建設業に大きく関わりのある仕事をしている。
公共工事が激減して、競争が激しくなり、同業者や関連業者が規模の縮小をし、
倒産しているところも少なくない。
お役所はこうした状況を考慮して、建設業者の下請けを保護するというタテマエで
いろいろ面倒な手続きを行っている。建設業者に「下請けに分配するように」と
下請け工事発注書を提出させたり、下請け会社に適正な価格で支払いが行われている
かを確認するためである。
だけどこれが実際に有効な手段なのか、と問われると、実のところ全く無意味な
対策というか、悪用されているケースが多かったりする。
書類上は支払われたかのように見せかけるために、下請け会社に捺印をさせた書類を
提出させるケースがあったり、不当に高額な「安全協力会費」で相殺されたり、
激化した下請業者の競争によって低価格した「実績価格」の参考にさせられたり。
建設業者が不当に安い価格で下請け会社に発注しないように提出させられる見積もりが、
実は役所が工事を安く上げるために利用されているケースがある。
その上一番困ったのは、役所の不手際で内訳に見積もり漏れがあった追加工事なんかは、
「予算に計上されていないから」という理由で金を出さないし、「それが無いと困る、
引渡しに応じられない」とかなんとか言いながらムリヤリ只で業者に押し付ける。
役所の建設課の担当者に恥をかかせてはイケナイと、建設業者は下請けの了解もない
まま勝手に役所の無理難題を聞きいれ、しかも自分の腹を痛めずにその負担を全て
下請け会社に求める。
表向き下請け業者を守るどーのこーの言って、その対策をしているかのように振舞って
いる役所が、責任逃れの業者いじめのような仕組みを作っている。
具体的に書いちゃうといろいろと憎まれそうだが、役所が作成した建設工事の内訳に
「白いダンゴ50個、黒いダンゴ50個」と計上してあったとしても、実際に食べる
ダンゴは「あずき色のダンゴ150個」だったりするのである。たしかに食べる瞬間まで
正確な数量は把握できなくても、ダンゴの色そのものまた一個の価格がが間違っている
場合が多いのである。
しかも工事中に50個分不足ですよ、と申し出ても、これを認めてくれることはほとんどない。
内訳書の数量=役所で組んでいる予算であり、内訳が間違っていることが役所の上層部に
バレると、設計した担当者的にいろいろと問題があるのだろう。ダンゴ業者は50個分の
不足分は業者持ちになる。100個受注で5%程度の利益しかないのに、増額無しで50個
追加は赤字に直結。役所側は必ずこう言う「今度の仕事で面倒みる」と言う。
しかしこれほど宛てにならないものは無い、次回入札に入れるかどうか、また入ったと
しても業者同士の競争になる。
最後に先方に「なんだ、お宅はまだまだ安く仕事できるんじゃない」と言われる。
このダンゴの損失を防ぐには、ダンゴ業者が“談合”をやるしかない、と最近強く思う
ようになったのである。