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@MON PARIS

「わたしのParis空間で…」

フランス地方菓子の旅5

2007-11-14 18:57:55 | フランス地方菓子の旅
コルドンブルーでの地方菓子レッスンもこの日で5回目。
まだまだ続くのですが、一応5回1コースなのでひとくぎり…。
毎週、楽しみで楽しみで仕方がないので、
あっという間に5回終わってしまったことにびっくり

さてそんな5ēmeのレッスンはいよいよ南へ。
イタリアとスペインに挟まれ、
穏やかな地中海に面しヴァカンスには最適な…
プロヴァンス・アルプ・コートダジュール・コルス地方です。



「タルト・オ・ピニョン」
仏産松の実がたぁーっぷりのったタルト、眺めるだけで心躍る…。
日本ではお高くてこんなにたくさんのっていると「ひゃー!」
と思ってしまいますが、
フランスではプロヴァンス地方から南西部のラングドック、
ミディ・ピレネー地方にかけて、松林が広がり、松の実が豊富に獲れます。
そのためかなり古くからお菓子に広く使われ、南仏からスペインにかけて
松の実のお菓子はいろいろあるのです。

こちらのタルトは中にコルドンシェフお手製の
コンフィチュールフランボワーズペパン(木苺の種入りジャム)が
忍ばせてあり、とーっても美味しい…。
やはりコンフィチュールも手作りでなければいけませんね
コンフィチュール用にとペルージュでお安く買った大きな銅鍋、
…床下に眠っております
そろそろホコリを払って活躍させてあげなければ!!



「ガトー・コルス・ア・ラ・ファリーヌ・シャテーヌ」
さぁ、皆さん、早口でどうぞ!…舌をかみそうに長い名称ですが
なんてことはない…「栗の粉を使ったコルス地方のお菓子」という意味。

さてコルスとはフランス語での地名、
そう地中海西部、イタリア半島すぐ横に浮かぶコルシカ島のこと。
(ちなみにコルシカはイタリア語での名称)
その島の位置からも想像できる通り、
大国に挟まれたこの小さな島は歴史上でも波乱に満ちたものでした。
最終的には1769年に独立運動を起こしたパスカル率いるコルシカ軍が、
フランス軍に敗れ、事実上フランス領へ…、
その後あの有名なナポレオンを輩出するも独立は叶わなかったわけであります。

そんな歴史を持つコルス、
島のほとんどが急峻な山岳で占められ、
ごく限られた農産物しかない生産できない…。

もちろん平野がないので、小麦が獲れません!
そこでその代りに用いたのが栗。
…なので栗の粉を使ったお菓子が特産物として挙げらているのですね。

こちらは中にフリュイコンフィとコニャックで風味づけしてありますが、
グルテンを含まないえぐみのある栗の粉の独特な風味が印象的なケーク。

こうしてその地方の地形、歴史を学ぶことから、
ここにある一つの素朴なお菓子を深く深く味わいをもって愛でることができます。



「ナヴェット」
Navetteとは小舟という意味。
その名前からわかるように可愛い小舟型をしているお菓子。

これはフランス最大の港湾都市Marseille(マルセイユ)のスペシャリテで、
正式にはナヴェット・ド・サン・ビクトワール
(Navettels de Saint-Victor)という名称。

昔、Saint-Victorという聖人がアフリカから小舟に乗って
マルセイユにたどり着いたとき、
黒人の女の子が使いとして一緒に渡って来ました。
やがてマルセイユにはSaint-Victor修道院が建てられ、
そこに黒いマリア像が祀られることに。

それから毎年2月2日は海の祭りの日、
創業1781年「Four des Navettes」という老舗のお菓子屋さんでは、
焼き上がったナヴェットを大司教さま自らオーヴンから取り出すという
儀式があるほど、神聖なお菓子でもあるのです。
この日、街の人々はその黒いマリア様を中心に列を作って町を歩き、
ナヴェット(海の神様を運んできてくれる船)を食べてお祝い。
まさに宗教と地域の文化に密着した地元ならではのお菓子といえますね。

実はこのお菓子、Hシェフいわく現地のものはまさに乾パン…、
とてもじゃないけどお口に合わなかったのだとか…
そこはさすがコルドンのルセット、
バターもヴァニラシュガーも入ってちょっとリッチなナヴェット。
初めていただく私たちはみんな「美味しーい」と大絶賛でした

さて、8名だったAコースも来週からは少し人数も増えにぎやかに。
フランス地方菓子の旅もまた中心Parisに戻り再出発でーす…お楽しみに~

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フランス地方菓子の旅4

2007-11-07 23:05:16 | フランス地方菓子の旅


「ブリオッシュ・ド・サン・ジェニ」

サヴォワ地方シャベリー近くの街サン・ジェニ・シュル・ギエールのブリオッシュ。
お名前の通り、卵とバターがたっぷり入ったリッチなパン。
中にリヨン近郊名物であるプラリネルージュが忍ばせてあります。
私が初めてこのパンに出会ったのは、2年前行ったルーアンの製パン学校で。
真っ赤なプラリネをザラザラーっと渡され、
ワケもわからぬまま作ったのが最初のことでした。

フワフワブリオッシュに、甘くてカリカリしたアーモンド、
そしてなんといってもその見た目に心奪われる魅力的なこのパン・・・、
その夏2度目のリヨンを旅したとき、改めてパン屋さんお菓子屋さんをのぞくと、
どこもかしこもこの真っ赤なプラリネを使用したパンやタルトばかり!!

リヨンの人々はこの真っ赤を愛してやまないのでしょうね

プラリネルージュは生アーモンドに少しずつ砂糖衣をまとわせていく
まさに金平糖と同じ手間のかかる作業・・・今回は市販のものではなく、
Hシェフお手製のプラリネを使っての実習だったのでとっても美味!
あんまり美味しいので巨大なこのパンもあっという間になくなっちゃいました~



もうひとつは…「スイス」というお菓子。
なんとも可愛らしい人型のこのお菓子は、
14世紀初頭ローマ法王庁がローマから南仏アヴィニヨンへ移転された際、
法王庁宮殿を護衛するスイス衛兵を模ったものだそう。

ちなみにこの歴史的出来事は有名な「アヴィニヨン捕囚」でしたねー
フランス王とローマ法王庁の対立により1309年教皇クレメンス5世が
アヴィニョンに滞在することとなり、以後1377年にグレゴリウス11世が
ローマに戻るまでアヴィニヨンは事実上「キリスト教界の首都」となり
栄華を極めることとなりました。(うーん世界史懐かしいっ

お城を守る兵隊さんもお菓子になっちゃえば、おもちゃの兵隊みたいでキュート
さて皆さんならどの部分から食べちゃいますか??
お粉多めのサブレ、中にはオレンジピールがぎっちり入ってまぁす

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フランス地方菓子の旅3

2007-10-30 11:50:57 | フランス地方菓子の旅


コルドンブルーでの地方菓子レッスンも3回目。
今週はフランス東南部「ローヌ・アルプ地方」からのご紹介

まず「ビスキュイ・ド・サヴォワ」

ここローヌ・アルプ地方はスイス及びイタリアと国境を接する位置にあり、
ヨーロッパアルプスの最高峰モンブラン、レマン湖など、
非常に美しく雄大な自然に恵まれている地域。

このお菓子は、その昔サヴォワ地方のシャンベリーで、
アメデ8世がジャン・ド・ベルビルという人に
自分の城をかたどったお菓子を作らせ、
上に王冠をのせてドイツ皇帝に贈ったものが始まりといわれています。
ちなみに上の写真、仕上げに粉砂糖をふるうのを忘れました(今気づいた!)
フランスで最も雪の多い地方とあって、本当は粉砂糖で雪山を模しております。

コーンスターチが50%入るこのお菓子は、
とっても口当たりの軽いスポンジケーキ。
このまま食べてもいいし、シャンティーやコンフィチュールを添えていただいても



もうひとつ実習で作ったのは…、

「ヌガー・ド・モンテリマール」

やはり同じローヌ・アルプ地方のコンフィズリ。
「モンテリマールのヌガー」ということで生まれはMontélimarという街。
ヌガー自体の歴史は、古代ローマ時代にその原形が登場するほど古いお菓子ですが、
現在見られるものは16世紀初めマルセイユで作り始められたといわれます。
ヴィヴァレ地方でアーモンドを育てるようになって、
その中心地モンテリマールでも作られるようになり、
現在では「ヌガー」といえば「モンテリマール」というほどまで有名に。

卵白に砂糖、水あめ、蜂蜜と大量の糖分を加え練り上げ、
アーモンド、ピスタチオなどの木の実がぎっちり入っています。
(これにはドレンチェリーも入っています)

なかなか家庭で作るにはミキサーのパワーの問題で難しいのですが、
やっぱり自分で作る作りたてヌガーはやわらかくて美味しい
た・だ・し、(一般的に)ヌガーは歯に詰め物がある方はご用心!
(…コレは1日たっても全然やわらかい!歯につきませーん

コンフィズリはなが~く日持ち致しますので、
これからレッスンでいらっしゃる方々はどうぞつまんでいってくださいませ

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フランス地方菓子の旅2

2007-10-25 02:34:26 | フランス地方菓子の旅
続きましてこちらは今週月曜に実習してきたお菓子



ポワトゥー・シャラント地方の中心都市Poitiers(ポワティエ)の名菓。
「トゥルトー・ポワトヴァン」(トゥルトー・フロマージュ)

ポワティエの街は732年フランス王シャルル・マルテルが、
イスラム教徒(サラセン)に勝利した「トゥール・ポワティエの戦い」で
知られる歴史上でも有名な街。

コレ、言っておきますが失敗作ではありませんよ~
シェフもデモで何べんも言うから可笑しくって!
本当は底が丸い型で焼き、もっとコロンとしたドーム状の形。
パリではフロマージュ屋さんでも見かけましたが、
シェーブル・フレ(フレッシュ山羊チーズ)を使ったスフレチーズなのです。

高温で一気に焼き上げるため、上部は真っ黒焦げ、
でも中は驚くほどフワフワで軽く、不思議なお菓子。



サントル地方の主要都市Tours(トゥール)の名物
「ヌガー・ド・トゥール」

ロワール河のお城めぐりの拠点となるトゥール。
観光地としても有名なこの街まではパリからTGVでわずか約1時間。
その街で最も伝統的なタルトだそうで、なんでもコンテストまであるようです。

パートブリゼにアプリコットジャム、フリュイコンフィ、
ダクワーズ生地をふんわりのせ、とっても口当たりの良いタルト。

さてさて、実習中のことです。
現在8名の仲間でアットホームにやっているのですが、
なんせ焼きっぱばかりなので、
オーブンに入れてしまえばかなりヒマ…ヒマ…ヒマ。笑
みんな上級卒なので、腕前もよろしくテキパキとあっという間に終わってしまう。
この日も2種類オーブンに放り込んでおしゃべりしていたら、
「おやつ買ってきたよ~」とのお声!



なんとお仲間の一人が朝イチバンに新宿のクリスピークリームで、
上記の2箱を買って差し入れしてくださいました。
シェフもアシスタントさんも一緒にみんなでブレイク。

…本科ではありえない和やかさ
これからは焼成時間はブレイクタイムと、お約束になりそうです。
Cさん、ありがとうございました

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フランス地方菓子の旅1

2007-10-25 00:01:32 | フランス地方菓子の旅


9月より自宅でのお教室を始めましたが、
そんな私もまた10月より懐かしい学びの庭へ再び…

ル・コルドン・ブルーでは本科を卒業した生徒向けのコースが
不定期で開催されております。
今回は珍しい「フランス地方菓子」のみで構成された全15回のコースが
設けられたので、素朴な地方菓子に目がない私はすぐさま申込み
(ちなみに結婚6周年のプレゼントはこれになりました

毎週月曜、ゆっくり週1回のペースで3月の初めまで続きます。
3年ぶりの代官山通いは懐かしく、
当時お菓子を習い始めた新鮮な気持ちが蘇り…、
新たに身が引き締まる思いで楽しく通っております

授業はデモ&プラの本科と全く同じスタイル。
シェフが選りすぐったお菓子をそれぞれの地方ごとにエピソードを交えながら、
紹介してくださり、どのルセットも本当に美味しい。

地方菓子はどれも家庭で作られる素朴なお菓子が基本なので、
大体が焼きっぱなしで、見た目は地味なものばかり。
だけど、その深い味わいにとりこになる人は私だけではないはず

もちろんこの15回だけではフランス全土のお菓子をカバーするなんて、
とてもできませんが、その地方地方の代表的なお菓子を学び、
皆さまにお味をご紹介できる日を楽しみに腕を磨きたいと思います

現在すでに3回終了、毎回お菓子と供にフランスを
旅しているような気分でとっても幸せ

上写真:ブルターニュ地方「ガトー・ブルトン」
ガレット・ブルトンヌの大きいケーキ版?
有塩バターと卵がたっぷりのリッチなお菓子



同じくブルターニュ地方名物「クイニーアマン」
日本でもすっかり有名なこの発酵菓子はブルトン語で「クイニー」はお菓子、
「アマン」はバターという意味、その通りこれまた有塩バターたっぷり、
グラニュー糖を打ち粉代わりに大量にまぶしながら折り込んでいくので、
底はキャラメリゼ、中はしっとりふわふわ。
それにしても久々にこんなに美味しいクイニーアマン食べたわ

地方菓子話は今後もまだまだ続きますよん

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