ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

ガンベロ・ロッソ ワイン試飲会リポート【その3】

2012-11-04 10:54:47 | ワイン&酒
【その1】 / 【その2】 より続きます。

“白の最優秀ワイン”については【その1】で紹介しましたが、それ以外の白ワインにも少し触れてみましょう。

「白ワイン推進委員会」主宰 としては、バラエティ豊かなブドウ品種があるイタリアは、白ワインも魅力的なものが多いと思っています。

例えば、ソアーヴェ(Soave)。
軽い白ワインと思われてきましたが、このところ力を入れている生産者が増えており、昨年は日本でもソアーヴェのプロモーションが行われました。

※2011年のSoaveプロモーションについて書いた記事は → コチラ

2013年の「Vini d'Itali」a でも、6本のソアーヴェがトレ・ビッキエーリを獲得しています。


右)Soave Classico Monte Grande 2011 PRA (ヴェネト)

PRAのソアーヴェ・クラシコは、果実味がきれいで、とてもクリーミーでなめらか。酸味はしっかり存在しているのに、スムースでやさしさがあります。アルコールは13.5%としっかりしていますが、タッチが繊細で、ほっとしました。料理にも寄り添うタイプです。



最優秀白ワインはフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のソーヴィニヨンでしたが、優秀なイタリアの白ワインは、やはり北の産地が多いように思います。
白ワインの重要な要素である酸が、北の産地の方がしっかり残るからですが、かといって、果実の熟し方が不足すれば、酸だけの目立つワインになってしまいますから、やはり“バランス”が重要です。


右)Alto Adige Gewurztraminer Kastelaz 2011 ELENA WALCH (アルト・アディジェ)

アルト・アディジェ はアルプスの南斜面に位置し、南チロルと呼ばれる地方ですが、ブドウの生育期間は、南向きの畑は日照に恵まれ、また地中海からの暖かい空気が流れ込むため、果実がよく熟します。北側の山が北風を遮ってくれることも大きな影響を与えています。

このゲヴュルツは、なんと、アルコール度数が15%!
もちろん、酸の支えがしっかりとあり、エレガントなワインに仕上がっていました。


ゲヴュルツのバックラベル

このワイナリーがあるのはトラミン(Tramin)という町で、ゲヴュルツトラミネル(Gewurztraminer)という名はこの町の名前から来ています。
つまり、トラミンはゲヴュルツトラミネルの名産地。素晴らしいゲヴュルツがあるのは当然といえば当然です。

上の写真左のボトルは、赤ワインの A. A. Lagrein Castel Ringberg Riserva2008(2グラス)。
アルコールは13%で、白のゲヴュルツの方が高いのには驚きました。こちらはしなやかで熟成感があり、果実味がよく熟していて、やさしくまろやかな赤。
ちなみに、私たちは Lagrein を “ラグレイン” と発音することが多いですが、ブースにいた若い女性(女性醸造家Elena Walch -の娘さん)は、“ラグイン” と発音していました。




左)A.A. Gewurztraminer Lyra 2011 右)A.A. Pinot Bianco Sirmian 2011 (3グラス)
Cantina Nals Margreid (アルト・アディジェ)

アルト・アディジェからもうひとつ。こちらはピノ・ビアンコの方がトレ・ビッキエーリです。
ピノ・ビアンコ、つまり、フランスならピノ・ブランで、それほど偉大なワインができるブドウ品種ではないイメージがありますよね?ところが、アルト・アデジェのピノ・ビアンコは、上記を含む4本がトレ・ビッキエーリを獲得しています。

飲んでみると、硬質でミネラル感のある、骨格がしっかりとしたピノ・ビアンコでした。このレベルが3グラスを獲得するのね、と実感。
なお、グラスは獲得していませんが、このゲヴュルツも非常に質の良いもの。
アルト・アディジェのゲヴュルツは要チェックです。

アルト・アディジェで3グラスを獲得しているワインは26ありますが、うち18が白ワインですから、いかにこの地域が素晴らしいイタリアの白ワインの産地であるかを思い知らされます。

やっぱり、白ワインは北の産地だわ!

いや、南のこの白ワインも素晴らしい!?


右)Capichera 2010 Capichera (サルディーニャ)

カピケーラは、地中海に浮かぶ サルディーニャ島 の白ワインです。ヴェルメンティーノ100%。産地は島北部のガッルーラで、IGTイゾラ・ディ・ヌラーギ。
果実味がつややかで、とてもなめらか。エキス分、濃度、コクのあるワインですが、その陰に隠れたクールな気品を感じました。

ヴェルメンティーノはサルディーニャでは伝統的なブドウ品種です。カピケーラでも1970年代からヴェルメンティーノを植えはじめ、1981年に初めて“Capichera”の名前でリリースしたワインが、1980年ヴィンテージでした。
ワイナリーの名前をワイン名として付けているのは、この白ワインこそフラグシップであり、その品質に自信を持っているからでしょう。

写真左の赤ワイン 「Mantenghja 2007」(マンテンギャ)も素晴らしいワインでしたが(ブドウ品種はカリニャーノ)、白ワイン推進委員会主宰としては、やはり白のカピケーラを推したいと思います。
マンテンギャ2007は11000円、カピケーラは6700円(いずれも輸入元希望小売価格)と、価格面もカピケーラをプッシュします。どちらもいいお値段なのは、生産量が非常に少ないため。日本への輸出もごくごく少量と聞きました。sold out必至ワインですので、ご注意を。
(輸入元:日欧商事株式会社)

イタリアの白ワインは、北だけでなく、全土をくまなく探すべし! ですね


【その4】 に続きます



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