とあるTSUTAYA店員の映画日記

L'histoire du cinéma est un long martyloge.

イエロー

2008-10-20 02:56:27 | Weblog


電グルのニューアルバム出ましたね。

ふ~ん。こう言うのをアシッドハウスというのかと、一人合点して酒とタバコで痺れ気味の頭に流し込んでいます。

好きです。

よく考えると電グルのアルバム初めて買ったことになる。いや~、ジャケットもかわいくて好きです。歌詞カードを裏返すと目みたいになってるところが赤から黒になるんですね。楽しいので、歌詞カード出すたびに色を変えてみてます。しかし、相変わらず歌詞意味ないw

全体的にインストメインの曲が多いです。やっぱ今度のライブも瀧は踊ってるだけなんかなw

中毒性がある感じで、とにかく聞きまくってしまってます。後半、6曲目のAcid House All Night Longからは特に気持ちよくて、何回聞いても10曲目のArea Areanaの辺では端から見たら相当気持ち悪い顔をしてるような気がします。外で聞いてるとちょっと危ない子のようになってるかもしれません。でも、Best Trackは モグラ獣人の告白 かな?


とか言っててももうすぐシガーロスなので、シガーロスの予習もしなければ。すでに曲名を覚えるのは諦めてます。なんて読むかわからん!でも、アルバムごとの雰囲気はなんとなくでもおさらいしておこう。



とりあえず、今から朝まで英語の文章の要約をするので、その間はヨンシーの声に浸っておこう。秋の空気に合い過ぎる。


あ、日記タイトルの下の「Kiss In The Flicks」ってのは大した意味はありません。

勝手に考えて気にいってる言葉です。

flickってのは、もとは「ヒョイッと素早く動かすこと」っていうような意味なんですが、映画という意味があって、それが複数形になると映画館って意味もあって、という言葉です。最近映画研究の入門書の中で見つけて、それ以来かなり気にいってます。すごく身近な感じがするし、カタカタと映写機の音がしそうな感じがするので好きです。

そのflicksって言葉を使って、なんか簡単な例文は作れないものか、って考えてる時に出てきた言葉が上のやつです。考えたあとで結構多義的だなと思って喜んでのせてみました。それだけ。なんかロマンチックじゃありません?

へへへ。


英語やります。

やっとタオルケットから掛布団に移行

2008-10-17 03:47:21 | Weblog
さすがのボクでも、もう寒いです。

寝具を代えたので、なし崩しになってた生活習慣がよくなればいいな、と思いながら夜更かししてます。


昨日の日記を見て反省。

完全に酔っぱらいの文章になってしまってますね。

これじゃダメだ。成瀬を世に普及しないといけないのに。成瀬さんごめんなさい。

酔っぱらった時しかアウトプットできないのってダメですねw

でも、気分だけでも伝われば。1950年代ベスト5ってのは本気なので、見てみてください。

みんな!日本映画の話しようよ!よ!よ、よ。よ。。よ・・・。

ボクは基本呑気なので、実はあんまり日本映画の状況に危機感を持ってません。

と、言うより物心ついた時からひどい状況ばっかり目にしてたので、ちょっと慣れっこになってて。大学に入って本気で見始めて、昔へいけばいくほどおもしろい映画がわんさか出てきて、虜になっていくばかり。現在の状況とも、ごく近い人間とも、日本映画に関しては特に乖離して行くばかりで。みんな見ればいいのに、と思うんですが、みんなの「白黒の日本映画なんて」という偏見、いや趣向を踏み越えるほど、ボクの言葉は巧みではなく、結局ろくに誰も引き込めぬままです。あーがんばろう。なんか昨日の日記見て思いました。たまに、今の日本の映画を見て、ムカーっときたり、イライラしたりするんですが、今ボクはひたすらディグってる段階で、そっちの方がおもしろくて、言語化ってか、体系的に考えを展開したりできてません。でもこれじゃいかんよなぁ。なんか議論が生まれる場に持っていけんとおもしろくない。ってことで、冷静に「今成瀬を語る意味」を、そして「今いかに成瀬を語るべきか」を、さらに「今日本映画をどう見ていくべきか」を考えていきたいと思います。あと「どうおすすめすべきか」もね。愚か者の思考の努力に乞うご期待。

そこに関連するTSUTAYA話を少し。

今店の在庫整理をしています。売り場をちょっとやり変えるので、余剰在庫を削りまくってます。一人で。それで気づいたのが、いかに旧作が借りられないか。充実しているとは言えないうちの在庫ですが、店も狭くはないのであれもこれもないという状況ではありません。なのに、旧作のコーナー(業界用語でカタログと言います)は、ほぼ手つかずの状態。見るからにしょうもない日本未公開の洋画アクションとかはそれなりに借りられてるのにね。やっぱり売り上げ的にも新作が圧倒的だそうです。ボクからしたらカタログの棚見てた方が楽しいのに。残ってるのはそれなりに選択されてるしね。未だに店の在庫眺めてて「これあったんや!」って発見があって興奮するし。ま、見たい新作は劇場公開時にある程度チェックしてるボクはちょっと違うのかもしれません。

今やってるのは要するにそのカタログを削る作業です。資本主義の原理に従えば当然のことでしょうな。以前そこに対する批判をしましたが、やっぱ客がカタログの棚すら見ない状況ではどうしようもない。で、店長の意図とは独立して、いかに客に旧作に目を向けさせるかを勝手に思案中です。

でもわからへ~ん。

白黒の映画とか、「思い出映画館」とかいうコーナーにまとまってる方が見ます?それともそんなコーナーなんて目もくれません?絶対見させたいと思ってるんじゃなくて、大体10代後半から30代前半くらいまでの人に、昔の日本映画を、有効なオルタナティブとして提示できる売り場をどうやったら作れるか思案中です。もっと「見る映画を選ぶ」ってことを楽しんでもらえるというか。

さて、どうしたものか。いろいろやって見ようと思うんですが。

意見求む。


その一環として

映画のコメント募集します!

おすすめ映画に関して50字~100字くらいのコメントをいただけませんでしょうか?

別に真面目なもんじゃなくて結構です。

いただければポップにします。ほぼ確実に。ボクの働く「とある」TSUTAYAでですが。


ご協力お願いいたします。

夏が終わった。

2008-10-16 04:52:53 | Weblog
なんか高校球児みたいなタイトルですね。

発表終わりました。

しばらく成瀬の話はしませんw

なんか、卒論の時以上に成瀬と親密になれた気がしました。

言いたいこと言ってやった感があるので、満足はしてるのですが、

なんせ質疑が盛り上がらなかったのが心残り。

自分の発表が終わったあと、バタバタと他の人の発表を聞きに行ったり、シンポジウムに出ずに昼過ぎから鴨川のほとりでビールを飲みまくったりしてたので、誰からもコメント貰えへんかったし。。しまったな。

しかし、みんな成瀬ってあんまり知らないのでしょうか。というか、知っててもあんまり注目しないんでしょうかね。

ボクは別に成瀬の専門家でもなくて、ただの一ファンなので、ここにきてふと思えば、どれくらいの認知度があるのかちゃんと考えたことがなかったなと。

「今成瀬を見ていることが重要なんだ」とかいいながらw

あなたはボクの口以外から成瀬巳喜男の名を聞いたことありますか?なんか作品見たことありますか?

ということで今日はちょっと成瀬の映画を紹介したいと思います。

前もここで書いたのですが、成瀬は日本映画の黄金期とされる1930年代と1950年代に活躍した監督の一人です。彼は1905年生まれ、1930年に監督デビューしてます。とは言うものの、全キャリアを網羅するのは不可能。映像がありません。でも、1950年代の傑作はDVD化されています。もちろんTSUTAYAでレンタルできますよ。お店によりますが、もしかしたら「思い出映画館」たるコーナーにずらっと並んでいるかもしれません。
で、何を最初に手に取るのか。これはかなり迷うところです。彼の映画は佳作、いや傑作群だから。と、ボクが言っても信じてもらえないかもしれませんね。ま、そんなことを言ってても始まらないのでとにかく見て欲しい作品を5つあげます。ただ5つ並べてもおもしろくないので無理矢理ランキングにしてみましょう。

は~い!では、とあるオタクTSUTAYA店員の成瀬巳喜男ムリヤリランキング!

5位『晩菊』

1950年代作品の中から5つ、簡単やん!と思ってたんですがかなり難しい。なんか4位までは不動で。でも5位はこれだ!主演は我らが杉村春子です。落ちぶれた元芸者のおばさん達の物語。杉村春子は、昔の仲間に高金利で金を貸しまくって、容赦なく取り立てまくるっていうまんまのキャラなんですが、昔惚れた男がふらっとやってきてかなり取り乱します。それがかわいいのなんの。ま、物語は自体は群像劇なんですが、この杉村春子演じる主人公同様、みんな容易にコミットできないくらい人間臭い。それをケタケタと笑ってるうちになぜか、取込まれていく。そう、なぜか取込まれて行く。これが成瀬のすごいところですね。上原謙(加山雄三の父)のだめ男具合も必見です。



4位『浮雲』

これは世が認める成瀬の最高傑作でしょう。でも4位。それはボクは高峰秀子が嫌いだからです。と、いいながらこの作品は高峰秀子じゃないとダメだなとも思う。グダグダとくっついたり別れたりする男女の物語。もー、はっきりしーや!って思うぐらいグダグダです。特に森雅之。こんな男はダメです。そんな男を愛してしまう高峰。その執拗さも怖いです。でもいいの。いいのよ。なんでやろね。何回見ても、雨の中、高峰が振り返るあのシーンで泣いてしまいます。



3位『稲妻』

さて、ここまで来ると順位のつけようがなくなってくるんですが。卒論で扱ってるし。3位は、大映作品。主演は高峰秀子。だから3位なのかも。でも一番最初に見てほしいのはこれかも。父親がみんな違う4人兄妹の物語。この映画で何がすごいかって言うと、一番肝心なところで言葉を排除してしまうところですね。主人公は高峰演じる一番したの妹なんですが、物語は彼女の家族に対する反発の視線で描かれていく。こんな家に生まれたのは不幸だ、不幸だ、やだやだ、さっさと出て行こう、縁を切っちゃいたい、と言う感じで。でも、それがひっくり返る瞬間があるんです。それがクライマックスになるんですが。なんと成瀬はそれを稲妻とピアノの音だけで処理してしまうんです。別に何も解決してないのに、なぜかすがすがしい気持ちにさせる。登場人物も、観客も、あの瞬間は恐ろしく映画的だと思います。ちなみに、ボクの好きなキャラは欲望の塊のような縫子姉さんです。めっちゃやな奴やけど憎めません。



2位『山の音』

まず一言。山村聡最高!!!おっさんと嫁の密かな恋の物語です。卒論ではそうは読みたくなかったんですが、やっぱそうですね。こんな義父のもとを去る原節子が信じられん!ま、おっさんが勝手に嫁に恋心を抱いてて、嫁はその優しさには心惹かれるけど、浮気者の夫に耐えきれずに出て行くって話です。もう、おっさんの優しさにこっちが惚れてしまう感じです。ここで重要なのは、まなざし。均等に振り分けられてるように見える、おっさんのパートと嫁のパートが、実はおっさんのまなざしに基軸がおかれて語られていたと気づく時、すっごく悲しくなります。でも、ラストで救われるんです。おっさんではなくこっちが。意味わからんこと言ってますが、見たらたぶん分かると思います。



1位『めし』

ボクはここから入りました。この作品に出会わなければ、きっと今頃成瀬の名を口にすることもなかったでしょう。初めて見た時、一人でガッツポーズをしたのを覚えています。ほんとにいい。人間の感情って、口にできるほど明確化することってそうそうなくて、口にしようと努力するってこともなくて、でもそんなよくわかんない名もなき感情の中で生きてるんですね。だからこそよくわからんけど日常がしんどいことって多い。でも、だからこそよくわかんないけど日常が輝く瞬間もあるわけで。成瀬はその瞬間を見事に捉える。この作品はそれを一番感じさせてくれると思う。それを体験してください。あなたはあの原節子の表情に何を感じるでしょうか。


番外編『あにいもうと』

これが今回発表で扱った映画です。ちょっと手に入りにくいので除外しましたが、一応紹介します。ボクの考える本質的な魅力を語り出すと、7000字くらいかかります。これは、兄と妹の反目と愛情の物語。男に妊娠させられて家に帰ってきた哀れな妹を愛してるが故にただただののしりまくる兄(森雅之)と、そんな兄にめちゃ反発しながらも「あんな兄さんの顔を見たくなる時もあるのよ」とか言ってしまうかわいい妹(京マチ子)の物語です。父親がところどころ登場するんですが、その父親・赤座って登場人物の視線がどういう意味を持つのかって言う議論をしました。一番の見所は、なんといってもこの兄いもうとの喧嘩。森雅之の口上のような罵詈雑言と、それに負けじと抵抗する京マチ子の発する凄まじくパワフルな「汚い」女言葉。この掛け合いが美し過ぎる。でもね、赤座がいいんです。自分の存在価値を失った寂しい男なんですが、彼はひたすら失ったものを見続けるんですよ。ボクらはその視線の隣で物語をみることになるのです。いいです。山本礼三郎。


え~。かなり乱暴なコメント付きのランキングでしたがいかがでしたか?これをきっかけに、、ならんかもしれへんけど、成瀬を見ることになったら、話しましょう。ここに書いたことより、もうちょっとだけちゃんと考えてるつもりです。

せやけど、今成瀬を見る意味ってなんやろね?

そこも一緒に考えましょ。



また、成瀬の話で終わってしまった。

発表原稿の第三稿を先生に提出したあと、ラガー大瓶を煽りながら

2008-10-09 04:18:40 | Weblog
秋ですねぇ。

ボクが秋になって最初にしたことと言えば風邪を引いたことでしょうか。

とは言え、初の学会発表前。成瀬のことを・・・

一応いっときますけど、ずっと頭の中に隅にありますが、考えっぱなしではありません。

ほかのことを書くつもりだったけどやっぱ言いたい!ってことで、

またかよ!成瀬とか知らんし勝手にやってくれ!という方はどっかでエロ画像でも探してオナニーしてくれてもいいですよ~。義理で読む必要はありません。

いや!でもここまで来たなら読んで!w

正直、パーソナリティが明確に見えてこない作家で

そこは承知の上だったんですが、やっぱ難しいね、そういう作家を語るのは

でもそこが惹かれるところでもある訳で

職人的なところに身を隠してて、ほいでもって、人間の本性を知ってて、すっごくシニカルで。もちろんテーマ的なものにもそれは感じられるんだけど、それよりも彼のその態度がボクを魅了するのは彼の「見る」ことに対する姿勢。彼は映画を見るって体験を、人間を見るって体験としてボクらに与えてる。彼の映画をリアルとするならそこだと思う。ちょっと飛躍するかもしれへんけど、成瀬は「人間関係とは見ることだ」と言ってるんじゃないだろうか。
 
 言葉なんか信じひんとは言わへん。でも、言葉は常に今を表現することはできない。言葉が語れるのは、過去であり、未来であるかもしれないが、そんなものには及ばなくとも視覚は今を捉える。この瞬間を、ボクが対しているこの現実を。認識論的に、現象学的にさらに踏み込むことは可能だ。だが、そんな哲学の狂人、いや偉人が言っていることは、ボクの今の見ていることは捉えきれない。偽物であれなんであれボクは見ている。それが人との唯一の接点、世界との唯一の接点である。今この瞬間の連続の中での唯一の接点、それが視覚だ。ボクは見ているものしか信じない、見ているものしか疑わないのと同じ仕方で。だから、見えないものに関しては考えるだろう。だが、信じない。これがボクの世界との接し方だし、信じ方だ。
 
 はて、かなりパーソナルな話に展開しているが、、、まぁそれを見透かすような演出をさらっとやるのが成瀬なのだ。彼は、彼のキャラクターたちに偽りの言葉を語らせ、偽りの人生を生きさせる。そして彼らには、常に見ることを強いる。今を、彼を、彼女を、妻を、夫を、子供を、そして世界を。それだけが本当だと言うかのように。全ての言葉は偽り、表情さえもそうであろう。ただ見ること。見ていること。それだけが本当なのだ。ボクは彼にそう言われている気がする。


ああ、今日は音楽とかおいしいものとかキンモクセイのこととか書こうと思ってたのに。