詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

目覚めよ影たち

2016年12月08日 | 
バシャリ
昼が落ちて
壁に投げつけられた樹木の影

痛みで呼吸する体にキラリと光る金属で
処置を施す手術室のように
硬い光を伸ばす街灯のために

墨色の大気の中
白けた壁面に
灰色の無表情に浮かぶ

葉っぱの艶
幹のごわつき
枝の広がりがつくる
ひとつの家のような奥行きも
枝葉の秘めごと
重なりもずれも
平らに塗り潰されてしまった

輪郭だけがくっきりとして
内側の繊細な線は
すべて溶けてしまって
はじめて見えてくる新しい形

そこには時の経過がないから
瞬間が亡霊のようにへばりついている
楽しげに飾られた三角旗が
無人を鼓舞してハタハタ震えている
それはとても真実
それはとてもわたしに平行している

ペラペラになってしまった影の
イデアのほうは
見えない穴だらけの
外のものを吸ったり吐いたりする
硬かったり柔らかだったりする
歌を内包している
液体や思念の循環を旨とする
みずみずしい固まり

それとも
そのような崩れゆく
手で触れることのできる
悩みさえもいっぱいで実に充ちている
影の元こそがイデア?
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