メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

ミュージカル『スペリング・ビー』

2009年08月10日 | 国内エンタメ
スペリング・ビー
7月某日 銀河劇場
寺崎秀臣 演出・訳詩

バーフェイ 藤井隆
オリーブ 新妻聖子
コニーベア 梶原善
シュワージー 高田聖子
チップ 坂元健児
マーシー 風花舞
ロナ 安寿ミラ
マホーニ 今井清隆
ダグラス副校長 村井国夫

【あらすじ】
パットナム郡のある中学校の体育館では、スペリングの郡大会が行われていた。
これで優勝するとワシントンの全国大会に行けるのだ。
出場者は昨年の優勝者のチップ、
ゲイのカップルに育てられた最年少出場者のシュワージー、
スペルを脚で描き出す「マジック・フット」の持ち主バーフェイ、
昨年の全国大会で優秀な成績を修めた転校生マーシー、
家庭崩壊で辞書を友達とするオリーブ、
地区大会では3位だったけど繰り上がり出場がかなったコニーベア、
その他観客席から数名を交えて争う。
一位の座は誰が勝ち取るのか。



ちょっと前の話になるけれど、天王洲の銀河劇場でミュージカル『スペリング・ビー』を観て来た。
2005年にオフからブロードウェイに進出したこの作品。
その年のトニーでは、「助演男優賞」と「脚本賞」を受賞している。
メガヒヨはCIRCLE IN THE SQUARE THEATERで開幕したてのところをオリジナルキャストで観ている。
日本語上演の速報を聞いたとき、これは観に行かなくてはと思った。

そしてしばらくして入手したチラシにこの様なイメージ写真が載っていた。



ブロードウェイのイメージとあまりにも違うのでびっくり!
これでは夏休みのお子様向けミュージカルと勘違いされちゃいそう。
タイトルだって「スペリング・ビー」だなんて味気ない…。
原題は「The 25th Annual Putnam County SPELLING BEE」。
日本語でも「第25回パットナム郡スペリング競技会」って仰々しく題してくれた方が、
このミュージカルの面白さが数十倍伝わるのに、何てもったいない。

「これはブロードウェイとは別物か。」
メガヒヨは過度に期待するのを止めた。

ところが当日舞台に現れたキャストは、ブロードウェイの衣装にかなり近いものを着ていた。
ところどころ「バージョン・アップ」しているものも。
高田聖子さん演じるシュワージーなんかは、ネクタイがゲイのシンボルカラーのレインボーになっている(笑)
梶原善さん演じるコニーベアも、腕全体が馬のパペットになるような衣装だった。
オリジナル版のカエル人形より、こちらの方が遠目に分りやすいかも。

スペリングの問題や例文も、ブロードウェイと同じくキワどいものだった。
とはいえ日本向きにアレンジされたネタも。
増殖し続けるものとして、「EXILE」なんてのも出されてた。

さらに、この翻訳公演でも観客参加があった。
メガヒヨも応募してみたかったけど、落ち着いて観られないので止めといた。
だけどマホーニ演じる今井清隆さんのファンサービスが結構充実していたので、
観ていて大変うらやましくなってしまった。
特にその日はハーフの可愛い女の子が参加していたのだけど、今井さんはハグに力が入りすぎて歌を一瞬トチっていた(笑)

ブロードウェイではレゲエの兄ちゃんの様だった敗者セラピストのマホーニ。
日本版ではマフィアの親分のような風貌だった。
ナンバーもブロードウェイと同じ曲のはずなのに、全く声質が違うので別モノに聴こえる。
ブロードウェイはロック声、今井さんはオペラ声といった感じ。
今井さんのことはタナボタ企画コンサートでの「ビッグ・スペンダー」以来、
キーヨ姐さんと密かにお慕いしている。
この度のステージでも、存在感を迫力を持って示されていた。

ところでこの日本版での主役(人寄せパンダ)の藤井隆さん。
飄々とした演技でなかなか面白かった。
オリーブをちゃんと肩に乗せていたし、歌もかなりの健闘ぶり。
ただただ残念なのは、おデブでないこと。
『マジックフット』はあの肥満体が軽やかに舞うことで珠玉のナンバーになっているのに、標準体型では少々盛り上がりに欠けた。

このステージでは坂元健児さんを観るのも楽しみにしていた。
自分的にはキャンディードのカカンボ以来なのでかなり久々。
相変わらず、少年らしさを残している方だなぁ。
キリストのシーンでは引き締まった体を拝むことも出来た。
今でもまだまだシンバ役が出来そう!!

ブロードウェイ版とは一番違うキャラクターになったマーシー・パーク。
人種の違いがあるオリジナル・キャストとは違い、日本版では韓国系移民という設定が分らなくなっていた。
単に親から期待をされ続けている優等生ということになっていたけど、
それだけでは背景が分りにくいので、観客に葛藤が伝わりにくかったかも…。
それでも風花舞さんの歌って踊る芸達者ぶりは見事だった。
テコンドーのシーンが跳び箱に代わっていたけど、脚線美の素晴らしいこと!

そして今回あらためてファンになってしまったのがオリーブ役の新妻聖子さん。
声も姿も可愛らしくて、本当の中学生みたい。
彼女は2007年度のトニー賞のNYレポーターを礼儀正しく務めていたので、もともと好感の持てる女優さんだった。
幕間も「あの子可愛い!!」という声がちらほら聞こえた。

そういえば、この日本版には幕間があった。
ブロードウェイでは一幕で突っ走っていた覚えがある。
上演時間も少々長くなっているのではないだろうか。
スペリングのシーンもテンポをゆっくり目に進行していたかも知れない。
日本人に合った「間」をとっていたらそうなったのかな?
楽しく観ている内に気がついたら時間が意外と経っていた感じだったので、それ位の日米の差はどうってことないのだった。

もし再演があれば是非また観てみたいと思える作品だった。


2 コメント

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My unfortunate E? (クワスト)
2009-08-10 23:44:33
ひよこちゃんたちのスペリングビーかわいすぎます!レポありがとうございました。

マーシーの感想ですが、ほかの人も同じようなことを言っていました。アメリカではアジア系は秀才というステレオタイプになっているので、マーシーが6つの言語をしゃべれるときいて納得ものなのですが、人種がはっきりしないとキャラも明確になりませんね。

ところでチップがキャンディを投げながら歌うあの曲はどういう訳になっていました?英語でいっちゃうとわからない人が多いだろうし、勃×にすると(笑)メロディにうまく載らないし(笑)。
あの言葉は… (メガネヒヨコ)
2009-08-11 10:59:10
クワストさん、こんにちは!
アジア系って優等生のイメージなんですか?
(子どものときに親がアメリカに転勤なんてことがなくて良かった…)

チップの歌詞は、「ere~ctio~n♪」のところが
「かは~んし~ん♪」となっていました。
他にも「At the 25th annual Putnam County Spelling Bee♪」が、
「さぁ始まる パットナム大会スペリングビー♪」
となってましたし、
リズムを崩さずなかなかいけてる訳詞だと思いました。

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