ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

豪州のプレミアムワイン「SIRROMET」の醸造方法ガニメデ

2016-08-19 17:02:49 | ワイン&酒
GW前のことになりますが、オーストラリアはクーンズランド州「SIRROMET」(シロメィ)ワイナリーから、醸造責任者のアダム・チャップマン氏が来日しました。

アダムさんにはもう何度も会っていますが、へえ~と思うことを紹介してくれたので、取り上げたいと思います。


Adam Chapman -Sirromet's chief winemaker

アダムさんが解説しているのは、SIRROMET Le Sauvage Shiraz Viognier 2010の醸造の際に使った “ガニメデ” (ganimede fermenter)という発酵装置です。



Ganimede fermenter

タンクの上部、図の斜線の部分にブドウを入れて発酵させます。



ブドウを入れる場所はザルのようになっているそうです。
ザルから流れた果汁がタンクの底に溜まっていき、果汁の上の空間部分には、発酵の際に排出されたガスが溜まっていきます。

「ポンプもモーターも使わない。ボジョレー・ヌーヴォーのマセラシオンカルボニック(MC)に似ているようだが、MCとも違い、自然でやさしく、ソフトなフルーツ、ソフトなタンニンのモストが得られる」と、アダムさん。

このガニメデを使って発酵されたワインの一例が、下記のシラーズ・ヴィオニエです。



SIRROMET Le Sauvage Shiraz Viognier 2010

ル ソヴァージュ シラーズ・ヴィオニエ 2010は、シラーズ96%にヴィオニエ4%をブレンド。
シラーズの収穫に合わせてヴィオニエの収穫を行ない、5~10℃で2日間コールドソーク(タンクで寝かす)後、上で紹介したガニメデ・ファーメンターで6日かけて25℃までゆっくり上げながら発酵させています。

シラーに少量のヴィオニエを混ぜるのは、フランスのコート・ロティの手法ですが、コート・ロティのコピーにならないよう、アメリカンオーク(American white oak)を60%混ぜているとのこと。

ル ソヴァージュは野生酵母で発酵させているシリーズで、最良の年にしか生産せず、生産量も年間数千本と、ごく少量のみ。

シラーズ・ヴィオニエは2008年が初ヴィンテージです。
2010年は、しっとり熟成感のある味わいで、酸味、うま味が乗り、複雑味もありまずが、ややざっくりしたニュアンスも感じました。
(参考上代:10,000円 税別) ※以下で紹介する価格もすべて税別


ほかのワインも紹介しましょう。



左から)
SIRROMET Vineyard Selection VERDELHO 2015 (同 2,700円)
SIRROMET Le Sauvage Shiraz Viognier 2010  (同 10,000円)
SIRROMET Le Sauvage Chardonnay 2010     (同 10,000円)
SIRROMET Singature Collection Sparkling Red 2012 (同 3,700円)

ヴィンヤード・セレクションは、カジュアルに楽しめるシリーズで、ヴェルデーリョ2015は軽やかなフルーツ感があり、幅広いフードと合わせられそう。

ル ソヴァージュシャルドネは、フルーツが豊かで濃密ですが、しっかりドライです。
2010年は4000本のみ。2011、2012年はつくらず、次は2013年ヴィンテージになります。

シグネチャー・コレクション
レッド・スパークリングは、プティ・ヴェルド100%の赤スパークリング。ドサージュは35g/L。
色濃く、クリーミーで、タンニンはなめらか。
アダムさんのオススメは、クリスマスの七面鳥やダックと一緒に。

アダムさん、今回もありがとうございました!

(輸入元:ワインツリー)



シロメィの詳細 については、以前の記事を参照ください → コチラ

シロメィと料理のマリアージュコチラ

シロメィのワインが飲める店TERRA AUSTRALIS テラ・アウストラリス(東京・北参道)



テラ・アウストラリスの姉妹店「TERRA 麻布十番」(2016年4月オープン)でもシロメィが飲めます。



TERRA 麻布十番
東京都港区六本木2-12-7 プラシーボ麻布1F
TEL.03-6453-9486

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