10/12 私の音楽仲間 (623) ~ 私の室内楽仲間たち (596)
感じる殺気
これまでの 『私の室内楽仲間たち』
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Beethoven の弦楽四重奏曲 変ロ長調 作品130、
その第Ⅴ楽章は、“Cavatina” と記されています。
[演奏例の音源]は、その始まりの部分です。
カヴァティーナ。 手元の辞書で “cavatina” を引くと、
【オペラの主役を性格づける抒情的なアリア。 器楽曲
では、抒情的な旋律の緩やかな曲。】…とある。
解説書によっては、【アリアとレチタティーヴォ (語り)
の中間の性格の曲。】…と記すものもあります。
いずれにせよ、歌であることに変わりはない。 [音源]
は1分半足らずのものですが、器楽作曲家 Beethoven
の抒情性が窺えます。
でも、“たまに” 美しいメロディーを作ると、「歌の苦手
な彼には珍しく…」などと書かれてしまいます。 決して
“苦手” なのではなく、求める “美” の種類が違うから
だと思うのですが…。
そこで、以下の楽譜を見てみました。
“歌うプリマ ドンナ” だけが主役ではない
ようです。 気になる点を挙げてみると…。
(1) チェロには半音の進行が目立ちます。
1小節目と3小節目に。
(2) 次の、“音階で動く音符” については、
のちほど触れます。
(3) 幅広い6度の動き。 まず Vn.Ⅰに。
そして二度目はチェロにも。
↓ ↓
上の (1) と (3) は、クレシェンドなど (<>) を伴っています。
作曲者が強調したい動きなのでしょう。
この二つは、第Ⅰ楽章の冒頭で現われた、大事な音程でした。
“半音の連続” と “6度の跳躍” です。
↓ ↓
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この第Ⅰ楽章では、序奏が終わって主部に入ると、
Vn.Ⅰが忙しく動き始めます。 十六分音符です。
↑
これは、主題そのものではありませんが、まるで
影のように、主題に付添っていました。
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この音符に、4つずつ色を塗れば…。
先ほどの “音階で動く音符” と同じものが
出来ます。
抒情的なカヴァティーナにまで、構成美を持ちこんだ
Beethoven。 もちろん、最初からそのつもりだった
に違いありません。
そして、演奏する側にも強固な意志が
必要なのが、彼の曲でしょう。
それは、この楽章でも同じでした。