ちいさいやつら

わが家のセキセイインコとアキクサインコのお話

引き潮に乗って(その1)

2014-12-22 11:35:00 | 自分のこと


左側の新しいサンキライのリースに





交換した日は





綾子の2度目の命日でした。


その、最期になった日のことを
書いてみようかなと思います。
長くなるので
ご興味なければスルーしてくださいね。


2年前のあの日
丁度夕食を作り終えたくらいの午後7時
綾子が入院している病院から電話がかかってきました。

その頃、短期間だけいた見習いの若い男の先生から。

綾子が今、高酸素室に入っているという。
そして卵管炎かもしれない、お腹が腫れてる
ということから治療法の話になり
元々、翌日には病院に行く予定だったから
それは明日、詳しく教えてくれませんか?と言ったら
今日これから来られませんか?という。

前日に入院させ、先生にゆだねたからもう安心!
と思っていたので、これから来いといわれても
それが綾子の命が危ない知らせなのだとは思い至らず
あれやこれや、今からしなければならない
目の前のことばかりが頭に浮かび
さらに、なんとなく煮え切らない先生の話に
どうして今行かなくてはならないのかなぁ?と
すっとぼけたことを考えていました。
今から思えば電話口ではっきりと危ないなんて
言い出せなかったのでしょう。

とりあえず
1時間ほどしたら行きますといって電話を切り
夕食を先に食べてしまおうと思い
スープをひと口飲んだら
喉がきゅっと詰まった感じになっていてうまく飲み込めず
あらどうしたのかしら・・・と思った時、唐突に
もしかして綾子は危ないってことなの?!と
そこでやっと思い当たったのでした。
頭より、身体が先に反応してたよう。

これは夕食どころではないと
はやる気持ちを抑えて車に乗り
夜は空いているから20分もあれば着く、安全運転で行こう
と自分に言い聞かせて車を走らせていたら
後ろからけたたましいサイレンと共に
消防車が近づいてきて左に寄ってくれという。
脇に停車させて3台の消防車をやり過ごしてからしばらく行き
交差点で右折待ちをしていたら
今度は別の方角から救急車のサイレンが・・・。
そのために、青信号をひとつ見逃す羽目に。

こんなに道は空いているのに進もうとすると邪魔が入る。
これはやはり綾子の前途は多難ということか?
もしかしてもうだめなのか?と考え始めたら
こらえても涙が出てきてしまう。
これでは事故ると思って
あえて何も考えないようにして運転していたら
今度はタクシーに停められました。

え?

片側二車線道路で私がいるのは右側車線。
私の前には、左右どちらの車線にもタクシーがいて
2台仲良く並走している。
その2台がそのまま同時に停まったのです。
幾人かの若者を乗せるため。

でもありえない。

普通、右の車線にいるタクシーは
左に移動してから停まるのが常識。
なのにそれをしないでそのまま停まり
私の車を堰き止めたのでした。

道は空いてて私の後ろに車はいない。
迷惑を蒙っているのは私だけ。

随分失礼なタクシーだけど
その時はもう、これが天意なのか・・・と思って
ただ呆然と若者たちが乗り込んで
タクシーが動き出すのを待っていました。

落ち着けと、理性で抑えていた気持ちも
このタクシーの一件から抑えられなくなり
もう間に合わないかもしれないと思うと手が震え
前が見えなくなりそうになりながら病院へ。

それでも綾子は喘ぎつつ待っててくれました。

入院室に行くといつもの先生がいて
少し前まで胸をべたっとつけて
とても苦しそうだったけど今は持ち直したようだと言う。




(前日のレントゲン)

卵管か卵巣が急激に腫れたようで
2センチ大の腫瘍のようなものがあって
(レントゲンの上部、十字の点線があるところ)
腹水も溜まってるので
それらが気嚢を圧迫していて苦しいのだろう
まずは利尿剤を打って腹水を出すのが先決だと。

医者ならではの心情なのかもしれないけれど
もうだめだ、連れて帰った方がいいとは一切いわず
今後の治療のことを話している先生
それから、始めに聞いた「持ち直した」という言葉・・・
そのことで、この時の私は
綾子にはまだ未来があるのかと思ったのです。
いや、思いたかったのかもしれません。

確かに先生は「打つ手は少ない」と言った。
それは、もうだめだと言う代わりの言葉ではなかったか。
いろいろ話をしている最中に泣き出した私を持て余し
これからの話をしたのではなかったか。

全てのベクトルが綾子の死の方向を示していたのに
この時の私は聞きたい言葉だけを聞き
未来にすがったのでした。

それでなくても
身体を波打たせて息している綾子を
高酸素室から出すなんて私には出来なかった。
冷静に考えれば
それは苦しみを長引かせただけだったのだけど
自分の決断で死を迎えさせることがとても怖かった。

途中、三度も止められて
もう何をしてもうまくいかないのだろうと
どこかで悟っていたのにそれに蓋をした。

そして閉院時間も迫ってきていて
ここに長くいるわけにはいかないから
あとの治療のことは先生にお任せし
喘いでいる綾子を置いて一旦帰ることにしたのです。
後ろ髪を引かれながら・・・


すみません、長くなるので明日に続けます。
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