今日クルマを運転していて、どうも履いている靴が気になった。
かかとが高いわけでもないし、特に新しいわけでもない。
それなのにアクセルやブレーキを踏む時に、ほんのわずか滑るような感じがする。
頭のどこかで「危ない」という声が聞こえる。
こういう時には逆らわずに、どこかでドライブ用のシューズに替えた方がいい。
そう思って私はスーパーの駐車場にクルマを停めて靴を履き替えた。
その時にふっと思い出したことがある。はるか昔のこと。
クルマの中で大喧嘩をして、男は荒々しくドアを叩きつけて降りてしまった。
私は男を追いかけようと、泣きじゃくりながら運転席に移動した。
そしてその時になって、ピンヒールの高い踵の靴を履いているのに気がついた。
履き替える靴など持っていない。
私は大慌てでハイヒールを脱ぎ捨てると、はだしになった。
その頃のクルマはマニュアル車で、はだしで踏み込むクラッチの板は
重くてごつごつと痛かった。
足の裏に直に伝わる振動と、胸の深いところから来る動揺が体全体を揺らして
私はガタガタと震えていた。
ああ、そんなこともあったなあ。
今はちゃんとトランクに低い踵のシューズが入れてある。
用意のいいことだ。
なんの準備もしていなかったあの頃、心も体も無防備だった。
でもそれが時々わけもなく懐かしくなる。
そんな馬鹿だった自分を、ふと取り戻したくなる。
履き替えるものがなかったあの頃と、今の自分・・
幸せなのはどちらか、などと考えるのは無意味だと知っているけれど。
かかとが高いわけでもないし、特に新しいわけでもない。
それなのにアクセルやブレーキを踏む時に、ほんのわずか滑るような感じがする。
頭のどこかで「危ない」という声が聞こえる。
こういう時には逆らわずに、どこかでドライブ用のシューズに替えた方がいい。
そう思って私はスーパーの駐車場にクルマを停めて靴を履き替えた。
その時にふっと思い出したことがある。はるか昔のこと。
クルマの中で大喧嘩をして、男は荒々しくドアを叩きつけて降りてしまった。
私は男を追いかけようと、泣きじゃくりながら運転席に移動した。
そしてその時になって、ピンヒールの高い踵の靴を履いているのに気がついた。
履き替える靴など持っていない。
私は大慌てでハイヒールを脱ぎ捨てると、はだしになった。
その頃のクルマはマニュアル車で、はだしで踏み込むクラッチの板は
重くてごつごつと痛かった。
足の裏に直に伝わる振動と、胸の深いところから来る動揺が体全体を揺らして
私はガタガタと震えていた。
ああ、そんなこともあったなあ。
今はちゃんとトランクに低い踵のシューズが入れてある。
用意のいいことだ。
なんの準備もしていなかったあの頃、心も体も無防備だった。
でもそれが時々わけもなく懐かしくなる。
そんな馬鹿だった自分を、ふと取り戻したくなる。
履き替えるものがなかったあの頃と、今の自分・・
幸せなのはどちらか、などと考えるのは無意味だと知っているけれど。