美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

インターネット言論弾圧の最終兵器ACTA 衆議院可決を阻止しよう!(イザ!ブログ 2012・8・20 掲載)

2013年11月26日 04時26分57秒 | 政治
〔その1〕

私は、つい最近までACTAが本当のところなんなのか、知りませんでした。八月二日USTREAM放映の、岩上安身のロング・インタヴューに応えた斎藤やすのり衆議院議員(新党きづな幹事長代行)の説明を聞いて、その危険性をはじめて知りました。そうして、いまではその存在の薄気味の悪さに憂慮の念を深めています。新聞でもまだほとんど取り上げられていない情況とのことなので、インタヴューの内容を中心に、ACTAとそれを取り巻く情況を紹介しましょう。

その内容に触れる前に、その意味内容が一般国民はおろか国会議員にさえ周知されていない段階で、ACTAはすでに参議院で八月二日に可決されていることを強調しておきたいと思います。賛成二一七名、反対九名の圧倒的多数での可決でした。反対九名は、おおむね斎藤やすのり議員の啓蒙活動によるものです。

当初の会期は2012年6月21日までの150日間であったが、税と社会保障の一体改革関連法案の今国会中成立を理由として、9月8日まで79日間延長されることになりました。法案は、参議院を通過してから、通常2週間ほどで衆議院委員会での審議に入るそうなので、このままいけば、今国会でのACTA通過は十分にありえることになってしまっています。

さて、ではACTAとは一体何なのでしょうか。そうして、その正体は。その危険性とは。

ACTA(アクタ)は、知的財産権の執行を強化されるために設立された国際条約です。Anti-Counterfeiting Trade Agreement の頭文字を取ったもので、普通「偽造品の取引の防止に関する協定」あるいは「模倣品・海賊版拡散防止条約」と訳されます。2011年に、アメリカ・カナダ・オーストラリア・韓国・シンガポール・日本・ニュージーランド・モロッコの八カ国によって署名されました。2012年には、さらにEU加盟国のうち22ヵ国が署名しました。協定は6カ国による批准の後効力が及ぶことになっています。

ACTAの和訳を見て「偽ブランド品やCD海賊版の取締?結構なことじゃないか」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、事はそれほど単純ではありません。私自身、今国会に提出された「偽造品の取引の防止に関する協定」を外務省HPからダウン・ロードして通読してみて思うのですが、その内容が抽象的で正体が掴みにくいという印象を持ちました。ただし、なんとなく薄気味が悪いのです。抽象的な法文の端々に、何か隠された意図があるように思われてならない、という印象は、素人目にも明らかです。なぜなら、表向きのタイトルとは裏腹に、その内容において、インターネットの監視体制の強化に執拗と言っていいほどに力が入れられているからです。そのことに奇異な印象を受けて、小首を傾げざるを得ないのです。

斎藤議員は、ACTAの問題点・危険性として、次の4点を挙げます。

〈1〉知的財産権保護を装った言論統制・言論弾圧につながる恐れがある。ACTAが成立した場合、インターネット上のHPやブログやツイッターが知的財産権を侵害していると政府が判断したら、著作権者の訴えがなくても、直接それらの削除ができるようになる。そういう口実で、政府に都合の悪い言論活動をしているHPやブログやツイッターにストップをかけることも可能である。

〈2〉ジェネリック医薬品の輸入・流通に対する規制が強化される可能性がある。そうすると、途上国に医薬品が満足に行き渡らない事態が考えうる。国際間格差の固定化・永続化の危険。

〈3〉秘密主義で行なわれる交渉とその中身。TPPと同じく、秘密主義で事が進められている。議員にさえその中身の詳細は知らされていない。参議院本会議での採決の際に、「知的財産権に関する執行のより効率的枠組みの必要性」という簡単な説明が記載された文書が配布されただけ。既存メディアもほとんど報じていない。朝日新聞など一言も報じていない。ロイターだけは、詳細に報じている。あえて報じていない可能性が濃厚。政府に協力?

〈4〉ポリシー・ロンダリングの危険あり。実現したい政策を「外国とすでに取り決めてあるから」と言って、ゴリ押し的に既成事実化する。条約の国内法に対する優越の悪用。

私には、これらの全てが恐ろしいものとして映じます。そうして、私の目には、ACTAの背後に、どうしてもアメリカの「1%」の影がちらついてしかたがありません。それについては、次回に。

〔その2〕

まずは、国会関連の新情報から。いよいよ衆議院委員会レベルでの審議が始まる模様。ただし、外務委員会では、田中真紀子委員長をはじめTPP慎重派の議員が過半数を占めるそうなので、ACTAの危険性さえ彼らに伝わるならば、衆議院可決阻止の可能性が生まれてくるとのことです。

さて、ACTAを最初に提案したのは日本です。2001年に小泉内閣が次のように提唱しているのです。「知的財産権保護の促進のため、アジア太平洋地域において、米国政府と引き続き協力。捏造品・海賊版拡散防止条約(ACTA)について、米国政府と引き続き連携」これは、2001年ジェノバ・サミットで、日本政府がアメリカ政府に配布した文書の一節です。小泉内閣の国益観は、いたって簡単明瞭です。すなわち、アメリカの展開するグローバリゼーションを世界の潮流と割り切って、ためらわずにその流れに飛び込むことがいちばん日本の国益にかなうことである、と同内閣は考えて、構造改革を断行しました。

とするならば、上の一節から、小泉内閣が当時、アメリカ政府やそれに対して大きな影響力を持つアメリカ・グローバル企業の意向を忖度し、ACTAのリーダーシップをとろうとしていたことが容易に推察できましょう。つまり、小泉内閣は、潔くアメリカの腰巾着の役を買って出た、というわけです。小泉首相に言わせれば、それで何が悪い、と。

これは、あながち妄想と言い切ってしまえないようです。というのは、斎藤議員によれば、アメリカ通商代表部がACTA修正案を日本の外務省に提案していることが、Wikileaksで明らかになったからです。つまり、ACTAの旗振りは日本だけれど、その振り付けをしているのは実はアメリカである、と言えそうなのです。その起源を、私たちは2001年に求めることができそうですね。

アメリカがリードするグローバリズムの本質が、アメリカの国益追求であることは論を俟たないでしょう。まさか、アメリカが自由貿易の公平無私な使徒である、などと信じる人はもはやいないものと思われます。

TPPもまたその例外ではありません。TPPの本質は、日本の国柄を徹底的に破壊・改造して、アメリカグローバル企業の草刈り場にすることにあります。だから、ISD条項・ラチェット条項などで、日本の国家主権を制限する必要があるのです。そんなものは、彼らにとって邪魔物でしかありませんから。もちろん、国民主権も邪魔物です。言いかえれば、日本の国家主権・国民主権が脅威にさらされるところに、TPP問題の核心があるのです。これをはずしたTPP議論はすべて虚妄であり、ミス・リードの意図のある悪質なものなのです。経団連がTPP参加に賛成するのは、それを構成する日本グローバル企業がすでに国民経済を見捨て、それとむしろ敵対する存在であることの何よりの証拠です。私は、そのことを当ブログの過去の投稿で、分析・実証したことがあります。(4月25・26・27日投稿分)

とすると、まだまだ試論の段階ですが、ACTAがTPPの一環を成している可能性が否定できなくなってきます。つまり、「TPP参加は是か非か」という議論以前に、日本は実質的にTPPに取り込まれつつある、ということになるでしょう。ACTAの正体は、プレTPPである、ということです。言いかえれば、ACTAの批准がTPP参加の条件になっているのではないだろうか、ということです。私は、その可能性が非常に高いという気がしています。というのは、TPPの秘密主義とACTAのそれとが非常に似ているからです。同じ臭いがするのです。ここで私たちは、TPP24作業部会のひとつに「知的財産」があったことを想起してみてもよいかもしれません。その現実の姿の一つがACTAである、ということにどうやらなりそうですね。

このことに含まれる意味合いには、とても深刻なものがあります。

TPPの危険性に、新たに「言論弾圧の危険性」という一項目が加えられることになるからです。それは、日本をアメリカグローバル企業の利益追求の草刈り場にするうえで、日本の国家主権・国民主権が邪魔になるという事実から合理的に導き出すことができます。経済効率のあくなき追求と民主主義的抵抗とは相性が悪いのです。天敵どうしと言ってもいいでしょう。

ここにもうひとつ、厄介な特殊日本的な事情があります。いま日本で政権を握っているのは民主党です。民主党の核心には、抜がたい左翼性があります。彼らは、自分たちが弾圧されることにはムキになって抗議しますが、一度自分たちが権力を握ると、自分たちに歯向かうものを容赦なく弾圧する習性があります。つまり、彼らは全体主義的な体質を持っているのです。

テレビ・大新聞などの大手メディアは、財務省のおかげで、もはや権力ポチになっているので、民主党執行部は彼らのことで思い悩むことはあまりありません。しかし、ブログ・ツイッター・HPによるインターネット言論に対しては、民主党はいまのところお手上げです。このままでは、「アイツらのせいで」次の選挙では壊滅的な敗北を喫してしまいそうです(飛んだとばっちりですが)。自公と大連立を組んだとしても、そのなかであまり大きな顔はできそうにもないので、浮かない気分であろうことは容易に想像がつきますね。

財務省・民主党執行部が、インターネット言論をひねり潰してしまいたいという衝動にかられているのは間違いないものと思われます。で、彼らは「ACTAは使える」と踏んでいるはずです。アメリカの思惑に乗っかってしまえば、彼らパワー・エリートを苛む社会的な存在を一掃できるのです。また、大手マスコミにとっても、彼らの既得権益を脅かす潜在的な敵対者がいなくなってしまうのですから、願ったり叶ったりです。だから彼らは、パワー・エリートに協力を惜しまないのです。つまり、わかっていながら、ACTAの危険性についてまともに報道しようとしないのです。

EUでは、そのあたりの事情は一変します。それについては、次回に。

〔その3〕

日本では、ACTAはまだ社会的に問題にさえされていません。「ACTA?何それ?」という反応が大勢を占めるものと思われます。しかし、ヨーロッパでは、ACTAをめぐって実は大きな動きがあったのです。このことも、日本の大手メディアでは、ほとんど報じられていません。おかしなことですね。

今年の2月、ヨーロッパで、ACTAに対する激しい抗議運動が行われました。反対署名は280万人を超えたとのことです。2月16日に、欧州司裁判所は、「インターネット上のホスティング・サービス・プロバイダーに対して、ACTAのように、著作権フィルタリングを強制することはできない」という判決をしました。

ヨーロッパにおいても、日本と同様に、ACTAの交渉は、極めて不透明な形で行われてきました。それゆえ、広く国民的な議論がなされることはありませんでした。

また、(その1)で申し上げたように、ACTAの条文はあいまいになっていて、その分、表現の自由やプライバシー・個人情報保護の権利などに対する侵害をもたらす危険があります。特に、非商業的な規模の個人による著作権侵害に対する刑事訴追やISP(internet services provider インターネット接続業者)などによる通信の監視、ISPの著作権警察化をもたらす危険が高い点を問題として、EUの立法機関である欧州議会はACTAを否決しました。それは、今年の7月4日のことです。ACTA否決法案に対して、賛成478名、反対39名、棄権165名の圧倒的多数での否決だったとのこと。日本で、ACTAが参議院を圧倒的多数で通過したのとは大違いです。このこと自体に、私は背筋に冷たいものが走る思いにかられます。ヨーロッパのメディアで、ACTAに関してほとんど報道しようとしない日本メディアの消極姿勢が、メディアに課された社会的使命の放棄に当たるものとして問題にされ始めているとのことです。

TPP問題のときに、また、消費増税問題のときにも感じたことですが、日本の大手メディアは、パワー・エリートの意向に沿わない言論を展開することを意図的に自己検閲しています。その上で、問題の大勢が判明した段階で、申し訳程度に、あるいは「自分たちは一応報道機関である」というアリバイ作りのために、反TPPや反消費増税の言説を紹介します。そのやり口は、姑息かつ狡猾です。ACTA問題も、このまま推移すれば、衆議院通過が確実視された段階で、初めてその存在に気づいたかのようにカマトトぶって報道されることになるのでしょう。おととい来やがれ、としか言いようがありません。

そういう報道姿勢が、ヨーロッパのメディアからすれば、異様なものに映るのでしょう。当然のことです。

話を欧州議会によるACTAの拒絶に戻しましょう。彼らは「ACTAを拒絶する50の理由」を掲げました。そのなかからいくつか紹介しましょう。

(詳しくはhttp://matome.naver.jp/odai/2134349028503346401をご覧ください)

・ACTAは、将来の技術進歩を止め、現状の技術にわたしたちを固定します。

・ ACTAは、インターネットの個々の使用の監視をする形態を伴う措置を奨励しています。

・ACTAは、人権と芸術に関するEUの基本権憲章、欧州条約で保護されているプライバ 

 シーの権利・データ保護・通信の機密性へのコーポレートアクションによって違反です。

・ACTAは、表現の自由を危険にさらします。

・ACTAは、重要な用語が未定義であいまいです。

・ACTAは、公正な裁判を保証するものではありません。

・ACTAは、中小企業が技術革新に参加することを阻害します。

・ACTAは、インターネットを各国個別のものとして分断します。

・ACTAは、その名称が与える印象とはうらはらに、偽造防止に限定されることとは程遠い条約です。

・ACTAは、特許侵害の名の下にジェネリック医薬品へのアクセスを減少させ混乱させます。

・ACTAは、偽造品と同じように扱われるべきではない別の概念と権利を一緒にひとまと 

 めに、ごちゃまぜにして政策立案者の意志とは違う運用をされるおそれがあります。

・ACTAは、新しいビジネス・モデルの開発を阻害します。

・ACTAは、古いビジネス・モデルを守るためにあります。

・ACTAは、将来の生物多様性を止め、さらに食料供給のための種子に企業カルテルを許してしまいます。 


これくらいにしておきますが、ACTAが、①アメリカ・グローバル企業の既得権益保護のために存在すること、②条約の国内法に対する優越を根拠に、インターネットを通じた言論活動を広汎に弾圧する超法規的な武器になりえること、③中小企業、発展途上国などの社会的、世界的な弱者をないがしろにすること、などの問題を孕んだ危険な条約である、という認識に基づいて、EUがACTAを拒否したことは、もはや多言を要しないでしょう。

また、私は(その2)で、民主党が「自分たちが弾圧されることにはムキになって抗議しますが、一度自分たちが権力を握ると、自分たちに歯向かうものを容赦なく弾圧する習性」を持つ左翼政権であること、および、「財務省・民主党執行部が、インターネット言論をひねり潰してしまいたいという衝動にかられているのは間違いない」ことを指摘しました。

ACTAをめぐっては、その動きに対しても併せて目配りをしておく必要があります。そのことに関連して、「神州の泉」というブログを紹介しようと思います。

(詳しくはhttp://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2012/08/post-7aa1.htmlをご覧ください)

以下、傾聴に値する言葉が連ねられているので、ちょっと長くなりますが、引用します。

国家権力が現代版・治安維持法の設置に躍起になっている証左として、今一度その具体例を列記する。

① 「人権救済機関設置法案」
② 「マイナンバー制度」
③ 「コンピューター監視法案」
④ 「私的違法ダウンロード刑罰化」
⑤ 「秘密保全法」
⑥ 「ACTA(アクタ)」(Anti-Counterfeiting Trade Agreement模倣品・海賊版拡散防止条約は、知的財産権の保護に関する国際条約)

上記6点は、個々に見ても非常に危険な法案である。今、日本が急速に傾斜しつつある警察国家とは、国家権力がある勢力の意向に従って、国民の自由意思を徹底的に縛り上げ、民主主義の根幹である『言論』『表現の自由』を徹底して奪うというものである。これらの法律は国民を徹底監視して、米官業利権複合体に反逆する精神を持つ国民を、個人的に狙い撃ちできる法案である。

狙い撃ちという意味であるが、それはずばり別件逮捕である。米官業利権複合体に都合のよいこれらの法律群は、人権擁護、国民総背番号化の便利性・効率性、ネットの公序良俗維持、知的財産権の保護など、それぞれに一見合目的性を有しているが、当局の思惑は明らかに別のところにある。これら6つの法案は、言論統制手段として極めて有効なツールになっている。

たとえば、野田総理が推し進めている「消費税法案」のように、米官業利権複合体が、自分たちに都合のよい制度を次々と上程して閣議決定されていく時、これに異を唱える言論人を効果的に狙い撃ちし、別件逮捕に持って行く法律群が上記①~⑥なのである。国策捜査は著名な言論人を狙って罠を仕掛けるが、上記法律群は一般人を対象にしている。つまり国策捜査の一般化と捉えていいだろう。非常に恐ろしい趨勢と言える。

日本の社会は、大きく分けて、支配階級と国民階級の二極分化になっている。支配階級(=米官業利権複合体=BIG BROTHER)は、国民を隷属状態において、いっさい言論の自由を与えず、国民から税金や財産を効率よくむしり取り、わが世の春を永続的に謳歌しようと企んでいる。だから、上記①~⑥のような一見合理的な法律を作っておいて、彼らに寄与する国政を批判する国民を片っ端から別件逮捕しようとしているのである。


①~⑥のうち、ピンと来にくいのは②~⑤ではないでしょうか。次に、それらについての説明を引用します。

② 「マイナンバー制度」
野田首相は、これについて「消費増税関連」法案と密接に結びついた重要法案だと言っており、民自公3党は消費増税に伴う低所得者対策の前提として、共通番号制度(マイナンバー制度)の早期導入は合意済み。しかし、これはかつての国民総背番号制度であり政府による個人情報の一元化管理である。個人の思想、病歴、結婚・離婚歴、賞罰歴、趣味嗜好、国内外の移動、すべての情報を国家機関に掌握され、最も有効な思想検閲になる。

③ 「コンピューター監視法案」(サイバー法案)
2011年の6月に不可思議なほど拙速に上程され、可決された。既存メディアに対し、福島第一原発の事故の真相を完璧に言論統制したが、ネットは自由に物が言えた。それに泡を食った原子力ムラは、総務省を動かしてネット言論を弾圧する姿勢に出た。焦った米官業利権複合体は、政府に圧力をかけ、ネット言論の情報統制の布石としてこの法案をいきなり制定した。

④ 「私的違法ダウンロード刑罰化」
違法ダウンロードがまん延するような状況は望ましくないが、その行為に刑事罰を科すことが果たして合理的・妥当なのかという議論がある。そもそも著作権の改正案の政府案にはなかったものだが、審議がないままにどさくさに紛れてこっそり混ぜられた。これも狙った国民を誰でも逮捕できる刑罰化が含まれている。

⑤ 「秘密保全法」
「一番町法律事務所」さんから抜粋する。

この法案は、政府が国民に知らせたくない情報(たとえば、あの「原発ムラ」の秘密情報)を「特別秘密」だと政府が決めれば、国民に隠すことができるようになります。

逆に、公務員や原発研究者・原発技術者などの「取扱業務者」が国民に知らせると懲役10年!になります。国民が原発情報の公開を求めてデモ行進を呼びかけただけでも「不法な方法」による「特定取得行為」とされて処罰されかねません。

しかも、「特別秘密」を扱える国民と扱わせない国民に2分するための「適性評価制度」という「国民選別制度」まで導入するのです。適性評価のための調査内容は、他人に知られたくないプライバシー全体にまでおよび、調査対象は、家族・親戚・恋人・友人・・と無限に広がってゆきます。これって、秘密警察国家ですよね。


私は、「個人の自由・人権を確固としたものとするためには、ゆるぎない国家権力の存在が前提である。個人の自由と国家権力とを敵対的にとらえるのは思想的に誤っている」と考える者です。つまり、国家権力をアプリオリに否定すべき対象とする戦後左翼言説とは無縁な者であると自認しているのです。

そういう私が、国家権力による言論弾圧を憂慮し、こうしてみなさんに訴えようとしている現状そのものが、相当に危機的である、と私は思っています。平たくいえば、好きこのんでこんなことを言っているわけではないのです。

言ってしまえば、今回の文章やその前の〔その1〕〔その2〕も、いちいち断っていませんが、他のブログやツイッターやHPからの盗用・パクリ・剽窃のかたまりのようなものです。そうして、それは言論活動の危機を訴えるために有効な手段であると判断してのことです。おそらく、私から盗用・パクリ・剽窃の「被害」を受けた人は、そのことを知ってもだれも文句を言わないのではないかと思います。私自身、もしも一連の私の文章をごっそりとパクられても別に腹が立たないどころか、大いにやってくれ、と言いたいところですから。

つまり、インターネット言説の本質には、盗用・パクリ・剽窃が組み込まれている、と私は言いたいのです。だから、国家権力がACTAを根拠にして知的財産権や著作権を杓子定規に楯にとったならば、インターネット言説が壊滅的な打撃を蒙ることは目に見えています。大手メディアがパワー・エリートたちの掌中にある現状を鑑みた場合、それは、日本における言論の自由の死を意味すると、私は断言してしまいたい衝動にかられます。

みなさん、そういう事態を座視してもいいのでしょうか。これは、みなさんにとって「対岸の火事」と言って済ますことができる事態なのでしょうか。

「これはヤバイ」と思われた方は、どうぞ、これらの話を周囲の人々に広めてください。ACTA問題については、その深刻さをより多くの人々が知ることそのものが、世界権力とその傀儡(かいらい)の悪しき意図を見破り、彼らの思い通りに事を運ばせないための出発点になるものと思われますので。

自分の趣味の世界に溺れて、限られた小世界における平和を満喫する態度を、私は否定しません。それが、過酷な現実によって脅かされた魂を救うことだってあるからです。私自身、そうやって幾度自分を救ってきたか数え切れないほどです。

しかしながら、今回は事が事。私が今述べた大状況が、無視し得ない程度の脅威として身近に迫っていることを、複眼の目を凝らして、視野にいれてきただきたいと願う所存です。


*私はここで、ややムキになって、ACTAの危険性を説いています。その妥当性の判断については、読み手に委ねます。そのうえで、わたしがいまに至っても強調したいのは、世界を揺るがしたこの大問題を、日本の大手メディアは、そのときもその後も、ほとんど取り上げていないという厳然たる事実です。この異常事態は、いくら強調してもしすぎることはない。そう申し上げたい。つまり、私が言いたいのは、アメリカの意向に沿わない報道は、少なくとも大手メディアにおいては事実上の箝口令が敷かれている、という特殊事情が、日本のメディアにはある、ということです。

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