とあるTSUTAYA店員の映画日記

L'histoire du cinéma est un long martyloge.

かもめ食堂

2006-03-31 03:37:14 | Weblog
水曜日にこの映画を見に行ったのは間違いだったかもしれない

ま、寝坊したボクが悪いんですけど。。

上映開始ギリギリに行ったボクに手渡された整理券に書いてあったのは

「立ち見 48番」

??

行ったことありますか?ガーデンシネマ?

行ったことある人ならこの数字のありえなさに驚くはず

スクリーン正面、一番後ろの通路には

ボクが入ったときにはすでに前後2列の立ち見客が

ボクはといいますと

「メルキアデス・エストラーダの―」の予告編の明かりを頼りに

左サイドのわずかなスペースを見つけ

傾斜にたたったまま鑑賞

終わった時には足が引きつってました

エンドロールが終わり

引きつった足を伸ばしているボクが目にしたのは

女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女女

150人はいると思われる観客のうち

男性はボクを含めざっと10人

レディースデイとは言えありえない


いやでも納得できる

これは日本人女性のための映画なのだから


小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ

壮絶かつ渋すぎるラインナップをもって

今日本を代表する若手女性監督、萩上直子が見せてくれたのは

平凡な日本人女性の

強さと温かさとおにぎり


ヘルシンキのすばらしい町並み

作品全体に注ぎ込む丁寧に作られたやさしい光

それに完璧にリンクする、あまりにも普通すぎる会話に見え隠れする、日常の中にある小さいけど大切な人間のやさしさを見事にあらわした言葉たち

そして、絶妙な雰囲気をかもし出す3人


全編微笑を浮かべずにはいられないこのハーモニー


この映画は雰囲気の映画だ


すべての要素が見事に溶け合ってできたこの「かもめ食堂」の空気の中に浸り

強さをちょっとだけ

あたたかさをいっぱいもらった


ごちそうさま☆

また来ます☆

その「いらっしゃい!」を聞きに☆











TSUTAYA店員の密かな野望

2006-03-31 02:46:28 | Weblog
ついにやりました☆

スタッフお奨めコーナーに続き

店長から新コーナー製作の許可を得ました!!


その名も

「ミニシアターに行こう☆」

前々からやりたかった企画やったんですが

店長と話してて「コーナー作らしたろうか?」みたいなお言葉をいただいたので

早速、企画を文章にして提出

OKもらいました!


ミニシアターコーナーの上3段をいただけるそうです!!


第一弾は

メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬

リバティーン

ブロークン・フラワーズ


こんなコーナーうけるのか?

そんなの知ったこっちゃない!

すさみきったミニシアターコーナーにちょっと新鮮な空気を☆


ただ更新が大変そうですね。。

そこはガリガリ様!

助けてください★

怒涛のヴェンダース3連発

2006-03-24 02:24:33 | Weblog
「パリ テキサス」

「ベルリン 天使の詩」

「アメリカ 家族のいる風景」


新作「アメリカ 家族のいる風景」を見るために

予習って事で2本見ました

結果、三日連続でヴェンダース

よぉし!このノリで

今回のTSUTAYA半額はロードムーヴィー三部作とやらを制覇するか★


3本の中で1本って言われると

やっぱ「パリ テキサス」かなぁ?

80年代のアメリカっていう

昼真っからギラギラした世界の中で

テキサスの荒野のように

寡黙に罪を背負い続ける一人の男

彼は限りなく幼くちぽっけで弱いけど

ボクにとってはヒーローだ

男はこうでなくっちゃ☆

ばかで、あほで、弱くて、罪深い

だからなんだ!?

当たり前だ!

男はそれを知りつつ

静かに悔い改めながら生きていくんだ

そんな男臭さに惚れるボク


やっぱ男臭い映画がすきなのです。


そんなこんなで「アメリカ 家族のいる風景」

これもまたまた馬鹿な男の物語

ロードムーヴィーって何かしら「成長」って事がテーマになってくると思うんですが、この映画もまさしくそれで、このバカな男の成長の物語

男の青春の終わりは40代らしい

これはでも「終わり」じゃなくて次の段階への成長なんじゃないかな?

まだまだ未熟なバカがこんなことを勝手に申しておりますが

この3日でヴェンダースに教えられたのはそれ

「ベルリン 天使の詩」の場合は天使の人間への成長やったけど 笑


主人公はこの旅をきっかけにやっと成長する

父親であること

息子であること

かつての栄光にしがみつく落ちぶれた俳優であること

そして自分であること

すべてを受け入れ成長する


酒、女、ドラッグ

それらに隠れて見ないふりをしてたものを

受け入れるのだ


だから彼はやっと真の輝きを手に入れる

人間としての輝き

男としての輝きを



男臭さ礼賛☆













「ミュンヘン」

2006-03-21 17:12:31 | Weblog
はじめに一言

スピルバーグは変人だ

紛れもなく変人だ


 スピルバーグの一連の作品群に一定の文脈を追い求めるのは不可能だ。ただひとつわかること、それは彼が歪んだ映画に対する情熱を持った映画狂であるということ。彼の映画の大前提は「エンターテイメントであるということ」。
 この映画のメッセージはとてつもなく深い。人類の長い歴史の中で積もってきた複雑な感情と、その結果として現れる「血の連鎖」という悲劇。未だに完全な収束を向かえることのないこの問題を、問題そのものとしてこの映画はスマートに見るものの感情に訴えかける。当たり前だが答えはない。ユダヤ人であるスピルバーグがこの立場で映画を撮っているということがさらに深みを与えている。
 しかし、この映画はそれだけではない。エンターテイメントとしての映画をこよなく愛する変態映画狂スピルバーグの映画なのだ。彼は見るものを楽しませることを忘れない。首相が手についた汗を服で拭くシーン。領収書を求める役人。しっかり笑いの要素を入れることを忘れない。前半の手に汗握る暗殺シーン。見るものを興奮させることを忘れない。一つ目の暗殺の「ワインと牛乳と血」の使い方はかっこよすぎる。忍び寄る暗殺者の影。追い詰められる主人公。一級のスリラーの要素も満載なのである。そう、これはエンターテイメントなのだ。「血の連鎖」というテーマの上にこれだけのエンターテイメント的要素をのっけてくる彼を変態と呼ばずにいられるだろうか。だがこの映画が軽くなることはない。彼は真剣だからだ。映画に対して、そして人類に起こっている悲劇に対して。それがスピルバーグであり、「ミュンヘン」は紛れもなく彼の映画なのだ。
 この映画に対して政治的要素を多く求めすぎて、混乱してしまった人は少なくないのではないだろうか。どっかの馬鹿が「こんな映画でどうやって世界を救うのか」と批評したらしい。違うやん。これはスピルバーグの「ミュンヘン」なのだ。彼は変態的なやり方で世界を救おうとしているのだ。

 
 

映画の日☆

2006-03-02 04:25:17 | Weblog
今日は映画の日です☆

1000円です☆

あなたは何を見ましたか?

僕が見たのは「ジャ・ーヘッド」


映画、バイト、酒、タバコ

ついでに言うと読書

怠惰な日々を送っております

今日もこんな時間に

ビールを味わっています


レビューがたまっておりますが

映画見すぎでボクの思考回路は・・・


ゆっくりやります★


今のボクの頭は

はるか遠くのスキー場に

それも夏の日差しの中のスキー場に

誰かさんのせいです


ボクの大学生活はその誰かさんがいなければ・・・

でも

とにかくありがとう☆笑




「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」

2006-03-01 12:25:04 | Weblog
 久しぶりに号泣してしまった。ボクの涙腺のつぼがいまいちわからない。「茶の味」を見て号泣してしまったと言ったら、誰にも理解してもらえなかった。しかし今回の涙の原因はわかっている。ホアキンの目にやられたのだ。

 ボクはジョニー・キャッシュなんて知らなかった。音楽の知識の少ないぼくにとって「カントリーの王様」なんて言われてもピンと来ない。名前を聞いたことさえなかった。後でパンフレットを読んで「うわっ!めっちゃすごい人やん!」って思ったけど。。

 物語の構成はごく単純。子供時代のつらい思い出、成功、挫折、ドラッグ、復活。伝記を劇映画にしようと思ったらこんなもんだ。ジョニー・キャッシュ自身のファンではないボクにとってはストーリーについていえるのはこんなところ。

 ホアキンの歌は確かにうまかった。「事故にあって、後一曲しか歌えないとしたらどういう歌を歌う?自分のすべてを自信を持って歌え。そういう曲が人々を救うんだ。」というのは劇中のプロデューサーの言葉だが、これを体現したであろうジョニーの歌、人生、を表現していたのはホアキンの歌ではなく、彼の目だった。まっすぐ前を見つめている目。苦悩に満ちた目。狂気をはらんだ目。そのすべてに感じる、一人の男の人生を感じさせる深さ。この作品の軸となるのは、作品にちりばめられた対話のシーンの丁寧な描写とその中でひときわ輝くホアキンの演技だろう。そう、彼の目こそがこの物語を高みに引き上げている。だからこそ、ドラッグを乗り越えたジョニーの音楽への情熱と彼の人生すべてを物語る、情熱と狂気の目。しかしまっすぐ前を見つめた、彼の自信に満ちたホアキンの、いやジョニーの目に、涙したのだ。