風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

政局解散総選挙

2017-09-21 23:24:06 | 時事放談
 数日前の報道によると、安倍内閣の支持率は軒並み回復したらしい。最悪だった7月の調査と比較すると、産経新聞・FNNで50.3%(+15.6%ポイント)、読売新聞で50%(+14%ポイント)と5割を超えた(15%ポイント前後も回復した)のを筆頭に、日経新聞・テレビ東京46%(+7%ポイント)、NHK44%(+9%ポイント)、共同通信44.5%(+8.7%ポイント)、朝日新聞38%(+5%ポイント)、そして誰が名付けたか政権運営の「危険水域」とされる30%を割り込んでいた時事通信でも41.8%(+11.9%ポイント)、毎日新聞39%(+13%ポイント)といった塩梅だ。もはや安倍内閣では憲法改正は出来ないと言われたほど打撃は大きいと見られていたが、どうしたことだろう。
 興味深いのは、産経電子版によると、男女別に見て男性の内閣支持57.4%(不支持35.7%)に対して女性の支持43.6%(不支持44.0%)と「男高女低」の状況が続いているのはともかくとして、男性では全ての年代層で支持が5割を超え、中でも「10、20代」の支持率は各年代層で最も高い69.0%に達した、というところだ。確かに若者の保守化などと言われるが、今回の加計問題をきっかけとした内閣支持率低下に限って見れば、朝日・毎日・(望月サンですっかり有名になった)東京新聞といった既存のリベラル系(端的にサヨク系)日刊紙や系列テレビ局による「印象操作」が奏功したものであって、その後、産経新聞をはじめとする保守系メディアが彼らの「印象操作」や「報道しない自由」を暴きたてて巻き返しを図り、いつしかネットでは「朝日はフェイクニュースの代名詞」「詐欺師の集まり朝日新聞」などといった反応で溢れて、多様なメディアに接する機会が多い若者ほど他の年代層(とりわけ高齢者)よりも早くバランスを回復したと考えれば、なんとなく説明がつく。
 それにしても民心は移ろい易いものだ。もっとも今どき確たる政治信念の人の方が珍しいだろうし、世の価値観は多様化して、多様化した利害を集約するのは難しいばかりでなく、却って与野党を問わず(リベラル・保守を問わず)政治不信が蔓延して、「支持政党なし」がマジョリティの時代である。コチコチのサヨクや保守は別にして、無党派層的な高齢者は、新聞やテレビなどの伝統的メディアが中心だろうから「印象操作」されると影響を受けやすく、ひとたまりもないだろう。しかも高齢者は1960~70年代の学生運動や市民運動を実体験されているから、いろいろな意味で(賛成するにしても反対するにしても)反体制が骨髄に染みついて、ちょっとしたことで、やはり・・・さもありなん・・・に傾きやすいのではないだろうか。
 それにしてもこうした毎月の世論調査に一喜一憂し、政治の成績表であるかのようにああでもないこうでもないと論じるようになったのは、一体いつの頃からであろうか(昔はそうではなかった)。政治家には不人気でも信念をもって国家百年の大計を講じて欲しいものだが、こんなに近視眼的で所謂バンドワゴン的な効果が昂じるようでは、日本とてポピュリズムに堕すばかりではないかと心配になる。
 そんな中、安倍首相は、支持率回復を追い風に、また、混乱が続く民進党と、小池百合子都知事に近い新党の立ち上げ準備の遅れに乗じる好機と、衆議院解散・総選挙を匂わせている。野党は「加計学園などの疑惑隠しだ」と反発するが、その批判は当たらない。また、野党は「大義がない」とも批判し、自民党の石破氏も「国民に何のための解散か、何を問うのか、明確にする必要がある」と述べるが、それはその通りだろう。しかし所詮は選挙である。オモテの政策とウラの政局がセットになった、言わば権力闘争そのものであって、キレイごとばかりで済むものではない。しかし700億円とも800億円とも言われる血税を使う以上、そして1年以上の任期を残して踏み切る以上、それなりに恰好がつく意味あるものにして欲しい。
 共産党の志位委員長は「安倍政権を倒すには、野党と市民の共闘の道しかない」と述べたらしいが、今の政党支持率でそれを言うのかと相変わらず呆れてしまうし、所詮は同床異夢で、安倍さんの「大義なし」を批判出来ないのではないか。社民党の又市幹事長は「北朝鮮の核・ミサイル危機をあおるだけあおって、選挙を行うのは大丈夫だということで、支離滅裂だ」と批判したらしいが、核・ミサイル危機があるから国として何も出来ないようでは「ロケットマン」(何と品のない呼び名か)の思うつぼだ。又市氏はまた「挑発しておきながら、北朝鮮が身構えると『けしからん』といって追及するのは筋が通らない」とも述べたらしいが、どうして倒錯するのだろう。先に核・ミサイル開発で挑発してきたのは「ロケットマン」(何度も言うが、品がない)の方だ。民進党の松野国対委員長は「北朝鮮が15日にミサイルを撃った中で、消費増税分の使い道を見直すとの争点で選挙するのは、あまりにも平和ぼけしている」と安倍晋三首相を牽制したらしいが、国会で加計学園問題ばかり追求し朝鮮半島危機や安全保障論議を避け続けた党には言われたくない。安倍さんも安倍さんながら、野党もこんな調子だから、本当に、困ったものだ。
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