10/18 私の音楽仲間 (625) ~ 私の室内楽仲間たち (598)
神業も第一歩から
これまでの 『私の室内楽仲間たち』
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弦楽四重奏のジャンルで 80 もの作品を残した Haydn。
晩年は、その名声が国際的に高まりました。
でも、イギリス旅行では交響曲、そして帰国後はオラトリオ
の作曲に追われてしまった。 こよなく愛した四重奏の作曲
をしばらくは許されず、大いに嘆いたといわれます。
後輩の Beethoven は 16曲。 数の上では及びません。
ただ晩年には、いわゆる “後期の四重奏曲” に打ち込み、
「このジャンルを “神との対話” にまで高めた」…と讃えられ
ています。
しかし楽譜を詳細に検討すると、“打ち込んだ” というより、
“遊び気分” で作っているフシもありますが…。
そこが “神業” なのでしょう。
Beethoven の最初の四重奏曲集は、“作品18” です。
ハ短調 作品 18-4 は最後に作られたといわれます。
[演奏例の音源]は、第Ⅰ楽章の冒頭から。 譜例
は Vn.Ⅰのパート譜です。
Violin は私、San.さん、Viola T.さん、チェロ Su.さんです。
この後 13小節が経過すると、下の譜例で第二主題が
現われます。 ↓ の箇所がそれで、最初は Vn.Ⅱです。
二段目の最後では、Vn.Ⅰがこの主題を引き継ぎます。
塗り絵をご覧ください。 上の “第一主題”、下の “第二
主題” の間には、どうやら関係があるようです。
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↓ ↓
↑
さて塗り絵には、もう一色が見られます。 3つの “Si♭”
の音です。
見ると、一段目の最後にもありました。 同じリズムの形
は、譜例の後半で頻繁に現われています。
もうお解りですね。 同時期のピアノ ソナタにも見られる
形で、あの “ハ短調交響曲” に繋がるリズムです。
差し詰め、実験的精神の顕われでしょうか。
これをどの程度、演奏の際に強調すべきか? 迷うところ
です。
今回の[音源]をお聞きになり、どう感じられたでしょうか。
↓
↑
「さほど強調はしないが、意識はした。」 それが私の
今回の演奏でした。
「“はっきり” は弾くが、特に強くしない。 むしろ、その
リズムの後を控えめに弾く。」 そんなところでしょうか。
演奏解釈において、先入観は禁物。 でもこのリズム
が現われるのは、第Ⅰ楽章だけではないようです。