徳島、香川、兵庫、京都、福井へと 順調に歩き
日を重ねて ようやく小浜に着いたのである
あちこち " 腐らぬ橋 〟を探すうちにもう日暮れ近くになっていた
ふと見ると 目の前に 腐らぬ橋 があった
一人の女が 誰かを待つかのように佇んでいる
思わず駆け寄った まぎれもなく一緒に回った女の人であった
二人は 抱き合って再会を確かめた
揃って女の両親のもとへ行くと 女が
「私の選んだ佐吉さんです」 と紹介したのである
両親からは、娘が大変お世話になったと お礼をもらい
夫婦になることを喜んで受け入れて めでたく結婚式をあげて夫婦になったのである
さて、佐吉の嫁さんになった女の話である
名前は 「美代」 といった
家は代々海産物の卸し売り屋で 何不自由のない家の一人娘であった
十六才の時に 難病にかかり 両親は何とか病気を治してやりたいと
弘法大師が開いたお四国を回り ご利益をいただいて難病がよくなったのであった
『よくなったら お礼参りをする』 という話を聞き、娘は一人でお四国を回っていたのである
そうしているうちに ご利益をいただき 佐吉と巡り会ったのであった
信仰とは、心から信じてこそ ご利益がいただける
美代さんは、難病の完治に合わせてお婿さんまでご利益をいただけたのは
先祖代々、そして両親の功徳と 信仰心があったからからこそ
お四国を何回か回って 自分自身の修行、 懺悔、先祖の供養をして
ご利益をいただいた人は 数多くいることは 事実である
人の子として生まれたら 何かを残したい と思う
諺に 『人は一代、名は末代まで残せ』 とある
色々考えている私である