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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

金村・千年編(3)止む時無しに

2010年01月13日 | 金村・千年編
【掲載日:平成21年12月18日】

千鳥鳴く み吉野川の 川音かはとなす
            止む時無しに 思ほゆる君 



「先日の 三者談合の折 千年ちとせ殿は 何も言わなんだが どうなのじゃ」
吉野宮滝行幸みゆき 宴果てた後 
笠金村かさのかなむらは 車持千年くるまもちのちとせを誘い 河原にいた
「わたし如きが  なにを申せましょうや
 人麻呂殿のあと お努めあるは 金村殿と赤人殿」
「いやいや  今日のわしの歌なぞ 人麻呂殿に 及びもつかぬは」
「なにを  仰せです
 赤人殿は けいを詠むに きらめきが ございます
 金村殿は 志貴皇子しきのみこ挽歌ひきうたで 構想に新しい道を開かれました
 それに 人麻呂様の時代 天皇おおきみは それこそ 雲の上のお方
 平城ならの都移りののち
 天皇おおきみも 我らに 少しく お近づきになられ
 行幸も 君臣くんしんしての遊覧となり申した
 親しさと優しさを そなえられし 金村様のお歌 見事なものでございます
 私も 金村様に なろうて このような歌を」

うまごり あやにともしく 鳴る神の 音のみ聞きし 吉野の 真まき立つ山ゆ 見おろせば
うらややんで うわさ聞いてた 吉野宮 山の上から ながめ見る》
川の瀬ごとに け来れば 朝霧あさぎり立ち 夕されぱ かはづ鳴くなへ 
ひも解かぬ 旅にしあれば のみして 清き川原かはらを 見らくし惜しも

《川瀬川瀬に 明けたら 朝に霧立ち 夕方は 蛙鳴く声 聞こえてる
 妻を残して 来た旅や 清い川原を わしひとり 見るのんしい 一緒に見たい》  
                         ―車持千年くるまもちのちとせ―〔巻六・九一三〕
たぎの 三船の山は かしこけど 思ひ忘るる 時も日も無し
急流たきの上 そびえる三船山やまは えけども お前のことが 忘れられへん》
                         ―車持千年―〔巻六・九一四〕 
【ある本の反歌】 
千鳥鳴く み吉野川の 川音かはとなす 止む時無しに 思ほゆる君
《続けざま  波音続く 吉野川 お前思うの 続けざまやで》
                         ―車持千年―〔巻六・九一五〕 
あかねさす 日並ひならべなくに わが恋は 吉野の川の 霧に立ちつつ
《旅に来て 日も経たんのに 恋つのる 吉野の川で 霧が立つよに》
                         ―車持千年―〔巻六・九一六〕 

女房にょうぼ 恋しの歌
優しさを そなえしは そなたの方じゃな」
肝胆かんたん相照らす友 金村と千年
夜の静寂しじまに 瀬音が 響く



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