MOONの似顔絵エッセイ

似顔絵師MOONです。
似顔絵よもやま話をぼちぼちと書いていきます。

似顔絵まいどぼーど

2005年09月23日 | 似顔絵
紙ひも細工の達人Fさんはの本職はコックである。
中華料理のお店「舟和」を奥さんと一緒に30年間切り盛りしてきた。
Fさんとは何回かお会いしているが、生Fさんとお会いする前に
私はFさんの似顔絵を描いている。
その経緯については、当ブログに6月25日に「続・サンクスボード」で書いた通りである。
興味がある人はみていただきたい。
Fさん58歳、私64歳、この初老の二人を結びつけるきっかけとなったのが
なんとインターネットなのである。

私が描いた似顔絵は、描いた本人が言うのもヘンだが、生Fさんにそっくりだ。
彫りが深く、役者のような味のある顔をしている。
Fさんの人柄が似顔絵にも反映されていると思っている。

コックや板前はお店の味を決める重要な役を担っている存在である。
にもかかわらず、お客様の前に顔を出す機会が意外に少ない。
私はコックや板前の似顔絵を、お店に飾ることを提唱している。
この趣旨については7月19日に当ブログで「店主の顔はオンリーワン」
で書いたとおりである。

この名称について何と呼ぶべきかを考えてきた、適切な名前が欲しい。
考えた結果「似顔絵まいどぼーど」と命名した。一発で理解できる名称だと、
自分では気に入っている。
この度Fさんというユニークな人とお会いできたことを機縁に
Fさんの中華料理のお店を想定して「似顔絵まいどぼーど」を勝手に作ってみた。
この作品をFさんのお店のどこかに飾って欲しいと思い、贈呈させていただいた。

「米どころ新潟」と言えば全国的にも定着しているフレーズだ。
私は新潟市坂井という町に住んでいる。我が家の周辺には田園があり
静かな住宅地である。近年我が家周辺の田んぼは開発という美名のもとに
どんどん埋め立てられて、宅地造成され、住宅地になっている。
大型ショッピングセンターも建設された。

何もこれは我が家の周辺だけのことではない。新潟市の近郊近在の田んぼが
どんどんつぶされている。日本の農政は一体どうなっていくんだろう。
「米どころ新潟」のフレーズは、やがて返上しなければならなくなる
のでは、と思うのは私だけのとり越し苦労なのだろうか。
資本力にものを言わせて大型ショッピングセンターもどんどん進出している。
大量の消費者を呼び込むための、広い駐車場を設けている。

市街地にはコンビニ、ドラッグストア、レンタルショップ、書店、
レストラン、回転寿司、ラーメン店・・・・
いわゆるフランチャイズの店が進出してきている。系列化という
名のもとに、大資本に組み込まれていく中小のお店、あるいは廃業を
余儀なくされるお店がある中で、昔ながらのお店を守って必死に
頑張っているお店もある、が実態は青息吐息状態のお店が大半。

大型ショッピングセンターやフランチャイズのお店と共存共栄し、
地元商店街が活性化しているところもあるのかも知れないが、
そのような商店街はむしろ例外だとみる方がいいだろう。
新潟市、その周辺の町の地元商店街は元気がない。悲しいかな
地元商店街を歩いてみるとシャッタショップがやたらと目につくのだ。

一匹狼的お店にエールを贈りたい。
これは、心情的に私自身が一匹狼という意識があるからなのだろう。
とにもかくにも、地元商店街には必死こいて頑張ってほしい。
そのためには、お店のポリシーを明確にすることだ。
ナンバーワンではなくオンリーワンの店にしていこう。
お客様との接点を積極的に構築して、信頼感、親近感を勝ち取ることだ。
頑固ものだったら、頑固を売りにしていけばいい。
他の店にはない特徴を出していってほしい。

その手段として店長の顔、コック、板前の顔をもっと前に出すことだ。
といっても、仕事の現場を切り盛りしているコックや板前は
お客様が来るたびに顔を見せにくることは現実的ではない。
そこで、似顔絵の登場となる。
写真ではナマナマしすぎる。やはり似顔絵がいいのだ。
「似顔絵まいどぼーど」をお店に飾ろう。

固定客を増やし、一度お店にきたお客様には
確実にリピーターになってもらうこと。これは商売の鉄則だ。
そのためにはお客様に媚びを売る必要はないが、
お客様から愛される店にしていかなければ生き残っていくことはできない。
しかし、自分の顔をさらすようなことは考えられない、と思っているコック、
板前、店主が多いことことだろう。特に新潟の人はシャイな人が多い。
その観念は捨てて欲しい。おつに済ませていればいい時代は終わった、と考えよう。
ともかく大型ショッピングセンターやフランチャイズには
負けない心意気誇りを、似顔絵に託して、堂々と店内に飾ろう。





紙ひも細工の達人

2005年09月06日 | 立体造形
昨日、紙ひも細工の達人Fさんにお会いしてきた。
前回のブログでご紹介した「御神輿」は、なんと2週間で作り上げたという。
驚異的な早さに正直驚いた。これは神業に近い、やはり達人の域だろう。
その後、新作「五重塔」に取り組んでいたことは知っいたのだが
完成したという情報が入ったので、是非新作を拝見したいと思って訪問した。

Fさんは「舟和」という中華料理のお店を経営している。
お店は年中無休でやっているが、月曜日だけ半ドンに
して午後はお店を閉めているのだそうだ。
月曜日の午後Fさんのお店に訪問し、新作「五重塔」を見せてもらった。
細かいところまで、Fさんのこだわりと工夫が施された見事な力作だった。
この手の込んだ造形作品も、制作期間は3週間かかっていないようだ。
塔の先端の飾りから、台座の敷石まで、すべてが紙ひもで
作ってあった。他の素材といえば接着剤のボンドだけ、
これはFさんのこだわりなのである。
新潟県が主催する高齢者の作品展に出品する予定だという。

前作の「御神輿」と、最新作「五重塔」をテーブルにおいて
Fさんと談論風発。Fさんの話は快活で面白く、興味が尽きない。
モノ作りをしている者同士の通じ合うものがあるのだろう。
一瞬の間をいただいて、携帯電話で
作品の背後にたたずむFさんを撮影させていただいた。
非常にいい表情をしているではないか。

Fさんは毎日歩くことを日課にしているのだそうだ。
新潟島1周約15キロを時々歩く。余暇は市内の街探検。
ともかくよく歩いている。好奇心が人並み以上に旺盛のようだ、

「いや、以前は毎日走っていたんです」とFさん。
体に無理がたたったのか
一度、脳梗塞になって倒れ、入院したことがある。
「気は若いが、体は確実に老化していたんでしょうね」とFさん。
処置が早かったので、幸いに後遺症は全然なかったそうだ。
毎日歩くようになったのは、医者から歩くことを進められてから
それを忠実に実行しているというワケだ。
それにしてもFさんは元気だった。
Fさん58歳、私より6歳も若いのだ。
お互いに、いつまでも、というわけにもいかない年齢になっているが、
Fさんには、人生はこれから、というこころ意気で、
トコトン楽しみながら、モノ作りを続けていってほしいものだ。

当ブログが「ゆめひもくらぶ」というブログを主宰している日吉景子さんの
目にとまり、Fさんの紙ひも細工の作品を紹介していただいた。
これはブログのトラックバックによるヒットである。



モノ作りの魅力

2005年09月01日 | 立体造形
日本の祭りに切っても切れない大道具の一つに御神輿(おみこし)がある。
御神輿は日本文化を象徴するカタチの一つでもある。
この御神輿の模型はFさんが作った作品である。
驚くなかれ、この模型はすべて紙ひもを使って作ったものだ。
といっても、はたして信じてもらえるるだろうか。
Fさんが説明してくれた紙ひもというのは、幅が1センチほどの
ベルト状のもので本来は包装用に使われるものであるが
ジョイフル2ではクラフトテープ、エコテープという商品名で、
手作りのバックやカゴを作る素材として人気がある。

Fさんはこれまで趣味として、SL列車、帆船、バイクなどなど
実に緻密な造形作品を、すべて紙ひもだけで作ってきた。
精度の高い見事な造形作品を見ていると、
Fさんはこの紙ひもを使ったもの作りの腕前は
すでに達人に達している、と私は感じた。
Fさんに私は「なぜ紙ひもなの?」と愚問を発してみた。
「材料費が安いからです」というFさんの答えに納得。

Fさんの本職は中華料理店のコックである。
奥さんと一緒に30年、中華料理店を営んできた。
Fさんと知り合ったのは今年の夏7月に入ってからである。
知り合ってから二ヶ月も経っていない。
実はインターネットからFさんとの出会いが生まれた。
Fさんとの出会いの経緯はこうだ。

ある人からインターネットで似顔絵サンクスボードの注文をいただいた。
たまたま発注者は、私の地元の新潟の人だった。
実はFさんは、発注者の花嫁になる人の父親だったというワケである。
お二人の家族に贈りたいので、
それぞれの家族全員に加えて、結婚するお二人の似顔絵を
描いて欲しいという注文だった。家族全員の似顔絵をとのご要望だった。
一枚は5人、もう一枚は6人の似顔絵を描いたボードを仕上げて額装し
お二人の新居であるマンションへお届けした。

2枚のボードのうちの一枚は、花嫁の家族に贈るもで、
実は、このボードにコック姿のFさんの似顔絵を描いていたのだ。
似顔絵はFさんの写真を見て描いた。この時点ではご本人とは会っていない。
花嫁側、つまりFさんの家族は4人家族、二人の娘を育ててきたが
長女が結婚して、家族から離れて住むことになった。
Fさんの家族は奥さんと次女の3人家族になる。
ボードは次女を真中に左右のお父さんとお母さんの3人を配置し
その上に、結婚するお二人を入れる構図とした。
お父さんはコックのスタイルでお母さんは、仕事着で、
という花嫁さんの注文だった。これは意外な注文だった。
ご両親の似顔絵の衣装を仕事着で、という注文は始めてだったからだ。
ご注文に応じてご両親の衣装を仕事着を着せて描いた。
当ブログ「続・サンクスボード」を参照していただきたい。

納品した作品は気に入っていただいた。
お二人のマンションに納品して帰りがけに、
花嫁さんから「お父さんが作ったものです」といって
餃子の皮をいただいた。
ということもあって、Fさんに是非会ってみたいな、と思っていた。
後日、Fさんが経営している中華料理店に行きFさんと始めてあった。
私が写真を見て描いた似顔絵とおりのやさしい顔のFさんがいた。

結婚式の最後に、似顔絵サンクスボードをプレゼントされた
時の様子を「あの時はホントに嬉しかったです」と、
いかにも嬉しそうな顔でFさんが話してくれた。
始めてあったのに、Fさんとすぐに意気投合、
Fさんとの話はつきることなく、旧知の仲のように語り合った。
「私もモノ作りが好きなんです」とFさんが語った。
「そうなんですか、して、どんなモノを作っているんですか?」と私。
そこで店内に飾っていたSL列車、帆船、
バイクなどの作品を見せてもらった。

すべての作品が紙紐だけを使って作ったという作品は
どれも緻密な作りで、非常に素晴らしい出来栄えだった。
私はこんな工芸というか、細工の分野があったことを始めて知った。
このバイクの作品には「ハンズ大賞受賞作品」のプレートが貼ってあった。