メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

Priscilla日本版観てきました・総括編

2016年12月30日 | 国内エンタメ

先日28日。メガヒヨはプリシラ日本版の前楽公演を観てきた。

更に盛り上がっているキャストさん達の熱演に惹かれ、二時間半楽しんできた。
楽しい気持ちの一方、これがBroadway版通りだったら更に良かったのになとも思った。

とはいえもう終わってしまったこと。
不満に思った点は演出編一幕・二幕に書いたので、ここでは気持ちを整理して箇条書きしてみるね。

・DIVA、キンタロー。さんをはじめ、キャストは良かった。

・山崎さんは決して自分とはマッチしない役をよく務めあげた。音域も違うのによく自分仕様にカスタマイズしたと感心する。

・演出に関しては、誰もが知る古典の名作ならまだしも、日本初上演の作品をいじり倒すのはひどい。
日本人はオリジナルを知るチャンスを失ってしまう。

・初上演の作品はキンキーブーツの様に演出家を招いて制作してほしい。
日本人演出家はあくまでオブザーバーとしての参加を希望。

・それでも役のイメージから大きく異なる山崎さんが主演前提、しかも一人のアダム役は山崎さんより年上という条件のなか、作品として成立させたのは評価したい。

・古屋敬多さんはじめ、さまざまな分野から才能を引っ張ってきたのも亜門さんならではと思う。

・噂に聞くオリンピック演出はぜひ頑張っていただきたい。その舞台で今回のキャストさん達を活躍させてほしい。
そして亜門さんはその仕事に専念して、翻訳ミュージカルからはしばらく手を引いていただきたい。(結局コレが言いたかった!!)

なーんて、こんな所でこぼしてたって何も変わるわけではなし。

今回痛感したのは、本物を見たけりゃBroadwayに行かなくてはいけないということ。
日本のデフレとドル高のダブルパンチで、年一回の訪米も正直かなりキツイのだけどね。
でも演出を日本人が行うと、大きくその人のフィルターがかかってしまうのは浅利さんや宮本亜門さんで実証済み。
日本から出なかったら、ずーっと日本版しか観られないのだ。

2011年に観たあの美しいBroadway版Priscillaの様な感動を再び味わいたい!!
メガヒヨはそのために、2017年も馬車馬や機関車猿のように働くのであった。


Priscilla日本版観てきました・演出編第二幕(ネタバレあり)

2016年12月28日 | 国内エンタメ

18日日曜日のマチネに3回目のプリシラを観てきたメガヒヨ。この日はちょうど中日。
役者さんのパフォーマンスは過去に2回よりさらに熱が入り、とても楽しめた。
なんか宮本亜門さんがいろいろ変えちゃったことについて言ってもしょうがないな~。エンタメはつべこべ言わず楽しんだもの勝ちだよな~とまで思い始めた。
気持ちの流れを説明すると、初日は変更点に驚き、二回目は何で日本版だけこんなに変えられたんだという怒り、三回目は役者さんに情が湧いて楽しんでしまおうという感じかな。

でもやっぱりBroadwayの演出・振付を直輸入された方がもっと楽しかったと思ったりするので、再度つらつら語るよ。

第二幕

【♪THANK GOD I'M A COUNTRY BOY
Broadway版では二幕の幕が上がると、キャストが会場のお客さんを舞台に上げて踊らせていた。
キャストと一対一で踊った後、輪になって結構なスピードで回るものだった。
お客さんが転んでしまうことも一度や二度でなく、舞台袖では役者さんたちがハラハラ見守っていたとのこと。(主演のWill氏談)
やっぱり日本版ではそれは無くなっていた。本当、それは大正解!!
以前
に我らがLittle Sisterさんが体を張って、その危険性を立証してくれたことは無駄ではなかった。
(2012年当時のはなし。大けがにならなくてよかった。)
http://blog.goo.ne.jp/megahiyo1414/e/198b8b2d6b54b4333836c0f565a28125

【♪A FINE ROMANCE
ヤング・バーナデットを演じているのは穴沢裕介さんかな?
大きい目が陣内さんと似ているので、この役にぴったり!!
ただすごーく不満なのは、なんでメイクでなくアイマスクしてるの? せっかくの美貌がもったいない…。

Broadwayでこの役を演じた方は、アイマスクを使わずに女性仕様のメイクを施した姿で登場していた。
あの時は女優さん!?と思ったよ。
当時この役を演じたSteve Schepisさんは、始まりから終わりまで女性のメイクでアンサンブルの各役を演じていた。
Go Westではスカートだったし、アリス・スプリングでも女性従業員だった。
日本版ではそういう役の枠とかこだわってないのかな?
全幕にわたっての女装は無理にせよ、休憩時間直後のシーンなのだからアイマスクなんて使わず、穴沢さんの美しさを存分に披露させてほしかったな。

【♪SHAKE YOUR  GROOVE THING
このシーンではとにかく、古屋敬多さんが履いているスカートがぶかぶかだったのが目に焼き付いた(笑)
この衣装は長身のユナクさんと共用なのかな?
Broadway版ではスカートは巻きスカートで、Nickくんは客席にお尻をアピールしながら着ていたな。
…いや。日本の役者さんにそんなことを強要するつもりはございません。

【♪POP MUZIK
キャストスケジュールの関係でキンタロー。さんの演技しか確認していないけど、日本版もハジケているなぁ!
でも客席に飛んでくるピンポンはわずか一つ。(いや、それもオケピに落ちてるかも)
もちろんそれでいいと思う。日本人は劇場からタダで持って帰れるものにこだわる人も多いので、取り合いになってしまうかも知れないからね。
ちなみにBroadwayではピンクのピンポンが多数放出されており、拾った人はステージドアでシンシア役の女優さんにそれにサインしてもらったりしてたな。

それと日本版ではシンシア登場でドラァグクィーン三人組はそうそうに追い出されて、舞台に残るのはアダムひとり。
Broadway版では三人とも残ってその反応ぶりが違うのが面白かった。


(こんな感じ)

【♪A FINE ROMANCE (REPRISE)
Broadway版ではボブに別れの挨拶をするミッチが、ハグにするか、男らしく拳タッチするか迷うのが可愛かったけどあれはWill氏のアドリブだったんだね。
山崎さんでもそれが観たかった!!(あっさりお別れしてた。)
あ、アダムの「ピンポン・シャンペン」の発言もなかったかも。日本だとやっぱり過激になっちゃうのかな。
ちなみにBroadway版は退場時におしりにはさんだピンポンが落下、日本版は隠しもっていたピンポンを口に入れてごまかすといったもの。
どちらも面白いね。

【♪GIRLS JUST WANT TO HAVE FUN
このシーン、日本でも黙々と運転するミッチが豪華な背景であることは変わらず…。

【♪HOT STUFF
はい、ここも大幅な変更が。

Broadway版のプリシラ号は、アダムの心情を代弁するかのようにLEDライトがメラメラと妖しく光を放っている。
ぱかっと内部が開き、そこではパンツ・ブラ姿のアダムがひざ上網タイツを履いている。
DIVAたちに着替えを手伝ってもらい、女装したアダムは男たちが集まるドライブインへ…といったシーン。

日本版は既に着替え済みのアダム。まぁ失敗できないシーンだからね。
ドライブシーンの雰囲気も違ってたな。
日本のは最初から女装というのがバレていた感じ。男たちも好奇心から声を掛けているように見える。
そこでアダムがそっけない態度を取りからかって、フランクを怒らせトラブルに発展といった流れ。

Broadwayのは最初はうまく女性とだませたけど、カツラが取れて男たちの怒りを買うという展開。

逃亡シーンもこれまた違っていた。日本版はすばしっこく逃げ、身をこなし男たちの同士討ちまで誘う。
Broadway版のアダムはその屈強ぶりを発揮し、大勢を相手にエルボーだのキックだの途中まで善戦する。

どちらがいいのかは役者さんの個性に合っている方がいいと思うのだけど、メガヒヨは断然Broadway版が好き。

そうそうそれと。一番言いたいことがコレ!!
ひと騒動の後、泣き出したアダムをバーナデットが慰めるこの作品のクライマックスといっても良いシーン。
陣内さん、古屋さん、ユナクさんも演技に熱が入っているのはいいのだけど…。
舞台での二人の位置が極端に下手側なもので、上手前方に座った観客には陣内さんの背中しか見えないのだ。
初日にはF列上手30番台の席に着席したメガヒヨからは、小柄な古屋さんは陣内さんにすっぽり隠れて全く見えなかった。

宮本亜門さんはサイド席のお客さんには全く配慮しないのだろうか!?
10年以上前にInto the Woodsを観た際にも、上手下手の客席からはほとんど見えない舞台装置・演出だったな…。
休憩時間に観客が劇場係員に抗議していたのを思い出す。
この演出家氏には、作品にこめる優しさの一割でもいいから端に座ったお客さんにも向けてほしい。
ほとんどの客がフル・プライスを払っているし、大抵は一度きりの観劇、それに遠方から来ている人も少なくないのだから。

【♪MacARTHUR PARK
このシーンも大幅に変更。
Broadway版では、屋外をボブと夜を明かしケーキに顔を突っ込んだまま朝を迎えたバーナデット。
辺りは雨が降り始めている。
起きてきたミッチがそれを見て一言。
「とうとう人生の中でこの歌をうたう瞬間がやってきたわ!!」

「雨の中に置き去りにされたケーキ
持って帰ろうとは思わない。
なぜなら焼くのには時間がかかるし、レシピを手にすることは二度とないから。
OH NO~~~!!」
というマッカーサー・パークの有名な歌詞を歌い上げる。すんごい響きのよいバリトンの声で。
このフレーズは日本でいうと「着てはもらえぬセーターを~ 寒さこらえて編んでます~♪」くらい有名なもの。

起きたバーナデットはボブにエスコートされるようにしてバスの中へ。
残されたミッチは、歌詞に出てくる緑のアイシングがかかったケーキの着ぐるみを着たダンサーと共に歌い踊る。

ちょっとナンセンスがかっているが、主役ミッチにとっては二幕に入って初めての見せ場。

それが日本版では、
ケーキではなくボブの膝枕で眠るバーナデット。
それを見たミッチは祝福の言葉を彼女に寄せ、自分も雨に濡れたケーキのような生き様には別れを告げると歌い出す。
場面はケーキの踊りではなく、ボブとバーナデットの結婚式へ…といった展開。

メガヒヨは正直コレは「語りすぎ」だと思った。
映画やBroadwayのボブとバーナデットの関係はまだ未確定といった感じで。
映画のラストシーンでの少々不安ではかなげな彼女の表情がそれを物語っている。そこが良かったわけで。

確かにマッカーサーパークの歌詞をよく知らない国の人にとっては分かりやすいのかも知れない。
だけど、良くも悪くも演出と称して作品をいじっていいのかと心に引っかかった。

【♪BOOGIE WONDERLAND
日本版のこのシーンの振付は結構いいかも。
キレのある動きで。
さっきも言ったけど、これで女子従業員としてヤング・バーナデット役の人がいたらさらに華やかになったのにな。

【♪THE FLOOR SHOW
あ、楽屋のガウンが省かれている。
バーナデットはお気に入りのヒョウ柄、アダムは可愛いフレア仕様とそれぞれの個性が出ていて好きだったんだけどな~。

それ以外のここの演出はBroadway版とほぼ一緒。

【♪ALWAYS ON MY MIND
楽屋にちょこんと座るベンジーに気づくまでの、ミッチの様子が面白かった。
(ドリフのコントでの「志村、うしろ、うしろ!!」の技法。こういう日本仕様は大歓迎)

ベンジーの部屋のベッドはごく普通の仕様。Broadway版ではレゴブロックを組み合わせたようなデザインで可愛かったけど、予算もあるだろうからね。
それよりエルヴィス・プレスリーのモノマネが気になった。
低い声を頑張っていて結構なんだけど、襟を立てるとか髪の毛をくしゃくしゃにするなどもう一工夫欲しかった。

【♪LIKE A PRAYER
Broadwayでは平らなところでのパフォーマンスだったけど、日本版はエアーズロックのセットの上にて。
足元が不安定なせいか、ダンスはほとんどなし。動きとしては四分の一くらいといったところかな。

アダムの衣装はほとんど変わらないけれど、おしり丸出しではなくショートパンツらしきものは着用していた。
うん、それでいいと思う。ここは日本だし。

【♪WE BELONG
遅れて山頂にたどり着いたティックとバーナデット。
三人で今後にわたっての絆を確かめ合う歌。
日本版ではそこにボブとマリオンが加わる。たぶん映画版でのピクニックのシーンをイメージしてかな。
和音美桜さんほどの歌い手にほとんどソロの機会がないのは勿体ないので、ここで出番を作るのは良いのでないのかな…。

【♪FINALE
日本版の良い点。
それはフィナーレでの写真撮影が許可されているところ。

衣装は写真の通り、オリジナルのまま。
♪Finallyの音楽に合わせて役者さんが楽しそうに踊り、こちらもノリノリで手拍子する。

しかしなんかおかしい。
あ!!みんなアイマスクしてないし、ドラァグのメイクって訳でもない。

このフィナーレは男性の役者さんはドラァグクィーンという設定だとばかり思っていたのに…。
あれらはもともと、映画版でのアリススプリングのステージ衣装だからね。

素顔で着たら、ただのオーストラリア名産品コスプレ大会じゃん。

例えばBroadwayキャストさんの写真を拝借して解説してみましょう。
メガヒヨお気に入りのカイル・ブラウンくん。


パレス劇場での出番前の一枚。
アイマスクに加えてリップも衣装に合わせてる。
まさにファビュラスなドラァグクィーン!!


一方こちらはメイシーズのパレードのリハーサルシーンの一枚。
日本版と同じくアイマスクなし。
こうなると武装解除して丸腰も同然。
素の好青年ぶりを隠せずにいる(笑)

でも考えようによっては、日本のステージに立った役者さんの素顔を見せることによってその人のアピールになるというのもあるからね。
演出には数々の驚きや戸惑いがあったけど、今回の日本版のPriscillaで多くの役者さんを知ることが出来たのでそれは大きな収穫だった。

これを書いている時点で公演はあと3回。
そのうちの1回を観に行く予定で、これが今年の観劇おさめ。

自分にとってはいいことも大変なこともあった一年で、日本版Priscillaはまさにそれを象徴するような作品だった。
四回目はどんな気分で観るのかな。
いずれにしても楽しみである。
 

【UP一時間後に追記】

あ~!!!大切なこと書き忘れていた!!

日本版では主役三人による「シドニーオペラハウス」が無かった。

映画版でもステージの締めを飾るあの名シーン。

例のドレスやかぶりものは着用していたので、やろうと思えば再現は可能だったはず。
なんでやらなかったんだろう。
まさか「日本人はシドニーオペラハウスなんて分からないだろう。」とか誰かさんが判断したとか!?

これについてはメガヒヨも、NYで60回近く観てキャスト三人との会食も果たしたNick姉さんも怒り心頭である。

それにしても世界各地でPriscillaが上演されてて、何で日本だけガラパゴス的な演出になっちゃったんだろう…。
出来るだけいい所を見てポジティブにと思ってたけど、やっぱり悲しくなってきた。

最後の一回を観たらまた総括的に何か書くつもりである。


Priscilla日本版観てきました・演出編第一幕(ネタバレあり)

2016年12月18日 | 国内エンタメ

さて。今回はぶっちゃけ意見満載の演出版。
あくまで個人の意見なので、異なった感想を否定する意図はないからね。

メガヒヨがBroadwayに通い出したころに色々教えて下さった方が言ってたっけ。
「ショーに不満を持ったのなら、責めるべきは演出家。役者には一切責任はない。彼らは言われたことをしているだけなのだから。」

言うまでもなく、日本版プリシラに出演されている役者さん全員は素晴らしい仕事をこなしている。
ただBroadway版を観ちゃったこのメガヒヨ。腹の底には違和感がうずまいている。
そう。責めるべきは演出家!! 良いことも悪いことも宮本亜門さんが背負うものなのだ。

あ、参考までに。
2011年に観たBroadway版の感想はコチラ→http://blog.goo.ne.jp/megahiyo1414/e/6b7a60404a8b450bcbb9afb267551a7e
このブログは「アホか!?」ってくらいにPriscilla関係の記事がいっぱいあるのでこれはあくまで氷山の一角。
右端にある検索バーでPriscillaって入れてこのブログ内で検索すると記事がこれでもかって出るので、興味ある方は読んでみてね!!

それじゃあ日本版の演出について感想を語るよ!!

第一幕

【♪THE OVERTURE】
Broadway版では、舞台の上にはでっかい口紅の模型が置かれ、幕にはその口紅で描かれたオーストラリア大陸の絵がありシドニー、アリス・スプリングの位置が示されていた。
しかし日本版にはこれらはナシ!!
緞帳にピンクのPriscillaのロゴがあるのみだった。まぁ仕方ないよね。一か月公演だし、緞帳って高いし。
そうそう。天井にはミラーボールもなかったよ。
幕が開くと、楽屋で鏡にむかうミッチが登場。フォトフレームを眺め、脇にはあのドレスがかかっている。

【♪IT'S RAINING MEN】
ディーバたちがフライングにて登場。日本の若手で最高ランクの歌姫たち。
ここで背景がシドニーの夜景で無かったのが本当に惜しい!!
あれでドラァグクィーン三人組が都会から砂漠へと旅立ったということが語られていたのに。予算が厳しくてもあれは残すべきだった。

RAINING MENの人数はBroadway版と変わりなし。衣装もだいたいのデザインは変わらないけど、黒の代わりに水色が加入。
で、アンサンブルの男性がみんな若くてかっこいい人ばかりなので、最後の人が上着を脱いだところで起こる笑いはなし。
(Broadway版では司祭役の恰幅のいい中年の役者さんが、ボンテージスタイルを披露していた。)

しょっぱなからミッチが登場したので、例の舞台上での早変わりは無し。

【♪WHAT'S LOVE GOT TO DO WITH IT?】
実際にいわゆるニューハーフショーなどで活躍をされているドラァグクィーンの大村俊介(SHUN)さん、オナン・スペルマーメイドさんがミス・アンダースタンディング役を務めている。
たぶんこのシーンが一番Broadway版に近いのでは? 客いじりもさすがに上手い!!

【♪I SAY A LITTLE PRAYER】
ここでガッカリなお知らせです。
Broadway版ではガウン姿で電話を取ったミッチ。
そう。Will Swenson氏は舞台上で生着替えを披露していた!! 『Boy from OZ』みたいでござるな。
しかし日本版では最初っから黒い衣装でありました。お着替えはなしにそのまま葬儀のシーンに直行。残念無念(笑)

【♪DON'T LEAVE ME THIS WAY】
陣内孝則さん演じるバーナデットが登場すると会場は拍手!!
ヒョウ柄ではないものの、ゴージャスな椅子に座っての登場は同じ。

弔問客の衣装もBroadway版と同じ。というかこれは世界を回っている衣装なのかも。
プログラムの稽古写真を見たけど、かなりぶかぶかな靴を履いてこのシーンを練習する役者さんがいた。
借り物衣装だとこういうことがあるので、大変なお仕事だと思う。

トランペットの葬儀のシーンは大幅な変更があった。
メガヒヨのお気に入りのバレリーナも登場するけど、あまりキャラが立ってない。
とても有能なダンサーさんなのに、なんでKyleくんと同じ振り付けをやってもらわないの!? 勿体ない!!

バーナデットの恋敵は意外な人物でしたってところは吉本っぽいノリで面白かったけど、このシーンはやっぱりバレエが見ものなので残念だった。
あ、バーナデットはクラッチバッグを持ってなく、小道具はハンカチだけ。
葬儀でのクラッチバッグ・ビンタ発祥の地である日本でこそ、あれを披露してほしかったのにな。

【♪MATERIAL GIRL】
装置がコインからお札になっている!!
観客はミッチとバーナデットのみで、中年ゲイカップルはおらず。
ゴンドラでアダム登場→ボーイズと過激なダンスという流れは変わってなかったけど、こちらも振付は大幅に変更。
というか全編にわたって振付は日本独自のもの。(でもところどころBroadway版をパクっている。)
もう、あの面白い振付を変えてしまうなんて何考えているのだろう!?
ボーイズの一人がバーナデットに絡んだり、その反応っぷりなど、振付だけで色々語られていたのに。

以前アルゼンチンのPriscillaに衝撃を受けたけど、まさか自分が母国で同じ目に遭うとは…。
アルゼンチンのPriscillaについてはコチラ

あ。一気飲みして泣き崩れるボーイズもなかったな。あれ好きだったのに。

【♪GO WEST】
このシーンではDIVAがそのままの赤いカツラで登場。
動きやすい様、ボトムがパンツ仕様になっているのが可愛い。
プリシラ号はヘッド部分のみ登場。
初日は「まさかこのままヘッド部分だけで終わるんじゃ…」とガクガクブルブルした(笑)

【♪HOLIDAY/LIKE A VIRGIN】
バーナデットがひき殺す三種の生き物。
カンガルーとテレタビーズは出たけど、コアラの亡骸は流れてこなかった。
初日はアクシデント?と思ったけど二回目もなかったので、「ぶつかったかも!?」の会話だけで終わらせるつもりかな。
(どっかからのクレームを恐れているのかも(笑))

【♪I SAY A LITTLE PRAYER (REPRISE)】
日本のプリシラ号には残念ながら屋根がないので、このシーンにはベンジーは登場しない。
あ、あと盆に載って回る仕様にはなってないので、急停車も左右の動きと役者さんの演技力にかかっている。
まぁこれについてはさほど問題なし。
ここで登場するDIVAは歩きだけど、先ほどのパンツではなくBroadwayと同じくスカートの裾を肩にかける仕様。
このスタイルは好きなので、日本でも見られて嬉しかったな。

【♪I LOVE THE NIGHT LIFE】
大幅な変更があったのがこのシーン。
町のボス、シャーリーは日本では一変、男たちにいじめられる掃除婦として登場。
初日に観た際にはびっくりした。「シャーリー、こんなになっちゃって…」という衝撃が強かった。
二回目にはいじめの描写がすこし抑え目になってた感じがしたのは、気のせいかな。
あまりにも暴力的なのは舞台の雰囲気が変わるし、それは二幕に取っとくべきだものね。

ひどい扱いを受けるシャーリーに「お嬢さん」と呼びかけ、元気づけるバーナデット。
みんなで楽しく踊るその後の展開はBroadway版はほぼ一緒。振付以外は。

この変更。アリ?ナシ?と考えたのだけど、アリなのではないかと自分は思った。
映画にもあったこのシーンはもう20年前の価値観。
女性だということに胡坐をかき、身だしなみに気を遣わないシャーリーに対して
「アナタのズタボロバッグに入っているのはタンポンだけ。なぜならそれしか入れるものが無いからよ。」と痛恨の一撃を放つバーナデット。

今ではセクシャル・マイノリティの地位も上がり、非モテ女子より華やかなトランスジェンダーの方が脚光を浴びる時代。
20年前は強者(町のボス・シャーリー)に弱者(ドラァグクィーン)が立ち向かう構図だったけど、弱者(非モテ)・強者(美人)と立場が逆になっているものね。

ここのシーンをいじった宮本亜門さんは心根がやさしい人なのだなと思った。

【♪TRUE COLORS】
心配していたバスの落書きは英語だった。
浅利さんが演出していたらきっと日本語だったかも(笑)

バスの横に転がっている漏斗の形をしたものは何だろうと思っていたら、プリシラ号の屋根に乗っかっているとされるハイヒールのヒール部分のようだった。
何せ屋根がないもので、上にヒールが乗っかっているというのは、映画や他国の舞台を観ていないと分からないのではないだろうか。

【♪SEMPRE LIBERA】
屋根のないプリシラ号。このシーンはどうなるのかと思っていたら、ヘッド部分の上にヒールを載せる仕組みで再現。
ヒールは前にせり出さないものの、フライングで登場するDIVAも含め大幅な変更はなし。
というかこの振付、オリジナルの人のクレジット出さないとパクリになっちゃうんじゃない!?

【♪COLOUR MY WORLD】
ノドの奥で「ビミョー」とつぶやいたのがこのシーン。
バスはピンクでなく、レインボーカラー。つまりはLGBTのシンボルカラーですな。
プリシラ号は砂漠の女王なんだから、ピンクでナンボだと思うのだけど。
確かアダムのセリフでバービー人形のキャンピングカーがプリシラ号とかいうのなかったっけ?

まぁ日本は一部の国と違いノンケの男性も普通にピンクは着るし、ピンク=ゲイより虹色にしちゃったほうが手っ取り早いと思ったのかな?
ともあれ、メガヒヨはLEDでキラキラ光るピンクのバスの方が好き。
Broadwayで輝いていたあの子は今どこにいるんだろう…。

あ、他の小さい変更点としては、バーナデットはペンキブラシダンサーに最後まで突っ込みを入れていたな。
バスの色(それにダサさ)に気を取られっぱなしだったけど。

【♪I WILL SURVIVE】
キャスト編にも書いたけど、アダムの一発芸はダブルキャストそれぞれ自分の個性を発揮できて良かったんじゃないかな。
まぁNickくんのジャンピングスプリッツが世界最高だけど~♪

このシーンはさほど目につく変更点はなかった様な気が。
あ。観光客の衣装が初日と二回目と違ってた。何か問題があったのかな。
あと日本人らしきカップルに関しては、法被は着てなかったし変なお辞儀もなかった。これは世界に引き継いでほしいかも。

なんか長くなっちゃったので、二幕はまた分けて更新するね!


Priscilla日本版観てきました・キャスト編(ネタバレあり)

2016年12月13日 | 国内エンタメ

なんか色々な更新が中途半端なのだけど、ミュージカルPriscillaが大好きな日本人Top10くらいには入るんじゃないだろうかと自負するこのメガヒヨ。
オーストラリアでの初演から十星霜、満を持して上演された日本版について語るべきではないかと思った次第。

思えばBroadway版を観たのは忘れもしない2011年11月20日。
あまりの衝撃に、一か月後の年末にもニューヨークにとんぼ返りしてしまった。(アホ)
それから翌年6月のNick Adamsくんの誕生日を全身全霊で祝うべく、またもや訪米して通算9回の観劇を重ねた。

さらにその翌年2013年にはTony Sheldon大先生を追いかけシドニーにまで行ってしまった。
Will Swenson氏のMarder Balladもオフで観たし、NickくんのWickedを観にカリフォルニアにも行った。
もちろんアンサンブルのキャストさん出演公演も出来るだけ観るようにしている。

そんなメガヒヨが日本版を見逃すわけはなかった。

12月8日木曜日の初日には会社を休んでかけつけ、11日日曜日には会社支給の三井住友Visaカードを利用し貸し切り公演も観た。

二公演観た感想は、日本の制作者・出演者は様々な条件の下よくここまで作り上げたということに尽きる。

まずは主演の山崎育三郎さん。
映画・オーストラリア/ロンドン版は中年ゲイ、ブロードウェイ版は華やかなバリトン役者によるティック/ミッチ役を、よく自分の個性に合わせてカスタマイズしたものだと感心した。
言わずと知れた、日本の若手でもトップクラスのテナー。
明らかに音域が違うナンバーをせいいっぱい歌いこなしていた。

そしてほぼ座長的存在・バーナデット役の陣内孝則さん。
以前にイーストウィックの魔女の悪魔役で拝見した。
その際は帝劇に響きわたるような声だったけど、今回はオネエ的な発声で歌わなくてはいけない難役。
歌は厳しい条件だったけど、芝居は観るものを引き込んでいた。
間の取り方が絶妙。ちょっとした仕草で笑いや涙を誘っていた。

アダム/フェリシア役は初日では古屋敬多さん。
可愛くて小柄で、まさに日本人でアダムをキャスティングするのならこんな役者さんだろうなと思った。
声も甘えた感じ。
I wiil surviveの前のアダムの一発芸はBroadwayのNick Adamsくんはジャンピングスプリッツだったけど、古屋さんはブレイクダンス。
場内大うけだった。

貸し切り公演で観たのは韓流スターのユナクさん。
日本の大学に留学していただけあって、日本語の発音は問題がない。
彼は山崎さんより年上で背も高いのだけど、あどけない雰囲気を持っているのでそれほど違和感はなかった。
メガヒヨが観た回はマイクにトラブルがあったようで聞こえにくい間があったのだけど、声の響きがいいのかちゃんと乗り切っていた。
ちなみに彼の一発芸は古屋さんとはまた違うダンス。普段、所属グループの超新星で披露しているジャンルのものなのかな?
踊った後にはご自慢のボディを披露して、黄色い歓声を誘っていた。

そしてこのショーで重要な存在といえば歌姫・DIVA。
エリアンナさん、ジェニファーさん、ダンドイ舞莉花さんがその美声を発揮。
ビジュアル的にも魅力的なこの三人。人を選ぶあの衣装を見事に着こなしていた。
エリアンナさんは冒頭の「RAINNNG MEN」で一気に観客を魅了し、ジェニファーさんは「I WILL SURVIVE」にてよく通る声を会場に響かせ、ダンドイ舞莉花さんは「GIRLS WANT TO HAVE FUN」でキュートさを振りまいていた。
三人のハーモニーもとても綺麗で、いっそこのメンバーでユニットを組んでほしいとさえ思った。

他に印象に残ったキャストは、お笑い芸人のキンタロー。さん。
ダンスも歌も、芝居の間合いも上手い!
以前にジキルとハイドでマルシアさんを観たとき以来の衝撃。テレビで観ているタレントさんでこんなにミュージカル向きの人がいるなんて。
新しいコメディエンヌ女優の登場に立ち会えて良かった。

そうそう。谷口ゆうなさんのお怪我による降板で急きょシャーリー役に抜擢されたはるはるさんも頑張っていたな。
短い稽古期間でよくあそこまで完成できたと思う。
キンタロー。さんの後輩とあったから、この方もお笑い芸人なのかな。プログラムには名前しか載ってなくて。

あと初日でのI will surviveでははるはるさんがアルプス系観光客を演じていたのだけど、11日は普通のカジュアルな衣装を着た別の女優さんが代わりに登板していた。
プログラムで確かめてみたら、齋藤志野さんという女優さんもキャスティングされており、ところどころ谷口さんの穴を埋める形で出演されていた模様。
おそらくはるはるさんがカバーし切れない、アンサンブル場面をこの方が補っていたのではないかと。
谷口さんの降板は本当に残念だったのだけれど、この二人の女優さんの頑張りを観て、無事に開幕出来てよかったと思うのであった。

キャストさんの感想はこんな感じ。
次は演出について遠慮なく語るよ!!