物語屋

頭に浮かんだ物語を描くお店です。
少しずつ物語が入荷するので、楽しみにしていて下さい。(入荷時期は未定、不定期です)

ちから!!!

2013-03-28 10:45:29 | 日記

ちから!!!
三人は夕飯を食べ終わり、焚火を囲んで座っていた。
「あの、変なこと聞いていいですか」
逸馬が焚火を見ながら聞いた。
「なんじゃ」
「穂口さんって、もしかして、権怪神ですよね」
権怪神は、十人しかいないが、位がある。
第十等がもっとも低く、第一等がもっとも高い。
「権怪神だと、ほんとに、マジで」
「フハッハッハッハ」
「あの怪物に言う事聞かせられるのは、権怪神だけのはずだ」
穂口さんの笑いが、止まった、少しため息まじりに言った。
「きずいたか」
杏馬は唾を呑んだ。
「あたしは、権怪神第二等、通称ブラックバースト」
「第二等!!」
杏馬は、ピストルの銃口を穂口さんに、向けた、が、その、銃口を睨みつける、穂口さんの目は冷たく恐ろしかった。
「ふっ、やろうってのか、勝ち目はねーぞ、それに、今、人数を減らすのは、相当、不利になるじゃろう」
「くっ」
杏馬は仕方なく銃を下ろした。
「この、戦争に出た理由はなんですか、第二等なら指名手配解除なんてしなくても、逃げ切れますよね」
「まあな、Sからの伝言やら、強力な能力者の始末やら、その他もろもろじゃな」
焚火がゆらゆらと揺れている。
「まず、Sからの伝言じゃな、2023年、つまり、来年の夏、ゴットは、宇宙ステーションを一斉攻撃を開始する。だが、その前に逸馬、お前と11年前の決着をつけたいと言っている」
11年前、逸馬はSと、廃ビルで戦った。
逸馬がSの不意を突き、あらかじめ猛毒を塗っていた刀で、Sの顔を切った、その瞬間Sは煙になったが、顔の傷は深く、猛毒も全身に回り倒れた、しかし、Sは顔に傷を負った時、逸馬に毒針を撃ちこんでいた、逸馬も毒に苦しみ倒れた。
逸馬はいつの間にか病室で寝ていた。
「わかりました、何月の何日ですか」
「七月一日じゃ」
「場所は」
「あの廃ビルじゃ」
杏馬がピストルを自分の椅子(岩)のすぐ横に置いたのを、確認しながら逸馬は頭をフル回転させていた。
Sの煙になる能力の対抗策はなんだ、11年前の戦いで、もう、Sには油断も隙もないだろう、煙 煙 煙 ん、風 そうだ!風だ、しかし、Sにきずかれずに、どうやって風を起こす、超小型の旋風機でもあればな~。
「そろそろ、寝るぞ、見張りは三時間ずつ交代じゃ」


 


生死の境に

2013-03-14 16:23:17 | 日記

バイトは再び携帯をポケットから出し電話を掛けた。
「先輩、全然買う気ないみたいなんですけど」
このバイトが来てから、どれくらい経ったんだ、俺のべッドの窓側にある、棚の上のアナログ時計を見た。
「あ~、はい」
三十分ちょっとか。
「わかりました、やってみます」
次はどんな手でくるんだ。
「えっと、本当に買ってくれないんですか」
「買わねーよ」
「は~、じゃあ、しょうがないか」
「ん、何する気だ」
バイトは、両手を突き出し、俺の顔の前で止めた、催眠術師が良くやる格好だ。
「どうしても、買わないって言うんなら」
俺は唾を呑んだ。
「今ここで呪い殺します」
「え、な、なに、おいおいおい、ちょっと待てよ、なんでいまここで殺されないといけないんだよ」
「はーーーー」
「待て待て待て、せめて俺の了解を得てから、殺せ」
「じゃあ、死んでください」
「やだよ」
「じゃあ、覚醒薬かいますか」
「買わねーよ」
「はーーーー」
「待て待て待て、わかった買うよ買えばいいんだろ」
「はい」
バイトは手を下ろし、ポケットから覚醒薬を取り出し、窓側の棚に投げた。
「おい」
「すいません、あまり触りたくなかったので」
「お金は、銀行から勝手に引き下ろしときます」
「え」
「では、お買い上げありがとうございました」
バイトは、ドアにむかって歩き始めた。
「あんな、はったりに引っかかるなんて、本当に下界の連中大丈夫か」
「おい、それは、聞き捨てならないぞ」
しかし、すでにバイトはドアをしめていた、病室に静寂がもどった。


ちから!!!

2013-03-11 13:15:07 | 日記

「森があるな、仕方なかろう、遠回りじゃが避けて行こう、森を通るのは、危険すぎる」
「たしかに、このロボットのでかさじゃぁ、隠れようにも隠れられないし、目指すは、首都モスクワ、寄り道しないで行こう」
「だな」
この会話から、しばらく、三人とも無言で、遠くを見たり、森を警戒したり、左手に油を注したり、していた。
逸馬はルールブックを読んでいた。
[ギブアップの条件]
[代表者一名の死亡または、代表者二名の重傷または、代表者全員の武器破損をギブアップの条件とする]
「あー、早く帰りたい」
杏馬から、なんでこんなことやんなきゃいけねーんだよって顔をしていた。
杏馬は思ったことが、初対面の人でも、わかるぐらい、顔に出るタイプだ。
まあ、無理もない、杏馬には奥さんがいて、反抗期の高一の息子もいる、帰りたいのが当たり前だ。
「全員の武器破損て、俺や杏馬の武器は壊せるとしても、穂口さんがな~、まさか、左腕ごと壊すわけにはいかないしな~」
日が落ちてきた。
怪物は穂口さんの指示道理、荒野の真ん中で停まった。
「テントを張るぞ、二人とも火を熾しといてくれ」
「わかりました」
「でも、こんな見晴らしがいいとこで、火なんて熾したら、敵に場所を教えてるようなものなんじゃないんですか」
「大丈夫じゃ、敵に場所を教えるということは、余程の自信か罠があるということ、まさか、代表全員能なしってことないだろう、それに焚火があれば、野生の肉食動物も寄ってこないだろう」
「なるほど」
穂口さんは、テントを張り終わり、逸馬と杏馬は支給された薪とそこらへんの枯れ葉とライターで何とか火を熾した。
三人が焚火の前の怪物の上にあった石に座った。
「さあ、夜ごはんにしよう」
逸馬はリュックサックから振るだけで温まるレトルトシチューを取りだした。


生死の境に

2013-03-04 12:57:41 | 日記

「覚醒薬、買いますか」
「買わねーよ、まず、誰が買うんだよ、こんなもん」
「余命三日なのに、ピンピンしてる人とか、藪医者の宣告を、的中させてやろうか、って考えてる人とか、が買います」
「買わねーよ」
ボーンボーン
ん、なんだこれ。
ピッ
「もしもし」
お前の携帯かよ。
「あっ、先輩、そうなんすよ、全然買ってくれないんすよ」
「はい、はい、なるほどー、その手で、言ってみます」
ピッ
「なに、そっちの方も、携帯とか、あるんだ」
「はい、連絡手段は必要ですから。すいません、覚醒薬の使い道を言うのを忘れてました、えっと、あなたは、あと、三日で死にます、三日後死ぬ前に覚醒薬を飲めば、一日寿命が延びます」
「なるほど」
こいつ、本当にバイトなんじゃないか。
「ちなみに、俺は本当に、あと、三日で死ぬのか」
「はい」
「根拠は」
「先輩が言ってました」
「その先輩の根拠は」
「長年の勘だそうです」
そっち側の人の勘とは、どれほど信用していいものか。
「ちょっとまった、余命三日ってことは、三日以内に、死ぬってことだろ、じゃあ、今、死んでも、おかしくないってことか」
「じゃあ、今、買いますか」
「買わねーよ、だいたい、いくらなんだ」
「九万九千八百円です」
「買うわけねーよ」


生死の境に

2013-03-01 15:05:48 | 日記

四人の幼馴染とタイムカプセルを埋めたのは中二の夏で、その一年後、受験生となった俺たちは、みっちり受験勉強の日々を送っていたが、四人の中で一番努力家だった、加藤が、塾の帰りに交通事故に遭い、打ち所が悪かったらしく、そのまま、死んでしまった。
加藤が交通事故に遭ってから、二ヶ月後、もともと、体が弱かった、岩橋が自宅で倒れ、今、俺が入院している、病院に入院。
岩橋の一週間の病魔との闘いも、むなしく、加藤の後を追いかける様に息を引き取った。
残された、俺ら3人は無事に志望校にうかった。
26歳の時、ニューヨークに移住していた竹島がアメリカ人同士の撃ち合いの流れ弾が運悪く頭に当たって死んだ。
29歳の冬、俺と水谷が3人の墓参りに行った次の日の朝、テレビをつけてみると衝撃的なニュースが俺を襲った。テレビの画面には「水谷家全焼」と書かれ、水谷の母親が泣きながらその時のこと必死に説明していた、「ドーン、て爆発音みたいな音がして、びっくりして起きたらもう、火の海で息子が私を助けてくれてね・・・お父さんがまだ中にいるから助けに行くって・・・その時止めていれば・・・愛する人を二人も失わずにすんだのかもしれませんね・・・」水谷の母親は思い出したように泣きだした、最近、町を騒がせている、連続放火魔の仕業だったそうだ、二日後に放火魔は逮捕された。

あれから、35年、もう俺も64だ。
自宅でクラッと来た時もう俺も死ぬのかなと思ったが、気を失うこともなく、ちょっとした、立ちくらみだったが、心配症の弟が無理矢理、病院に連れてかれ、なにやら色々調べられたあげく、余命二週間だと、あと5日で死ぬとは、思えないほど元気だ。
この病院には名医が多いが誰に見てもらっても、もうじき死ぬと言われる、しかも、理由を訊いても、さっぱり意味がわからない。
俺が死ぬかもしれない日まであと三日におかしな出来事があった、深夜一時頃、面会できる時間は、とっくに過ぎているのに、ドアからノックが聞こえた。
「おいおい、あと四日で死ぬっていっても[心霊系が怖くなくなった]なんて、言った覚えは、ねーぞ」
隣のベットの奴はすやすや憎いほど、熟睡中だ。
俺はじっとドアを見つめた。
ゆっくりと開くドアの向こうに立っていたのは、髪の長い、いかにも幽霊って感じの女がうつむいて立っていた、みたいな俺の想像とは、まったく違いピザ屋の格好をした金髪の若者が立っていた。
「あなたが、死ぬまで、あと四日、正確には午前一時なので、あと三日、あなたはここから、抜け出して何か物を捜したいと思ってますね」
たしかに、病院を抜け出してタイムカプセルを掘りかえそうと思ってた。
「そんな、あなたにこれ!」
ピザ屋のバイトみたいな、若者は、ポケットから、不気味な黒い液体の入った小瓶を取り出し、俺の目の前(近すぎて、見えてんだか見えてないんだか、わからない位の距離)に出した。
「その名も、覚醒薬!」
覚醒薬?覚醒剤みたいな物か?
「それって、法的に大丈夫なのか?」
「はい!一応、たぶん、大丈夫だと思います。下界の法律なんて、しったこっちゃねーしなー」
もはや、最後の部分は、聞かなかったことにしよう、しないとやってらんない。
「まず、なんなんだ覚醒薬って」
「はい!えっと」
若者は、ポッケトから紙を取り出した。
「覚醒薬を飲むと、人間の一生分の力が一日だけ覚醒します、なお、覚醒薬を飲んでから二十四時間経つと、一生分の力を使いはたして死んでしまいます」
完全に棒読みだった。