りん日記

ラーとか本とか映画とか。最近はJ-ROCKも。北海道の夏フェスふたつ、参加を絶賛迷い中。

Think!!

2007-08-06 23:59:12 | アート・趣味・お勉強
ずっと、考えています。



8月3日の金曜日、「ただのいぬ。トークショー」がありました。

何、それ?と思われた方は、

主催者のまほうの絵ふでのサイトを見ていただいたり、
中心人物の一人である小山奈々子さんがやってらっしゃる雑貨屋さん「gg」のブログを見ていただいたり、
ただのいぬ。」で検索して調べていただいたり、
拙ブログのこちらの記事やこちらの記事を見ていただけると幸いです。
(説明の手間を惜しんでます、スイマセン


トークショーに先立って、まほうの絵ふでに通っている小・中学生約30人が、会場となったビルのワンフロアに2泊3日で泊まり込み、4000体の手の平サイズの犬を作りました。

綿を糸で縛って大まかに犬の形を作り、石膏液に浸して固まりかけるところを整形し、絵の具で彩色してできあがり、らしいんだけど、

4000体ですよ。一人あたま130~140体。

詳しくはまほうの絵ふでサイト内のブログにありますので見ていただきたいんですが、ただごとじゃないですよ。

あきらめムードが漂ったときもなかったわけじゃないみたいなんですが、3日目の、トークショーが始まる夕方に私が会場に行ったときには、こんなことになっていました。






4000匹のただのいぬたちが、そこにいました。

まほうの絵ふで代表のホリタ先生は「えふで's ブートキャンプ」とか「うちは体育会系ですから」とかよく言うんですけど、ホント、力業……すごい……

一体一体よーく見れば、べちゃっとなってて「これ、トカゲ?」みたいなのや、「これは明らかに、固まる前に誰かに踏まれちゃったよね?」みたいなのもあるんだけど、でも、この数は、圧倒的な迫力といってもいいほどの力を持って、私たちの前に並んでいました。

「4000」って、数字にすると1秒もかからずに言えてしまうものだけど、それをこうやって目の前に並べられると、がぜん現実感を持ってきます。

そして、この4000体の犬を子どもたちに作らせた目的は何か、そもそもこの「4000」という数字はどういう意味を持つのか、それがトークショーで語られました。


「ただのいぬ。」の写真を撮っている、写真家の服部貴康さんのお話によると、「4000」というのは、北海道で毎年保健所や管理センターに収容される、捨て犬や迷い犬の数なんだそうです。そして、そのうち飼い主や里親が見つかって引き取られていくのは1000匹。残りの3000匹は、処分という運命をたどります。



子どもたちに4000体の犬を作らせたのは、この「4000」という数字を実感してほしかったからなんだそうです。


さらに、全国的にはこの処分される犬の数は年間16万頭にも上るというデータがあること、そしてそんなことになってしまう理由(ペットブームなど犬をとりまく様々な状況)、ペットとしてかわいがられて一生を終える犬と盲導犬として人の役に立って一生を終える犬と捨てられて処分されてしまう犬とでは本来何の違いもないはずであること……


心が痛くなってくる話が続きます。


そして、保健所やセンターに引き取られた犬のうち、生後3ヶ月以内で健康でしかも見た目がかわいい犬は、センターの人によって選別され、希望者に無償で譲渡されます。
裏返せば、その基準にはずれた犬が処分される、ということです。
(写真集「ただのいぬ。」は、その譲渡される予定になっている犬たちを服部さんが撮ったものです。)



そんな話を聞いたあとで、ホリタ先生が会場のお客さんにいうのです。

「ここにある4000体の犬の中から、いまからみなさんに1000体選んでいただいて首輪をつけてもらいます。そして、このあと東京でやる「ただのいぬ。」イベントで展示していただけるということなんで、東京に連れて行く100体も選んでください。それから、せっかくなんで、みなさんおみやげに、一人一体気に入ったのを選んで持って帰ってください」


(ちなみに会場には、二泊三日の犬製作を終えた子どもたちも全員まだ残って話を聞いていました。)


…………そういうことか…………


「選別」することの意味、それを子どもたちに考えさせようってんですね……


私のところにも首輪(コードをまとめるときなどに使う結束バンドが首輪代わりです)が十本くらい回ってきたけど、最初、選ぶのやめようと思いました。
だって人が悪いですよ、あんな話を聞いた直後に「選ぶ」行為をさせるなんてさ……

でも人間、何かを選び取るっていうのは避けて通れない道だし、ここで選ばないのは問題から目を背けてることになる気がして、やっぱり選ぶことにしました。

で、次に思ったのは、
「かわいいの選んでくださいね~」
なんて言ってる先生に逆らって、あえてべちゃっとなってるブサイクなのを選ぼうということでした。

だけど、だったら私に選ばれなかった「かわいいの」はどうなるんでしょう。
「ブサイクだから」選ばれなかった犬と「かわいいから」選ばれなかった犬、どちらも選ばれなかった事実にはまったく変わりありません。
ここが保健所で、目の前の犬たちが生きている犬だったら、私に選ばれなかった犬は、ブサイクだろうとかわいかろうと、処分されるのは同じです。

どんな基準で選ぼうと、それはすなわち選ばなかった方を死なせることには変わりなく、「選別」それ自体が傲慢で、残酷なこと……


そう思うと、ホントに何をどう選んだらいいのかわからなくなって、4000体の犬たちを前にして、途方に暮れちゃいました。


結局、私が選んで持って帰ってきたのはこれ。



「なんとなく」心惹かれたものを選びました。
改めて見ると、やっぱり姿形がスッキリして見た目のいいのを選んでるな
名前は「インディ」とつけました。
いつか犬を飼うことがあったらこの名前にしようと、高校生の時から決めてた名前です。

ただのいぬは、ただのいぬじゃなくなりました。


子どもたちは「あ、こっちの方がかわいいかもー」「私の作ったのどれだっけ……」等と楽しそうに選んでました。
「選ぶ」ことの意味、どれくらい伝わったかな……


選ぶのが終わって席に戻りトークショーが再開されたとき、いま選んだことの意味をホリタ先生か服部さんが説明するのかな、と思ってたけど、特にはありませんでした。

子どもたちに、自分で考えてもらいたい、ってことですね。

ちびっちょがもうちょっと大きくて、今回参加できるくらいの年だったらよかったな。
参加した子どもたちにはすごくいい体験になったと思います。



さて、トークショーは、こうしたちょっとツラい話ばかりではなく、アートが持つ、人々に何かを伝える力についてとか、写真展の開催とか写真集の発売といった形でこのプロジェクトを進めることにした経緯(小山さんがどんなふうに考えたか)など、興味深くておもしろい話が次々出てきて、2時間があっという間でした。足りなかった。
(2泊3日の過酷な挑戦を終えたばかりの子どもたちはかなり眠そうだったけど


終わったあと、小山奈々子さんと服部貴康さんにサインをいただきました



さらに服部さんには聞き足りなかったところを質問させていただきました。服部さんは、トークショーで話してたときと同じように、私一人が相手でも熱心にお話ししてくれました。

だけど、次々サインをお願いしに来る人がいたりして、私一人がいつまでも独占するわけにもいかず……
まだお聞きしたいことはいろいろあったのですが……残念


あと、小山奈々子さん。
小林くんのお友達だなんて、どんな人なんだろう
とドキドキしながら行きました。

「ただのいぬ。」の詩のイメージどおり、外見・雰囲気はすごくかわいらしい感じの方だった

でもこうやって「ただのいぬ。プロジェクト」を立ち上げて、イベントの企画をして、っていう方ですから、頭がよくて、行動力もあって、しかも元はグッド・デザイン・カンパニーのデザイナーさんです、クリエイターとしての才能もすごいんだろうなー。

サインをいただいたときに少し言葉を交わしたので、よっぽど小林くんのこと聞こうかな、と思ったんですが。


なんかね、ただのいぬたちの話聞いたあとでは、
えーっ、ラーメンズの? 小林賢太郎が命名? 何それ何それー
なんていうミーハーな気持ちを持ってたのがちょっと恥ずかしくて。


ホリタ先生が、トークショーの途中で言ってたんです。
「この「ただのいぬ。」たちを見に来るきっかけはなんだっていいんです。「わー、かわいい犬の写真!」でもいいし、ラーメンズの小林賢太郎って名前に飛びついたんでもいい」
みたいなことを。

ドッキィィィとしちゃった。わ、私のことですか……?って。


もちろん、トークショーに行った動機は小林くんだけじゃないですよ。
もちろんちがうんだけど、でもそういうミーハー的気分があったことも紛れもない事実なので……


なので、自重しました……


…………

…………



ああっ、でもホントは聞きたかった、小林くんのこと!!
小林くんと!
直に!
お友達だって人が!
目の前に!
いたんだよ!
言葉さえ!
交わしたんだよ!


ああ~~~~~~ 



ま、しょうがない。

やっぱどう考えても、あの場で小林くんのこと言い出すのは場違いだったわ。ウン……



そのことは関係なく、本当に今回のイベント、行って良かったです。
あれから、いろいろなことを考えてます。

ヒトと犬との関係。ヒトの傲慢さ。残酷さ。選ぶことの意味。救うことの意味。自分にできること。
それから人に何かを伝えるということの意味。アートの力、意味……

考えても結論は出そうになく、そもそも答えなんてないものかもしれないけど、考える、それ自体に意味があるのだと思いたい。


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2 コメント

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(^-^) (yuuhi)
2007-08-09 23:00:23
なかなか面白い企画です。yuuhiもこういうスタイル大好きです。札幌にいたら絶対に参加していたでしょう。親子でよい経験でしたね。 わんわん選び。。どちらにせよ、複雑です。。。
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Unknown (りん)
2007-08-10 19:42:08
ウン、参加…は、できなかったんですけどね。今回の対象は小学3年以上だったから。
でも作品の展示会場に今日ちびっちょを連れてって、ちびっちょにも選ばせてきました。
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