堅曹さんを追いかけて

2002年(平成14年)9月から先祖調べをはじめた速水家の嫁は、高祖父速水堅曹(はやみけんそう)に恋をしてしまったのです

速水家古文書学習会@瑞法光寺

2008-09-30 11:58:39 | 勉強会、講演会

お彼岸が過ぎて、一気に涼しくなりました。

そんな秋風そよぐ9月28日の日曜日。

取手市にある瑞法光寺で「速水家古文書学習会」を開きました。


 Cimg5035 瑞法光寺




7月に速水本家に伺ったとき、(クリックすると読めます)貴重な写真類とともに、

堅曹さんが手に入れたものではないかと伝えられている古文書をいただきました。

江戸時代のもので一枚の紙片ですが、

有名なお殿様の文字ではないかとおもわれる流麗な筆致でとても読むことができない。


どうしようかとおもっていたところ、

「夢酔い人K」さんが、親戚の東京大学史料編纂所准教授の箱石大氏を招いて、

これをテキストに勉強会を行なおうと提案してくださいました。

GOOD IDEA!です。



早速に歴史ワーキンググループの皆に声をかけ、歴史好きの親戚も誘って、

内々で11名の参加となりました。

場所は堅曹さんのモニュメントがある瑞法光寺です。

本当の「寺子屋」での学びとなりました。


午後1時半、まず住職の説明を受けながら、寺宝である天拝鬼子母尊神像と

平成元年に日本橋小伝馬町から移築してきたお堂を見学しました。


 

 Cimg5028 鬼子母尊神堂




その後、速水堅曹夫婦の墓参りとモニュメントの見学をおこない、皆で記念撮影。


さあ、これから、箱石先生を囲んでの学習会のはじまりです。


 Cimg5011 寺子屋みたいな授業


座敷に机を並べて、ホワイトボードが異質な感じですけれど、講義がはじまりました。

最初に先生は古文書を読める方がどのくらいいるか聞かれ、数人の方が手を挙げました。

私も含め全くの初心者が3分の2以上なのを確認して、

基本的なことから教えてくださいました。


  まず、この古文書がどういったものなのかを明らかにする。

  書かれている紙の種類や状態などから推察する、いわゆる「形態」の観察。

  次に「様式」といって文章の書き方からどういった種類の文書なのかを見極める。

  これは巻紙に書かれ、紙の種類は私信に使われるものである。

  様式は「書札礼(しょさつれい)」という古文書の様式にのっとってみてみると、

  書き出しの語や結びの語から、これは身分の高い人から低い人へあてたものといえる。



いきなりくずし字をどんどん読んでいくのかと思っていたわたしは、

“へ~そうなんだ”、と関心することばかり。

そして辞典はどういったものが使いやすいのか、とか調べる時のコツなどを

教えてくださいました。


さて文章を読んでいきます。

一文字一文字、これはこうやってくずされているので、こう読める、

と丁寧に説明してくださいます。


  Cimg5015 くずし字の説明


本当に全然読めない私にもよくわかります。

文書の中にでてくる人名については、夢酔い人Kさんが資料をつくってきてくださったので、

それを参照していきました。

ここまででほぼ一時間半経ちました。


全文を読み終わり、古文書の内容があきらかとなりました。

ある有名なお殿様が「側用人へ」として命令を書き付けて渡したもののようです。


しかし

  この文書がどうして速水家にあるのか?

  堅曹さんは誰から手に入れたのか?

  この文書の内容と堅曹さんが持っていることに何か意味があるのか?

等々、まだ文書を読み解いただけではわからないことがたくさんあります。



そこで次は登場人物や、時代背景から、夢酔い人Kさんが堅曹さんの日記から

推論しました。

  慶応四年

    四月初旬ヨリ林覚了(鶴梁)先生前橋ニ来故、日々行而密談ス

                         『速水堅曹履歴抜粋甲号自記』 


この「林鶴梁」なる人物がこの古文書の入手先のキーポイントかもしれない、ということです。

今日はここまでです。



こういったものがでてくると、堅曹さんの隠密行動や人脈に謎の部分が多いのに

気づかされます。

たった一行の日記にも意味があり、書かなかった事、書けなかった事を

どこまで辿れるのかが、最終的な人物像にいきつけるかどうかだとおもいます。

書いてあることすら、すべて把握できているわけでもないのに、

どうしてか、謎めいた彼の行動には惹かれてしまいます。



さて、ここでコーヒーと洋菓子で休憩をして、


 Cimg5020 休憩時間に皆で古文書を閲覧



第二部は大河ドラマで人気の「篤姫」についてのお話です。

少しリラックスしながら、先生の用意された、これからの見所になるであろう、

鳥羽伏見の戦いから江戸城明け渡しまでの歴史的事実を、

時系列と人物の行動との並列で教えていただきました。


私は小説やドラマで見聞きしていることが、どこまで史実で

どこまでフィクションなのか判断がつかないのですが、

先生はこのことは史料があり事実で、これは小説などで誇張して描かれている、

と一つ一つの事柄を解説してくださいました。


幕末明治の時代をイメージでとらえていることが多くあり、

そんな単純なことじゃなかったんだ。

歴史って実際には当事者が俯瞰的にとらえるのは難しいだろうし、

いろんなことが各地で同時におこって、相乗効果もあり、争いもあって、

少しずつ国の方向とかが固まってくるのかな、と思いました。



学習会がおわったのはもう予定を1時間もオーバーの5時でした。

おもしろくって、いくら時間があっても足りないほどの内容の濃い授業でした。

「丁寧に親切に、こんなにわかりやすい古文書の講義はないね」という参加者の感想を

いただきました。

先生のお人柄だとおもいます。

とても充実した講義をありがとうございました。

提案して尽力したくださった夢酔い人Kさんに感謝いたします。

そして参加してくださった皆さんにはモニュメント見学とお墓参りをしていただき、

本当にありがたいと思いました。


堅曹さんよかったね。と心の中でおもいました。