美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

「櫻田淳氏の村上春樹批判」についての批評家・由紀草一氏のコメント  (イザ!ブログ 2012・10・27 掲載)

2013年12月02日 01時53分21秒 | 文学
小浜逸郎氏に続いて、由紀草一氏からもコメントをいただきました。由紀草一氏は、公立高校で教鞭をとりながら、他方で、切れ味鋭い教育論や文学論を展開なさっている方です。さらには、『軟弱者の戦争論 憲法九条をとことん考えなおしてみました。』(PHP新書)で、憲法9条についての深みのある議論を展開なさっている方でもあります。コメント掲載の快諾に対して、感謝の意を表します。

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教えてくださったブログの記事は、家に帰る前に携帯電話にて面白く拝見しておりました。

しかし、変わりませんなあ。日本の知識人の生態というのは。

薄甘い左翼、あるいはピンク。共産主義革命が望ましいとまで言うわけではなく、海外の、広義の共産主義勢力に甘く、日本とアメリカには辛い。でも、日本はアメリカと手を切れ、と言うでもなく。少しでも尖った愛国心、のようなものには冷笑を浴びせる。こういうスタンスが、朝日新聞の読者にはウケるわけですかな。もういいかげんアキてもいいのにねえ。いや、もう私はアキましたですよ。

村上氏も、紅涙を絞る小説の著者であるなら、むしろ「紅旗征戎吾が事に非ず」とでもキメたほうがカッコいいのに。進歩的知識人のほうがノーベル文学賞は取りやすいんですかな?そうだとすると、世界的にセコいんですな、文学者の世界というのは。

しかし、櫻田さんを登場させること自体、朝日も少しは方向転換を図っているのかな?

てな観測も、確か20年前にされていたような。で、それからあんまり変わらないんですね。いや、実は私は読んでいないんで、本当はよくわからないんですけど。

櫻田さんへの疑問もあります。パステルナークやソルジェニーツィンに比べたら日本の文学は「生ぬるい」というのは、 二葉亭四迷の、「文士には真剣味が足りない」から、「文学は男子一生の仕事に非ず」というのといっしょで、これまた文学にとっては有害無益な態度だと感じます。文学者がその作品によってどんな声望を得ようと、逆に弾圧されようと、その作品の価値とは別であるはずでして。「作者が作品に命をかけなきゃりっぱなものにはならない」というが如きロマン主義もよしていただきたい。現代の、あるいはずっと前からの日本文学の低迷は別のところに求めるべきです。

もちろん小浜さんのソルジェニーツィン評価はどうか、読んでみないことにはわかりませんが、まさか、上のような単純なことはないでしょうけどね。

今回ちょっとエラソーになってすみませんが、御教示はありがたく存じております。

今後ともよろしく。

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どうやら、この先の展開がありそうな形勢です。

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