物語屋

頭に浮かんだ物語を描くお店です。
少しずつ物語が入荷するので、楽しみにしていて下さい。(入荷時期は未定、不定期です)

L&Kの事情

2016-02-18 01:42:39 | 日記

「ざまぁみやがれ、狩野〜」

社長の憎たらしい顔。

旅館に向かう途中、観光名所のギウ牧場によったL&K半分、アイス奢りをかけたじゃんけんで狩野敗北。

「こういうの必ず負けるんだよなー」

狩野はじゃんけんが弱いです。

「狩野さん、ごちそうさまです」

「うるせえ」

財布を開きお会計の狩野、幽霊も退治してアイスもおごって、ちょっとかわいそうですね。

 

さあさあ、盛り上がってきました。

いよいよ、ブリガーの出番です。

「っしゃ、いくぜ」

暗転した舞台に飛び出しポジションへ。

観客の熱気と暗闇の静けさの中、響くギター。

歓声があがり、そのギターが観客達の知っているメロディーを奏で始めると一層大きな歓声が上がります。

そして、リーダーの強い歌声と共にライトが一斉につき、コタツちゃんのギター、りえちゃんのベース、まりやちゃんのドラム、園ちゃんの背景操作、舞台裏でしびれる先輩方。

「家畜と変わらないクズどもが、騒ぐから、私は一つ涙を流すだけ」

この曲は雨サンサン、ブリガーが結成した時にコタツちゃんとリーダーで作った曲です。

「母国のために戦ったたくさんの、勇者のために、僕は一つ涙を流すだけ」

ここはコタツちゃんのパートです、可愛げゼロのただの美声。

「こないだ死んだ婆さんみたいに、優しい人にあっても、俺は一つ涙を流すだけ」

リーダーはいい声をしています、よく通る鋭い感じの。

物で例えるとコタツちゃんはちょっと脆い感じの風鈴、リーダーは鋭く尖った鉛筆ですかね、これを狩野に言ったことがありますが、はあ?と言われたのは過ぎ去りし過去です。

「死という足枷付きの世界に生まれたことに、感謝と後悔を込めて、私は一つ涙を流すだけ」

さあ、サビです。

「雨サンサン、その涙は、雨となり」

「雨サンサン、世界に落ちて、命になるから」

盛り上がりの絶頂がラストという曲。

間髪入れずに次の曲。

「僕らの場所ー!!」

コタツちゃんの曲名コールにまた歓声が。

これはラジオのリクエストでコタツちゃんが浜野と作った曲ですね、たまにアシスタントとして浜野もラジオに出てたりするので、下僕浜野はコタツちゃんファンには有名です。

「映画館ー!!、あなたは僕に怖いとすがってくれるだろうか?」

この曲は完全にコタツちゃんがボーカルです。

「ゾンビ達ー!!、もう少し速く動けばさっきのヤツ食べられたのに」

コタツちゃんと浜野の関係がないとできなかった曲ですね。

「アイスクリームー!!、勢いよく食べてヒゲみたいになったあなたは可愛いんだろうな、もしもだけどー!!、これを投げて怪我させるにはどれくらいスピードがいるんだろう」

アップテンポな曲です、サビに入るといっそうのこと。

「天使みたいなあなたがどんなに僕を毒づこうと、ずっと一緒にいたいよ、たまらないくらい好きだから、冥界にモーニングコールして亡者達を呼び起こして、地獄の行進はじめて、世界征服するのさ」

見事に噛み合わない二人ですね、この曲を作ってた時の浜野の心境が気になります。

「僕らは同じ場所にたって、同じものをみていて、何か違うのはどうでもいい、ずっとこうしていたいな」

さて、登場とともに二曲ぶちかましてかっ飛ばしていくブリガー。

歓声がひとしきり終わると律儀に挨拶。

「どうもブリガーです、今日はこんないいライブハウスにお呼ばれしましてスカウトの方も来ているみたいで緊張材料はバッチリですが、まあマイペースにいこうかなと、メンバーしょうかーい!!、私リーダー今岡!!、続いてボーカルのコタツ!」

紹介されたコタツちゃんはそっけなくどうもの一言。

「次はドラムまりや!」

呼ばれると少しドラムを叩きテクニックを披露するまりやちゃん。

「そしてコーラス今回に限り舞台背景ソノ!」

園ちゃんは舞台背景をささっと切り替えカッコよく。

「そして最後はこの人ベース野沢梨恵!!」

なぜか最後に残され自分だけフルネームに困惑しながらベースをならすりえちゃん。

こんなところでも天性のキャラスキル発動。


L&Kの事情

2016-02-05 23:52:47 | 日記

「真野か・・・、懐かしいわね」

バイオレンス女子高生爆裂拳の島崎の青春を彩る難敵のなかで最も強かった相手が真野さんです、その当時の頂上決戦です。

車のなか窓の外を見つめたそがれる島崎。

「ヤクザか・・・、厄介だな」

ハンドルを握り再びの厄介事に気を沈ませる社長。

「決闘か・・・、違うといいが」

友人の身を案じる狩野。

「ふられる理由か・・・、なおせるといいけど」

若干ネガティブスイッチON気味の浜野。

みんなで一斉にひとり言をいうと気持ち悪いですね。

それぞれのいろんな意味で重い思いを乗せた車は旅館行きです、なんつって。

 

L&Kはたまにほとんどお客がこない日があるのです。

「家でも寝てるのに、この人は本当に・・・」

エレナさんが少し怒っています。

「まあまあエレナさん、なにも記念日を忘れたわけでもあるまいし」

「言うなよ、思い出すだろ、ほんと鬼みたいだったんだから!」

鈴木と鬼ヶ島は仲良しです、基本行動が一緒だからですかね、鈴木は鬼ヶ島と、社長は鹿田と、狩野は島崎と、コタツちゃんは浜野と、出勤日的にいつもこんな感じになります。

「あっ、そろそろじゃない、コタツちゃんたちのライブ」

おっと、もうこんな時間です。

 

デデーン、とライブハウスSB。

「行ったよ、シンボルさんたち」

舞台袖から覗くまりやちゃん。

「かっこいいよね、町子ちゃんたち」

「ですね」

歓声が上がりました、始まったようです。

コタツちゃんは鼻歌まじりに今夜のラジオの台本を書いて、いやクロスワードですね。

「こたっちゃん、落ち着きがすごいけど、緊張しないの?」

「楽しみですけど、緊張はあんまり」

そうです、コタツちゃんの肝のすわり加減は常人をはるかに凌ぎます、コタツちゃんが驚いている姿を私は見たことがありません。

正直な話、コタツちゃんを掘り下げていくと可愛げというのはゼロです、かわりに見えてくるのは大きな野望と小さな愛情、世界征服とちっちゃい子相手だと手も足もでないというところです。

特に鈴木家の空ちゃんなんかにはもうデレデレです、コタツちゃん曰く二桁になるまでとことん可愛がる、というのが正しい重臣の作り方なんだとか、それにしたってデレデレしすぎというか、私が察するに単純に子供好きなんだと。

まあ、空ちゃんにはだいたいみんなデレデレしますけどね。

 

さて、場所はぶっ飛び山座組の仮事務所。

「しかし、姉さん、まさか近藤組の縄張りど真ん中に事務所構えるなんて、へたしなくったって抗争モンですよ」

そうヤクザには色々あるのです、義理と人情以外のものも。

そんな感じでビビっているのは保田さん、22歳とまだまだチンピラ。

「いい保田、ここは事務所じゃないし私はヤクザ事をするつもいはないわ、金貸しよあくまで金貸し」

強い口調で主張するのは季穂代さん、島崎とは違って美人です。

「そやで、そんでもってここは新居やかんな、組つぐなんて言うとらん」

完全に訛りが解放されている佐々木さん。

「それで鉄久、島崎は見つかったの?、見つかうまで結婚なんてしないわよ」

「いま探してもろてるよ」

強烈な関西弁と季穂代さんの滑舌、ラ行がダメみたいです、島崎と同等に強くて美人でコタツちゃんより可愛げがある、真野季穂代、これは強敵の予感です。