

ある日の午後、仕事で、とある私鉄沿線の小さな駅のとある場所に出かけました。帰り際に、あるお店の壁にこのジーンズのジャケットが、ひっそりとディスプレイされてあるのを見つけました。とても小振りに見えたので、きっと小さくて、着てみればあまり着映えもしないものなのだろうな…と思いつつも、チョッと気になったので、お店に入って試着させてもらいました。すると、何とこれが意外にも丁寧に仕立てられてあって、ありきたりの作りではなく、小粋な印象と独特の雰囲気をもつ個性豊かな‘お洋服’だったのです。少なくとも、大量生産のジャンクモノではありませんでした。しかもフランスからのインポートモノということで、ディテールにも凝った仕掛けが施されていることと(前立ての部分には大小の形の異なるラインストーンが散りばめられてある上、小振りのいぶしの金具と黒い石も縫い付けられています。)ストレッチ素材であるため、小ぶりながら窮屈ではなく着易いという特徴が、私好みでもあって、結構いいこと尽くめの逸品だったので、お金の持ち合わせがなかったにも拘わらず、カードで購入してしまいました。以前は、blissという名称のブランドもあったのだそうで、blissという可愛いロゴ入りのブルーグレーの袋に入れてもらいました。そのために、嬉しさが倍増したというわけです。けれど後日談があります。その後、自宅で試着してみたら、このジャケット、なかなか着まわしが難しいのです。ジーンズのジャケットには、どんな素材にも不思議とフィットし、それなりのおしゃれ感が漂うという優れた利点があるものですが、このフランス製のジーンズジャケットは、案外小生意気で、合わせるインナーやスカートを選ぶのです。なかなか手ごわい相手です。気回しが難しいなんて…思いませんでした!