伐採による熱帯雨林の減少 
  ③乱開発による自然環境の破壊 
  ④無秩序な捕獲 
  ⑤化学物質の放出
これらは全て人間が行うものばかりです。

植物の世界で考えてみます。
これらは日本中で作られている野菜や穀物ですが、実は全て外来種です。
何百年も昔に世界各国から伝えら、日本の中で大切に育てられてきました。
れどれも食事を作るのに大切なものばかりで、
「外来種だからこんなものはなくせ!」という人は一人もいません。

動物の外来種も、植物と同じように人間と仲良く暮らしていける方法を
一緒に探してみませんか?

<参考文献>   『環境問題のウソ』 池田清彦 ちくまプリマー新書

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