我が家の地球防衛艦隊

ヤマトマガジンで連載された宇宙戦艦ヤマト復活篇 第0部「アクエリアス・アルゴリズム」設定考証チームに参加しました。

新生地球防衛艦隊の兵備とドクトリン(宇宙戦艦ヤマト2202)

2017-07-08 12:34:28 | 宇宙戦艦ヤマト2202


ガミラス戦役(2199)で一度は壊滅したものの、時間断層の活用により2202の地球防衛艦隊は急ピッチで再建・増強が進んでいます。
第一章で登場した多数の波動エンジン搭載型旧来艦や5隻のアンドロメダ級に加えて、第二章では主力戦艦クラスD(ドレッドノート級前衛航宙艦/量産型高能力武装運用システム)が14隻も実戦配備されているだけでなく、時間断層内の巨大軍需工場では更に多くの同級艦の建造も進んでいるようです。
これらの兵備は統括司令副長の芹沢らが主導する『波動砲艦隊構想』に基づき建造されたものとされており、構想の根幹たるクラスD群の配備が一定程度進捗した段階で、それをバックアップする新型の小艦艇群(巡洋艦や駆逐艦クラス)も順次配備されていくのかもしれませんね(先日の舞台挨拶でもそれら艦艇の今後登場が示唆されたそうです)。

今現在、この新生地球防衛艦隊において、気になっている装備が三つあります。

1)収束圧縮型衝撃波砲
2)拡散波動砲
3)空母型アンドロメダの発艦システム

まずはアンドロメダやクラスD(ドレッドノート級)の主砲として採用された新型砲――収束圧縮型衝撃波砲――について考えてみたいと思います。
第五話の木星演習において、14隻のクラスDがマルチ隊形で主砲の一斉射撃を行うのですが、山南さんは以下のように命じます。

『各艦、エリア内ターゲットを10秒で掃討せよ』

本命令により砲撃が開始され、当該エリアに無数の閃光が発生します。
普通、戦艦級主砲の射撃時間として、10秒間という時間はひどく短く感じますが、発生した閃光の数からして、クラスD群は速射によって掃討を達成しているのでしょう。

そしてそれは、同じく第五話のヤマトに対するアンドロメダの凄まじいペースの射撃でも証明されます。
まるで速射砲のようなハイペースの射撃は、各砲に設置されたコンデンサ(主砲用エネルギーを蓄えている補機)によるものとの事で、多少飛躍して言えば、こうした補機による速射性能まで含めて“収束圧縮型衝撃波砲”というシステムなのだと思えます。

今のところ、新型の収束圧縮型衝撃波砲と既存の陽電子衝撃砲の差異は明示されていませんが、第二章のパンフに陽電子収束器の存在が語られているように、前者はよりエネルギー密度が高められ、破壊力や射程距離が増大しているのでしょう。
パンフには“射程距離”について書かれていませんが、収束率が高いほうがエネルギーの減衰・拡散を低いレベルで抑えられると思いますので、射程距離についても有利だと思います。

まとめると、この新型砲は口径を“あえて”控え目とすることでエネルギー使用量を低減しつつ、収束・圧縮によってエネルギー密度をアップし、長射程化と高貫通力を実現しているのでしょう。
更に、一発あたりのエネルギー量を低く抑えた事と、コンデンサというエネルギープールの併用によって、短時間ながらとてつもない速射性能を実現している――そんな情景が見えてきます。

小口径化については、特にクラスDの31センチという口径に威力面での不足を危惧される御意見もあるとは思いますが、ガミラス軍において比較的新しいハイゼラード級やメルトリア級の主砲が砲身式の330mm口径で、特に威力が不足する描写がない点からしても、必要十分と判断して良いのではないでしょうか。



さて、実際の戦場を想像した時、圧倒的多数の敵が真正面から襲い掛かってきた時、少数でそれを迎え撃たなければならないとしたら、どうするでしょうか?
降伏するケースを除いて誰もが思いつくのは“遠くから”“ハイペースで”“効率的に”敵を倒していくことでしょう。
先の述べた『収束圧縮型衝撃波砲』の特徴は、そうした目的に合致した兵器システムと感じますし、その点はもう一つの必殺兵器――拡散波動砲――の根幹と同じものに思えます。

1/1000ドレッドノート級の取説により、拡散波動砲の成立要素の一つに波動エネルギーの右旋波と左旋波にあることが明かされましたが・・・・・・そうした原理面の考察は置いておいて(笑)、ここでは現象面のみに注目します。
2202第一話において、アンドロメダはガトランティス艦隊と地球・ガミラス連合艦隊の遥か後方から拡散波動砲を発射しました。
その圧倒的威力と拡散ビームの個別照準に目を奪われがちですが、その射程距離も注目に値します。
通常砲戦を行っている艦隊戦の遥か後方、(当然、何らかの欺瞞処置は施しているでしょうけど)敵味方から全く存在を気取られない程の遠距離から拡散波動砲が放たれたということは、その実質射程は一般的な砲戦距離を遥かに上回っていると判断できます。

その点で言えば、見た目の派手さは段違いとはいえ、拡散波動砲と収束圧縮型衝撃波砲は『より遠くから』『より多数の敵を』『より効率的に』打ち倒すという同じ思想の下に生み出された兵器に思えるのです。

では、何故このような思想が生まれたのか?
その一つに、仮想敵との国力面での絶対的な格差があることは間違いないでしょう。
劇中でも言及されている通り、ガミラスとの戦争によって総人口の2/3以上を失い、急速な復興を以ってしてもようやく単一星系国家から脱皮するかしないかというレベルの地球と、ガミラスやガトランティスのような銀河規模の星間国家とでは、それこそ天文学的な国力差があります。
もし、そうした星間国家から再び侵略を受けた場合、圧倒的多数の敵を絶対的少数の戦力で打ち払わなければならないという命題は、弱小国家故に避けて通れません。
もちろん、回避の手段として、他の巨大星間国家と手を結び、それを抑止力とするのは非常に現実的な策で、実際に劇中では地球は嘗ての侵略者――ガミラスと手を結んでいます。
しかし同時に、ガミラスで再び政変が起こるなどで、再び地球を侵略する可能性も絶無ではない以上、地球単独での備えを考えるのは極めて健全なことだと思います。

もちろん、どれほど新技術を投入したとしても、ヤマト出現以前の地球とガミラスくらいの圧倒的科学・軍事技術力格差でもなければ、少数で多数を押し留めるには限界があります。
その最大の限界を挙げるとすれば継戦能力でしょう。
拡散波動砲の発射直後は一時的に戦闘能力が低下するであろうことはもちろん、新型ショックカノンにしてもコンデンサ内のエネルギーを撃ち尽くしてしまえば、射撃ペースは低下せざるを得ないでしょう。
しかし、少数が堅実に戦っても敵の数に押し潰されるのが確実である以上、たとえ短時間であっても、圧倒的多数の敵を戦闘力で凌駕する瞬間を作り出し、その瞬間で以って敵侵攻戦力を殲滅する可能性に賭けるのも一つの見識だと思います。

こうした『限定的(短時間)ながら戦闘能力を極大化し、圧倒的多数の敵を制圧する』という思想は、空母型アンドロメダの発艦システムにも表出している気がします。
木星演習にて示された同時発艦能力は圧倒的で、三つの発艦用飛行甲板を持ち、見るからに同時発艦能力に優れていそうなガミラスのガイペロン級ですら足元にも及びそうにないほどです。
本性能は、遠距離からの航空戦においても発艦に要する時間を最小化できるという点で有効ですが、砲撃戦すら可能な比較的近距離の戦闘では更に有利になります。
そうした想定に対し、空母を砲戦に参加させるのかというご意見もあるとは思いますが、ガトランティスのナスカ級空母はしょっちゅうそんな戦闘を行っていますので、あながち非現実的ではないと思っていますw
そうした状況において、空母型アンドロメダであれば敵空母の発艦作業が完了する前に全艦載機の発艦を行って一時的であれ敵機を機数で圧倒したり、未だ発艦作業中の敵空母の攻撃すら可能かもしれません。

こうした一連の兵備が波動砲艦隊構想下で開発・配備された事を思えば、とにかく悪し様に言われることの多い芹沢さんですが、彼が国防と主権保持を真剣に考え、確たる構想力を有している人物であることは間違いなさそうです。
特にガミラス戦役中の実戦経験で砲兵器に対する威力信仰(コンプレックス)が強いであろう当時の地球防衛艦隊において、あえて小口径化して速射性能を上げた兵器を開発・配備するのは、理屈としては正しくても、感情的には拒絶反応が極めて強い筈です。
そうした抵抗(しかも実戦経験に裏付けられた)を押し切って新型艦の主砲にそれを採用した点だけ取っても、大したものだと思いますね。

二週間前に始まりました第二章“発進篇”の公開も多くの劇場で昨日が最終日でしたが、もう一週間上映している劇場もあります(^_^)
大きな画面と大音量は劇場だけの特権ですので、是非この機会に劇場まで足をお運びくださいませ♪

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28 コメント

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最適化設計 (mars)
2017-07-08 14:32:47
寧ろ装備から逆算したドクトリン?実はD級の近接火器が多数の大口径短砲身砲で、地球自慢の実体弾が少ないです。逆に補助艦艇は寸法、装備共に旧艦艇の延長線上です。
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ヤマトの最大の武器 (ぺんぺん草)
2017-07-08 15:08:24
収束圧縮型衝撃波砲・拡散波動砲・艦載機同時多数発艦機能、何れも高性能兵器の効率的運用により、量的に少ない戦力で、数倍以上の敵艦隊を葬り去る為の戦術であるとおもいます。が、私は旧作のデスラー機雷を人力で排除したり、フェーべにおいて真田さんとアナライザーが地味で地道な索敵でゲルン艦隊を発見した様に、最後はというか、勝敗を分ける決定打は、人間自らの篤実な行動により、もたらせられる 様な話の展開になるとおもいます。
だがしかし、この流れだと、質的に圧倒的な戦力で、量的に圧倒的なバルゼー艦隊を葬り去ったアンドロメダ艦隊が、質的にも量的にも更に圧倒的な白色彗星に鎧袖一触に葬り去られ、発進篇のOPの様にヤマトが単艦で都市帝国と戦い、あの結末に辿り着くと思うと、それは悲しいことだとおもいますが、私は発進篇を見て、「ヤマト2202愛の戦士たち」には 素晴らしい結末が用意されていると確信しています。
明日、三週目の三回目鑑賞します。
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Unknown (せいじん)
2017-07-08 15:11:24
主砲の速射性能はヤマトが七色星団の戦闘でかなり痛い目にあってますから、
ある程度威力を抑えても連射性能が欲しい所なんでしょうね。

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ハイ アンド ロー なのかな? (銀河の風)
2017-07-08 15:43:06
少数で多数を相手にしてきたヤマトの
戦訓に学びながら、地球艦隊も寡兵で
大軍事国家と渡り合うことを前提に
編成せざるを得ないのでしょうね。

アンドロメダや主力戦艦がその大火力で
敵の大軍を撃滅し、小型の補助的軍艦が
隙間をカバーする…というのが妥当な構想
なのだと考えます。

地球の一般市民からしてみれば、
ヤマトの大航海が人類滅亡の危機からの
奇跡の救済をもたらすと共に、宇宙に実在する
強大な軍事国家の脅威をも知らしめた訳ですから、
政府に対して絶対的な地球の安全保障や防衛力の
強化を求めるのが自然な成り行きでしょう。
芹沢たちが波動砲艦隊構想を進めるのも
地球市民の支持があるからだと思われます。
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Unknown (PAM)
2017-07-08 22:15:51
どう頑張っても、圧倒的多数の敵を相手にせざるをえない地球防衛軍としては、波動砲への傾倒、速射性の追及となってしまうのは仕方ないのかもしれませんね

それでも相手は、アンドロメダの主砲すら通用しない大戦艦を一万隻以上簡単に用意できるとなれば対抗のしようが有りません

どうも2202は強さの演出を失敗しているのではないかと思えてなりません
第11番惑星での戦闘をみると、「星巡る箱舟」では空母部隊を航空隊で抑えきったのに今回は小数の駆逐艦すら足止めできない、ヤマトのSAMで撃沈できた駆逐艦が今回は三式弾まで打ち込まないと沈まない、などで、コスモタイガーがファルコンより弱く見え新型の意味がないように見えてしまいました

このあたり、今後どうするつもりなのか心配です
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方舟より2202のガトラン艦のが大きいです (mars)
2017-07-08 23:05:56
米アイオワ級の高速と速射性はパナマの制限の副産物。戦艦が長射程アウトレンジなら空母が吶喊する必要は無い、ブースター付き観測機がいい。ガイデロール級は流線型に短砲身強雷装、寧ろD級とガイゼンガンの船殻の方が似てる。
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続き (mars)
2017-07-09 08:13:14
多分旧作艦と新規艦とで齟齬が出てます。制空用CZ量産と中型雷撃機配備でディンギル的な編成にすれば仰る通りのドクトリンは成立しますが、空母と艦載機が別派閥だったとか。あと多数の敵ならゲリラ戦を仕掛けるのも有りかと。
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地球連邦防衛軍の階級 (NNSJ)
2017-07-09 09:13:01
アンドロメダ級やD級から成る波動砲艦隊って、1つの艦隊から成るのか、それとも何個も艦隊を編成するのかが気になりました。
また第二章冒頭10分を見て、ロバート.レドランズ教授が言っていた参謀本部からの推薦状を、拡大して見ると日本語と英語で書いてあって、
日本語の最後の段落に国連軍統合参謀本部〜〜とあってその下の推薦者の名前が
中将トマス.L.クラークとありました。
2199のときは中将ではなく宙将でしたし、
古代の階級も一尉のままでしたので、地球連邦防衛軍も中央にいる人から階級を変えているのかな?と、思いました。
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続き (NNSJ)
2017-07-09 09:30:46
今回が初投稿です。皆さんよろしくお願いします。
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Unknown (mechpalace)
2017-07-09 12:21:50
PAMさま
>2202は強さの演出を失敗
同意見です。2202は確かに面白いんですけど、艦の大きさ表現なども含めて違和感が先にたってしまうのですよね。その辺は他にも色々あって、旧地下都市から発進するのなら、わざわざ海底ドッグの周りに水避けの堤防付けなくてもヤマトのドッグは地上でも良かったのではないかとか(旧地下都市の設備はヤマトからのコマンドが最優先される設定にして、その為にヤマトは旧地下都市に降りるとか)、古代は命がけで月の大使館に行くのに帰りはキーマンに送ってもらった上に何事も無く最重要機密の設備に入れてしまったりとか。何処か演出のポイントがずれてる感じがしていてスケジュールの余裕がなくなる後半が心配です。最後まで楽しみなのは変わりませんけど。
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