ロミオとジュリエット  デンマーク・ロイヤル・バレエ団

2009-05-24 | ballet
(東京文化会館)2009/5/24

音楽 プロコフィエフ
振付 ジョン・ノイマイヤー

出演 ロミオ セバスティアン・クロボー
   ジュリエット スザンネ・グリンデル


前回観たノイマイヤーの「人魚姫」は芸術性が高く、期待ができると思い今回はA席を購入した。勿論ロミオとジュリエットは作品としても然る事ながらプロコフィエフの音楽も素晴らしい。スザンネ・グリンデルは若さに溢れた瑞々しいジュリエットだった。ただこの作品を過度に期待してしまった分が残念だ。

今回不快に感じた事は、音楽が始まってからすぐ後ろの席の観客が来場。鞄で背中を押される。思わず後ろを振り向いたが、気がついてもエクスキューズもない。幕の間同じ行為が再度あった。劇場マナーの悪い観客と遭遇した為にせっかくの美しいも舞台も台無しになる。

白鳥の湖

2009-05-22 | ballet
(新国立劇場)2009/5/22
【振 付】マリウス・プティパ/レフ・イワーノフ
【演出・改訂振付】牧 阿佐美
【作 曲】ピョートル・チャイコフスキー
【装置・衣裳】ピーター・カザレット
【指 揮】アレクセイ・バクラン
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
キャスト
【オデット/オディール】厚木三杏
【ジークフリード王子】 逸見智彦
【ルースカヤ】本島美和

2幕のオデットは少し硬さを感じたが、丁寧には踊っていた…。



≪ナポリ≫ または、漁師と花嫁 デンマーク ロイヤル・バレエ団

2009-05-16 | ballet
(東京文化会館) 2009/5/15 

音楽:ニールス・W・ガーデ他
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル
指揮:ヘンリク・ヴァウン・クリステンセン
演奏:東京シティ・フィルフーモニー管弦楽団

DANCER ジェンナロ:トマス・ルンド
    テレシーナ:ティナ・ホイルンド


今回初めて観る作品、3幕構成のバレエ。1・2幕はマイムが多く、物語を知らなくても十分理解できる。バレエは身体でストリーを表現できる総合芸術。3幕はブルノンヴィル振付の足捌きを堪能。このカンパニーのダンサー達は複雑なブルノンヴィルステップを良く踊っていた。



人魚姫 ハンブルク・バレエ

2009-02-15 | ballet
NHKホール 2009/2/15 ソワレ

振付 ジョン・ノイマイヤー
音楽 レーラ・アウエルバッハ
指揮 サイモン・ヒューウット/ 東京シティ・フィルハーモニーック
ヴァイオリン アントン・ヒューウェット
テルミン カロリーナ・エイク

配役
詩人     イヴァン・ウルバン
人魚姫    シルヴィア・アッツォーニ
王子     カースティン
王女     エレーヌ・ブシェ
海の魔法使い オットー・ブベニチェク

 作家アンデルセンを熟織していからこそ生まれたノイマイヤーの渾身の作品、総合芸術の究極「人魚姫」はタイトルロ-ルをアンデルセンの投影に仕立てた。心の暗鬱、不条理な世界を尊く叙情的に卓越した振付・ダンサーの表現によって、心を鷲掴みされ、感性を揺さ振られた。この作品を創作するにあたって、オリジナル音楽を駆使し、振付家・ダンサーが時間を重ねて構築してきたのだろう。ノイマイヤー、ダンサー達、音楽家達、美術・衣装担当、作品に携わった全てのスタッフに1000回のブラボーを贈りたい。

★嘗て座席おいての後悔はしたことがない。NHKホールの3階席は想像以上に舞台から距離があった。従来の古典バレエだとしたら(白鳥、ジゼルのようないわゆる白物バレエ等)、2・3階席でもコールドバレエの様式美を十分楽しめ、性能の良いオペラグラスを利用することによって主役の表情まで鮮明だ。人魚姫の舞台においては、ダンサーの動きが違うので、サラウンド方式で観ないと、1シーンを見逃してしまう。オペラグラスでは悠長に観てはいられない。良席で鑑賞するべき作品であった。



ライモンダ 新国立バレエ

2009-02-14 | ballet
新国立劇場(オペラ劇場)2009/2/14
振 付 マリウス・プティパ
改訂振付・演出牧阿佐美
音楽 アレクサンドル・グラズノフ
ライモンダ        スヴェトラーナ・ザハロワ
ジャン・ド・ブリエンヌ  デニス・マトヴィエンコ

ライモンダ(中世時代の騎士とその婚約者ライモンダの物語)はチャイコフスキー3大バレエ、ジゼルのようには頻繁に上演されないが、昨今また全幕の上演が目立つようになってきた。バレエ鑑賞人口が増えれば、自ずと上演演目も増えるのだろう。3幕だけの上演、ライモンダのヴァリエーションなどは、ガラコンサート、バレエ教室の発表会などに用いられるので比較的3幕は馴染みのある作品。ライモンダ役は全3幕を通して踊るので、体力的にはキツイと思う。今回主演ライモンダはスヴェトラーナ・ザハロワ。キラキラ舞台で輝くスターダンサー。軸足がカックンと一瞬なり、ひやりとしたが十分にザハロワワールドを堪能する。新国立劇場の舞台装置、衣装は洗練されている。例えば、1幕、夢のシーンでのコールドバレエの衣装。モスグリーン色で中は幾重にも白地のシフォンの布があしらわれている。コールドが同時にジュテアントラセ、ピルエットのPASを踏むとダンサーの衣装が一斉にふわ~と舞い上がる。夢のシーンらしく幻想的。チュールで衣装を作るとそうはいかないだろう。粋な美しさの計算だ。夢のシーン第一ヴァリエーションの厚木三杏が優美で、次回の新国立劇場の演目で厚木三杏のオデットを観たいとそそられた。


Altro Canto Ⅱ・Ⅰ  モナコ公国モンテカルロ・バレエ

2009-02-10 | ballet
(文化村オーチャードホール) 2009/2/10

1部)Altro Canto Ⅱ
音楽:ベルトラン・マイヨー

2部)Altro Canto Ⅰ
音楽:モンテヴェルディ、マリーニ、カプスベルガー

振付:ジャン=クリストフ・マイヨー


 '89年にモナコにてモンテカルロバレエ団を観たのが始めてだったが、その時の舞台は印象が薄かった。マイヨーが芸術監督になり、東京で'04年に「ロミオとジュリエット」「La belle」(眠りの森の美女)'06年に「Le songe」(真夏の世の夢)マイヨー版を観た。作品は古典という主題が進化したヴァリエーションになり、斬新で洒落たマイヨーのオリジナルテーストは稀有なる作品。
 今回観た作品はAltro CantoⅡ&Ⅰ。1部はスクリーンに映ったシルエットをバックにダンサー達が踊る。不思議なムーブメントがまるでダンサーによって催眠にかけられたように身体か心地良くなった。音楽会でモーツアルトの名演奏を聴いた如く…。2部は暗転と光(照明)、舞台装置の蝋燭、モンテヴェルディの音楽、衣装が荘厳さを醸し出す。中世時代風とモダンなムーブメントが融合していた。Altro CantoⅡ&ⅠはNYのモダン美術館とイタリアの伝統ある美術館の対比のようだ。知識人マイヨーのセンスが鏤められた作品。ベルニス・モルロッティの中性的な体躯は幾重にも見惚れてしまう。お気に入りのダンサーの1人。小池ミモザは数年前、ロミオとジュリエットの群舞の頃から目を引かれる若手注目株。手足が長く、良い個性がある。次世代モンテカルロ・バレエのスターダンサーになる逸材。

Le Sous Sol/土の下 ピーピング・トム

2009-02-05 | ballet
(世田谷パブリックシアター) 2009/2/5

FROMベルギー

ガブリエラ・カリーソ(振付家・ダンサー)
フランク・シャルティエ(振付家・ダンサー)
サミュエル・ルーヴル(振付家・ダンサー)
マリア・オタル(俳優・ダンサー)
ユルディケ・デ・ブール(メゾ・ソプラノ歌手)


 5人のメンバーと数人のエキストラで構成される。舞台は一面に土が積まれ、ダンサーは自由自在にまるでトランポリンに倒れたように起き上がる。壁に設置されたランプは頽廃的な光を放し舞台照明になる。男女のダンサーが昆虫の「交尾」のように離れず激しく上手、下手を動き回り、老女が恍惚とその光景を眺める。またその男女の繋がったパフォーマンスに男性ダンサーが加わりそして繋がり徘徊するような動きが続く。ダンサーの身体能力と柔軟性に驚嘆。死と生命が交差するかのように舞台は展開をして行く。地を這うようなムーブメントと反比例してユルディケ・デ・ブールの美しい声量が融合していた。2F席から観ていたので客観的になったが、このフォーマンスを晩秋の空気の中、ベルギーの小劇場で観ていたら、この上ない刺激を受け街並みを漂っていただろう。


N.B.
ピーピング・トムとは覗き見という俗語。かの昔、ゴダイヴァ婦人が夫の圧政を止めようとした。夫は婦人を諦めさせる為、裸で馬に乗り城下を巡回すれば言い分を認めると言った。しかし婦人は実行をした。領民たちは彼女を支持し、布告の通り屋内に引き籠ったが、村人ピーピング・トムだけは婦人の裸を覗き見して、天罰で失明したことから、覗き見することをピーピング・トムと言うらしい…。老舗ベルギーのチョコレートショップゴディバは社名&シンボルマークはゴダイヴァ婦人からの由来との事…。




「ミハイロフスキー劇場ガラ」 レニングラード国立バレエ団 

2009-01-21 | ballet
(文化村 オーチャードホール)2009/1/21

1979年以来、30年ぶりにレニングラード国立バレエ団の舞台を観た。1部は華やか、照明も明るい。オケの音もパーカッションが結構賑やかに聴こえた。1部、2部、3部の間に休憩が15分入るが、2部の上演は25分間、「なぜ?」と思ったが納得、室内編成に代わる。ルジマトフを始めて舞台で観た(遅いルジマトフデビューであった)彼は40代半ばにして、身体が動いている。流石カリスマスターダンサーだと感心。2部は1部と打って変わり暗転から幕が上がる。H.パーセルの曲を使用した「ムーア人のパヴァーヌ」はパンフレットを立ち読みするまでオセロがベースとなっているとは気がつかなかったが、抒情的で個人的に好み。3部、マーラーの「アダ-ジェット」は、20世紀バレエ団時代、ブリュッセルでベジャール振付、J・ドンの(二人ともお亡くなりになられました)を観た。似ていたが別作品であった。(振付家が違った、Nドルグーシン)今回はオケ入り、別の振付家・ダンサー(ルジマトフ)が踊っていても、マーラー5番4楽章アダージェットの曲から醸し出す、静謐で美しく切ない弦の音と人生を重ねてきたらこそ表現ができるダンサーとの融合によって、引き込まれた。3部で海賊をメドーラ&アリをプログラムで6人のダンサーのが交互に踊るのだが、キャスト表には名前が記載されてない、アリの姿をしたルジマトフがマネージュからで出てき観客を湧かせた。



眠りの森の美女 東京バレエ団

2009-01-10 | ballet
(東京文化会館) 2009年1月9日
振付:ウラジミール・マラーホフ

オーロラ姫 吉岡美佳
デレジ王子 後藤晴雄
カラボス  ウラジミール・マラーホフ

マラーホフ版「眠り」は数年前、オーロラ姫吉岡さん、デレジ王子がマラホフで観ている。今回はマラーホフのカラボス役を観る。前回とは衣装やカラボスの演出が異なっていた。マラーホフが登場すると、舞台が華やかになる。ほとんど踊らずマイムと表情だけだか、マラーホフの王子を観た時よりさらに存在感を感じさせられる。「本物」のスターダンサー。大道具はいたってシンプル。この舞台装置だと1階席から観た時は良かったが上から観ると詰らない。宝石(ルビー・サファイヤ・ダイヤモンド・エメラルド)の衣装は従来のチュチュとは違うが、洗練されている。カラボスの衣装もなかなかGOOD。全体の衣装が楽しめた。

★30年以上前、ボリショイバレエ団のプリセツカヤの瀕死を観ている。(18回のカーテンコールの末、アンコールでまた瀕死を踊った)当時は今回の席より、さらに上の階だが、あの当時よりは良い席にもかかわらず、今回の眠りは安価で観る事できる(エコノミーチケット:2,000円)インターネットの普及で簡単にチケットが(海外の公演も同様)手に入るありがたい時代だ。
イリナ・コルパコーワ、エレナ・リヤビンキナ、ノエラ・ポントワの1970年代のスターダンザーの時代からバレエの舞台を見続けているが(勿論、今ほどの頻度では無い。私の学生時代は公演はそれほど無いし、中学生では財力は皆無)「眠り」他作品も演出・出演者で新たになるので繰り返し、古典音楽を聴くように観てきた。時として、「しまった」と思う作品に出会った時もあるが、最近観る舞台の「はずれ」はない。





NUTCRCKER 香港バレエ団

2008-12-31 | ballet
(香港文化中心劇場)  2008年12月27日

年末香港旅行の計画があったので、ネットで事前に香港バレエ団のチケットを購入することができた。旅行期間は「胡桃割り人形」の上演で、「くるみ」は音楽は楽しいが、子供向けの作品。1幕の雪のコールド、2幕の金平糖のグランパなどは何度観ても楽しめることができるが、あえて「くるみ」はプログラムとして選ぶことはあまりしない。今回は香港バレエ団が観たかったので、旅行期間中の演目は「くるみ」2月上演の「ALL BACH」のプログラムの方が興味があったが…。いざ幕が上がると、なかなか楽しい演出だ。踊れるダンサーが沢山登場する。主役クララが上手い。雪のコールドもフェッテの足が高いのに揃っている。難度の高いPASをさらっと踊っている。2幕の、アラビア、スペインなどクララ同様の拮抗した力量であった。ロシア・葦笛も観客を歓ばせる。金平糖のグランパも圧巻。くるみ王子のK・KESHYSHEVは顔が小さく足が長いロシア人イケメン君。王子様ってカンジだ。彼は群舞員(コールドバレエ)のようだけれど、主役の王子様役。香港バレエ団は頭角を現すとコールドでも主役を貰えることができるのだろうか?全体のレベルが高い。豪華な舞台装置。オケの演奏も心地良く、至福の時間を過ごせた。