詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

ひとひらの影

2018年09月18日 | 
目をこらす
呼吸をしている
生きているらしい
胸のふくらむのに合わせて
夢の中の場所がゆらゆらする
鉢をのぞきこむと
水の奥に金魚が泳いでいるように

暗がりの中で
そっと追いかけている
かなしみなのかよろこびなのかわからない
ひとひらの影

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2018年09月14日 | メモ
何度も聞いた思い出話だったけれど、それだって、一度きりの出来事だったんだ。

なにもかも一度きりのことばかり。いっしょに過ごせる時間はたくさんあると思っているけれど、たくさんの思い出も、ひとつひとつが、すべて一度きりの経験だった。

ありふれていることは切実でない、なんてことはないのだろう。

それなのに自分自身が、むしろあたりまえのこととして、剥がれていく網膜の一部を簡単に切り捨てようとしてしまう。見えていた景色を簡単にあきらめてしまう。

忘れないで、強く深く、もう一度思い出すことで、世界の膜の上に新たな像が結ばれる。この時のために、あの人はいたのかと思いそうになるほどの。
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2018年09月11日 | 
わすれてしまう
かすれてしまう声

顔は覚えているけれど
声を思い出せなくなってしまったの
と悲しそうに

記憶という不確かな液体が
時とともに流れていってしまう

空洞によって
形のない空気によって
わたしの耳に届く
ないことによって生まれてくる声

ふるえるふるえる

どうやって失われたかもわからない
もともと物ではなかったのに
なぜあなたはそこにいたのでしょう
なぜあなたはそこにいないのでしょう

つかめないものをたよりに
ひとは生きている
いつでもすぐそばにあるのだと思って

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