映画のせかい

私が最近見た映画 ※ネタバレあり

オイディプスの刃 #202

2005-02-03 | あ行の映画
1986年 日本 120分

第1回角川小説賞を受賞した赤江瀑の原作を映画化。実は角川映画の第1作目は「犬神家」ではなく、この作品になる予定があったようだ。兄弟の骨肉の争いをするという点では角川兄弟のいざこざを予感していたかのようだ。(WEB IWAKAMIの過去の仕事から>角川家の一族参照。)

さてこの怪作、銘刀『次吉』そしてアロマのラベンダーの香りが狂わせたある家族の滅亡の記録だ。下関の大迫耿平家には3人の男児がいる。
明彦(北詰友樹)は、耿平と先妻の子
駿介(古尾谷雅人)は、現在の妻香子の連れ子
剛生(京本政樹)は、耿平と香子の子
である。大迫耿平の妹(五月みどり)も同居していて、ヒジョーにわかりにくい関係だ。
そこへ、研ぎ師の秋浜泰邦が年に一度銘刀『次吉』を研ぎにやってくる。
この刀がいわくつきで、13年前に起きた事件により、『次吉』で次々に人が死んでいき、一家は離散することになってしまう。そして時は流れ、別れ別れになった3人の異母兄弟は、香水の開発を巡って血肉の争いになってしまう。そして13年前の惨劇の記憶が再び甦ってくる!

親子の愛情と母親が違う兄弟の複雑な心境が、ちょっと暗めの作風に映えていた。私は女系家族なので、男3人の兄弟の賑やかさは羨ましいが、生涯をかけた開発をかけて争う兄弟は、兄弟であるが故に許せない部分もあるのかな?と思った。もちろん、殺人に発展することはまずないだろうけど、そこに血塗られた家族の過去の絡んでくるわけで・・・。

正直映画だけでは人間関係がわかりにくいし、少年時代と成人の役者が全然似てない(美形の京本政樹は特に)ので誰が誰だかさっぱりわかんない。また、主題である刀や匂いに魅せられて我を忘れてしまう恐怖が、なかなか表現しづらかったのではないかと思う。小説を読んでいないとちょっとつらい。刀に急に驚くのもそれが、名刀だと知らないと全然ピンとこないし、アロマテラピーも今のように流行してるから、不思議さが半減してしまう。ラストの謎解きは推理ミステリーとして十分面白いだけに、単なるデテクティブ映画となってしまっているのが残念である。

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