人それぞれのホームドラマ

是枝裕和監督の最新作、「歩いても 歩いても」です。
誰もが成長するにつれ経験する肉親の老い、
来るべき時の予感をさりげない日常を見せながら描写しています。
出演は阿部博、夏川結衣、樹木希林、原田芳雄、YOU。

※今回もあります、前売特典のエコバッグです


事故で無くなった長男の命日に久しぶりに実家に集まった家族。
次男は帰省に気が重い。
結婚した相手は子連れで、自分は失業中の身。
常に亡き長男と比べられる事のコンプレックスと不満を抱いている。
母親は長男が命とひきかえに助けた青年を毎年呼んでは恨み節。
こっそり父親が浮気した時の音楽を今頃かけるしたたかさ。
父親はかつては開業医だったが引退、
実家を「おばぁちゃんち」と言われるのが気に食わない。
長女はその間を上手く立ち回る。

実家を長く離れている方はこの感覚良くわかると思います。

あれっ母親ってこんなに辛辣だったっけ?とか
父親ってこんなに大人げなかったっけ?とか、
何気ない日常の会話に潜んでいる
言葉の刺を丹念にあぶり出していく。
ふたりっきりになった時に父親が次男に
「仕事うまくいってるのか?」と気遣うシーンとか
家族であればこその絶妙のタイミング。
短い上映時間の間に、
家族のこれまでの歩みを凝縮させる演出はさすが。

私もおじいちゃんおばあちゃんちに行った時の事、
そして実家に帰った時の事を思い出しました。