評価点:40点/2012年/フランス/92分
監督:オリビエ・メガトン
日常性のない「拉致」なんて、だれも楽しくない。
パリでの誘拐事件からまだ立ち直れないキム(マギー・グレイス)は、父親の心配性に少しうんざりしていた。
また、離婚した妻は再婚したが、うまくいかずに別れ話が持ち上がっていた。
そんなある日、ブライアン(リーアム・ニーソン)はトルコのイスタンブールに仕事があり、妻子を呼び寄せしばしのバカンスのはずだった。
しかし、パリの星と月のメンバーの生き残りが、彼らを付けねらっていた……。
「96時間」の娘溺愛親父のパート2。
あの事件の組織が復讐しにくるというシナリオだ。
あの展開から続編を作るのは難しいだろうと思いながらも、やはりオヤジの暴れっぷりをみたかったので、公開終了間近に映画館に飛び込んだ。
ところが、前作より大幅パワーダウン。
前作が好きだったから見ようと思うなら、止めておいたほうがいいかもしれない。
相当のリーアム・ニーソン好き(60歳)なら、別だが、他にもアクションはたくさんあるので、レンタルで十分かもしれない。
まあ、この批評を見る頃にはもしかしたら公開終了になっているかもしれないが。
▼以下はネタバレあり▼
前作の面白さはなんだったのか。
その問いを発せずに作ったとしか思えない。
ただのキャラ押しだけではすでに映画は売れないし、楽しめないのは自明の理なのに。
このシリーズ(と言っていいのか)が面白い理由は、「ありえるかもしれない危険性」というところにある。
パリは観光名所だし、だれもがあこがれる街だ。
行ったことがある人もいれば、実際に危険な経験をした人も多いだろう。
だから、おもしろかったのだ。
今回は残念ながら、トルコ風アイスとシシカバブくらいしか思い出せないイスタンブールが舞台となる。
「どこ、それ!!」といいたくなるし、トルコなら拉致が起きても仕方がないかな、と思えてしまう。(トルコさん、すみません)
だから、その設定の時点で面白くない。
CIAのオヤジが父親という設定、娘がトラウマを抱えているという設定、母親が再婚してさらに離婚しようとしているという設定、さらにその親子がイスタンブールに行こうという設定。
すべてが非日常すぎて感情移入する余地がない。
前回までの話を知っていることが前提となるのは仕方がないが、それにしても、普通に生活している人(アメリカであろうと日本であろうと)からすれば、あまりにもかけ離れた話になっている。
そして、なにより見せ方がわるい。
得体の知れない組織を、どんどん追い詰めていって最後は街の黒く大きな部分に迫る、という小気味よいリズムがあった前作。
それに対して、今回はのっけから首謀者がスクリーンに登場し、敵味方双方の視点から展開される。
絶対に負けないことが明白であるオヤジと平行に描かれると、どうしても落としどころが見えてしまう。
どうなるのだろう、というわくわく感は全く得られない。
また、敵が弱すぎる。
二時きっかりに娘の家を訪れるオヤジに対して、怖さがない。
連れて行くときに独り言を話すオヤジを止めもしない。
拉致したのに、手下はサッカーに夢中になり電話していることにも気づかない。
素人の娘をあっという間に取り逃がす。
徹底しているところがないので、「ああ、こりゃ勝てないわ」と思ってしまう。
絶体絶命に追い詰められている感じがないのだ。
アクションもアクションで、安易な早回しの多用で、切れ味が悪い。
お父さんのアイデアも目を見張るものではない。
すごくチープだし、陳腐だ。
オヤジのキャラは相変わらずいい味を出している。
明らかにソーシャルスキルが足りていないような、思い込みの激しい性格は一緒に生活するのは難しいだろう。
もう少し、彼のキャラクター性(過去)を掘り起こすようなシナリオを書けばもっと広がったはずなのに。
次回作は、残る息子2人がさらに復讐してくるのだろうか。
そうであれば、ちょっと映画館に行くのを躊躇するかもしれない。
監督:オリビエ・メガトン
日常性のない「拉致」なんて、だれも楽しくない。
パリでの誘拐事件からまだ立ち直れないキム(マギー・グレイス)は、父親の心配性に少しうんざりしていた。
また、離婚した妻は再婚したが、うまくいかずに別れ話が持ち上がっていた。
そんなある日、ブライアン(リーアム・ニーソン)はトルコのイスタンブールに仕事があり、妻子を呼び寄せしばしのバカンスのはずだった。
しかし、パリの星と月のメンバーの生き残りが、彼らを付けねらっていた……。
「96時間」の娘溺愛親父のパート2。
あの事件の組織が復讐しにくるというシナリオだ。
あの展開から続編を作るのは難しいだろうと思いながらも、やはりオヤジの暴れっぷりをみたかったので、公開終了間近に映画館に飛び込んだ。
ところが、前作より大幅パワーダウン。
前作が好きだったから見ようと思うなら、止めておいたほうがいいかもしれない。
相当のリーアム・ニーソン好き(60歳)なら、別だが、他にもアクションはたくさんあるので、レンタルで十分かもしれない。
まあ、この批評を見る頃にはもしかしたら公開終了になっているかもしれないが。
▼以下はネタバレあり▼
前作の面白さはなんだったのか。
その問いを発せずに作ったとしか思えない。
ただのキャラ押しだけではすでに映画は売れないし、楽しめないのは自明の理なのに。
このシリーズ(と言っていいのか)が面白い理由は、「ありえるかもしれない危険性」というところにある。
パリは観光名所だし、だれもがあこがれる街だ。
行ったことがある人もいれば、実際に危険な経験をした人も多いだろう。
だから、おもしろかったのだ。
今回は残念ながら、トルコ風アイスとシシカバブくらいしか思い出せないイスタンブールが舞台となる。
「どこ、それ!!」といいたくなるし、トルコなら拉致が起きても仕方がないかな、と思えてしまう。(トルコさん、すみません)
だから、その設定の時点で面白くない。
CIAのオヤジが父親という設定、娘がトラウマを抱えているという設定、母親が再婚してさらに離婚しようとしているという設定、さらにその親子がイスタンブールに行こうという設定。
すべてが非日常すぎて感情移入する余地がない。
前回までの話を知っていることが前提となるのは仕方がないが、それにしても、普通に生活している人(アメリカであろうと日本であろうと)からすれば、あまりにもかけ離れた話になっている。
そして、なにより見せ方がわるい。
得体の知れない組織を、どんどん追い詰めていって最後は街の黒く大きな部分に迫る、という小気味よいリズムがあった前作。
それに対して、今回はのっけから首謀者がスクリーンに登場し、敵味方双方の視点から展開される。
絶対に負けないことが明白であるオヤジと平行に描かれると、どうしても落としどころが見えてしまう。
どうなるのだろう、というわくわく感は全く得られない。
また、敵が弱すぎる。
二時きっかりに娘の家を訪れるオヤジに対して、怖さがない。
連れて行くときに独り言を話すオヤジを止めもしない。
拉致したのに、手下はサッカーに夢中になり電話していることにも気づかない。
素人の娘をあっという間に取り逃がす。
徹底しているところがないので、「ああ、こりゃ勝てないわ」と思ってしまう。
絶体絶命に追い詰められている感じがないのだ。
アクションもアクションで、安易な早回しの多用で、切れ味が悪い。
お父さんのアイデアも目を見張るものではない。
すごくチープだし、陳腐だ。
オヤジのキャラは相変わらずいい味を出している。
明らかにソーシャルスキルが足りていないような、思い込みの激しい性格は一緒に生活するのは難しいだろう。
もう少し、彼のキャラクター性(過去)を掘り起こすようなシナリオを書けばもっと広がったはずなのに。
次回作は、残る息子2人がさらに復讐してくるのだろうか。
そうであれば、ちょっと映画館に行くのを躊躇するかもしれない。
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