日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

転職します

2008-07-31 22:09:05 | 旅日記
三ヶ月前にヒデボウヤ、一ヶ月前に目の鋭いツンツン頭という二人の同僚を見送ったのも束の間、今度は私自身が職場を去ることになりました(えっ)
結論自体は二ヶ月近く前に出ていたことなのですが、何分職場のお家騒動に端を発した混乱の最中ということもあり、退社時期もなかなか決めることができず、正式決定から退社までわずか一週間足らずという、名残を惜しむ間もない呆気ない幕切れとなりました。

理由は多々ありますが、一言でいうなら方向性の違いです。会社が二つに分かれて、それぞれが違う方向に向かって大きく梶を切ったとき、自分はそのどちらにもついて行くことができなかったとでも申しましょうか。それ以上のことを申し上げようとすれば、またしても職場に波風を立てることになってしまいます。「立つ鳥跡を濁さず」と申します。これまでこのblogで事の始終を好き放題に書き綴ってまいりましたが、せめて最後は波風を立てずに終わりたいと思います。その代わり、これまでどなたにも申し上げたことのない話を一つだけ披露させていただけますでしょうか。

これまで何度か綴ってきたように、私には二十代の後半をニートとして棒に振ってしまったという辛い過去があります。その私が、ニートを卒業すべく就職活動に挑んだ時期がありました。当然ながら、何年もニートを続けた人間を相手にする企業などあるはずもなく、一般企業から門前払いを食らうのはもちろんのこと、紹介会社や派遣会社には登録さえ受け付けてもらえず、ハローワークにも紹介を断られるという惨憺たる状況でした。
そんな中で、唯一力になってくれた紹介会社がありました。あらゆる先から袖にされる中、その会社だけが私のごとき人間にもできることはないかと親身になって考えてくれました。残念ながら、私のあまりの力不足から結果を出すことはできませんでしたが、当時のことは今も深く感謝しています。
その後知人の紹介を受けやっとの思いで前職に着いた後、今の職場に移って現在に至るのですが、この紹介会社とは後日思わぬ形で再会を果たすことになりました。

そうです、今回の転職先を紹介してくれたのが、同じ紹介会社の、それも当時と同じコンサルタントの方だったのです。私が初めて就職活動した当時のことを覚えていてくれ、この案件を紹介するなら私しかないと決めて真っ先に話を持ち込んでくれたのでした。
その話を聞いたとき、人間というものは巡り合わせで生かされているのだと思いました。来し方を振り返れば、前職に決まったのも、今日を限りのこの職場に出会ったのも、偏に巡り合わせのなせる業でした。職場の求人と私の職探しのいずれか一方があと一ヶ月早いか遅ければ、いずれのご縁もなかったに違いありません。今回の転職にしても、降って湧いたようなお家騒動がなければ考えもしなかった話です。それが内定先の求人の時期と重ならなければ、絶対にあり得ないご縁でした。人間は驚くべきほどの偶然が重なって出会っているのだと実感させられます。

とはいえ、「巡り合わせ」は「単なる偶然」ではありません。人と人とが出会うことによって「偶然の出会い」が「ご縁」へと変わり、単なる偶然の積み重ねでは考えられないような新しい出会いを呼ぶ、それが巡り合わせだと思うのです。
今回のご縁は、元をたどれば世間中の笑い者にされていたニート時代に端を発しています。その当時は残念ながらよいご縁に結びつかなかったとはいえ、今回転職というものを意識した時に真っ先に浮かんだのは、かつて唯一お力添えをいただいた紹介会社でした。そして、当時のコンサルタントの方も、私という人間の存在を有難くもご記憶いただいており、今回のご縁に結びつけていただいたのでした。そして、そのご縁は、私が曲がりなりにも現職で築いた職歴というものがあって初めて成り立つものだったということを考えますと、世の中巡り巡って自分に返ってくるものなのだという気がしてなりません。

思えば、この職場では数え切れないほどの巡り合わせというものを経験しました。ニート・フリーターとして辛酸をなめてきた私を、初めて本当の意味で必要としてくれたのはこの職場でした。よき仲間との忘れ得ぬ思い出もできました。今回新しいチャンスが得られたのも、この職場での経験があってのことでした。どのような形で別れるとしても、この職場に対する感謝だけは終生変わることがないでしょう。
不幸にして巡り合わせが悪い方向に変わり、今日の結末を迎えることになってしまいました。しかし、何度も申しますように人生は巡り合わせです。巡り巡ってまたどこかでお会いできるのではないかという気がしています。今日の別れを、また会う日までの仮の別れと思っていただけるのであれば、これに勝る喜びはありません。

職場が窮地に立たされたこの時期に、まるで逃げるようにして去るのですから、つくづく罰当たりな人間です。とはいえ、このような形で去るのは私とて本意ではありません。入社以来「石の上にも三年」と何度も何度も自分に言い聞かせながら、結局三年ともたずに職場を去ることになったのが、私は悔やまれてなりません。この悔しさを糧にして今までの経験を活かすことが、せめてものご恩返しになると考え、新しい職場で腰を据えて取り組む所存です。皆様もどうぞお元気でご活躍下さい。

末筆ながら、旅先にて皆様の幸福をお祈り申し上げます。

しがない旅鴉より
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