チョコちょこ★ほりっく

黒のトイプードル五郎八(いろは)と、まいにち楽しく生きていこう♪

未来の「明暗」

2012-07-06 11:10:39 | 
未来を舞台にした、ちょっと不思議な短編集を読みました。

パオロ・バチガルピの「第六ポンプ」。
舌を噛みそうな名前の作者は、アメリカの作家です。

1冊の中に10篇の短編が収録されていますが、全て未来(近かったり、遠かったりはするけど)のお話。

印象的だったのは、
「フルーテッド・ガールズ(The Fluted Girl)」
「砂と灰の人々(The People of Sand and Slag)」
「ポップ隊(Pop Squad)」
「イエローカードマン(Yellow Card Man)」
「やわらかく(Softer)」
「第六ポンプ(Pump Six)」
ですね。
以下、簡単に内容をご紹介。

「フルーテッド・ガールズ(The Fluted Girl)」
楽器として生体改造された、双子の姉妹のお話。
お互いの身体に息を吹き込み、体中にあいた穴を押さえる事によって音色を奏でる「フルート化された少女達」。
お話は、姉のリディアの一人称で進んでいきます。

「砂と灰の人々(The People of Sand and Slag)」
体の中に「ゾウムシ」を飼い、砂でも泥でも食糧にして栄養に変換できるようになった人類。
ゾウムシ技術のおかげで、過酷な環境でも生き延びる事を可能にした人類。
そんなところへ、ある日一匹の「犬」が現れる。
砂は食べられず、怪我をすれば治療が必要で、回復までには何日もかかる…。
そんなもろい「犬」を、きまぐれに飼ってみたチェン達のお話。

「ポップ隊(Pop Squad)」
医学の進歩に伴い、「若返り」を繰り返して永遠の命を手に入れた世界。
それに伴い、子供を産む事は禁止された。
それでも、若返りの権利を放り出し、隠れて子供を産む事をやめない女たちは後を絶たない。
ポップ隊は、そんな彼女たちを取り締まり、生まれた子供を「処分」する警察である。
永遠の命を手に入れたため、15年がかりで演奏を完成させる事ができた、美しきビオラ奏者。
永遠の命を手放し、摘発に怯えながら隠れ暮らす「母親」たち。
両者の狭間に存在する、ポップ隊員の主人公。
恐竜のぬいぐるみが象徴的なお話です。

「イエローカードマン(Yellow Card Man)」
タイのバンコクで、かつては「大人(たいじん)」として富める生活を送っていたチャン。
遺伝子改造された疫病がはびこり農地を奪われ、今ではイエローカード難民として、底辺での生活を余儀なくされている。
大昔にクビにした使用人マー・ピンは、対照的に出世してイエローカードを返却して移民にまでなろうとしていた。
かつての主と使用人。そして逆転した関係。
最後の、チャンの決断とは…?

「やわらかく(Softer)」
ある土曜日の朝、優雅にバスタブに身を沈める夫婦。
しかし、妻は死んでいた…。
妻はなぜ死んでしまったのか。
夫が決めた行動とは?

「第六ポンプ(Pump Six)」
化学物質の摂取過剰の為、出生率の低下と痴呆化が進行したニューヨークが舞台。
主人公は、下水処理施設で働く男。
停止したポンプを修理できないかと奔走する主人公がけなげだけど、まわりの人間の痴呆化に、ちょっと恐ろしくなる一篇。

ざっとご紹介しましたが、他の短編もおもしろいですよ。
描かれている世界が特殊なので、受け付けないという人もいるかも。
若返りとか、環境適応能力を身につけるとか、「科学の進歩!」という華やかさもあるのに、なんだか退廃的なムードが漂います。

未来って、なんか、希望に満ち溢れてはいないのね。
現在感じている、自分ではどうしようもない出来事とか、諦める事とか、不信感とか、そういう物はなくならないのかなぁ…。

などど、考えてしまいました。
(まあ、フィクションなのですけどね)


「第六ポンプ」
パオロ・バチガルピ
早川書房(ポケット・ブック版)

千年鬼

2012-06-24 18:24:30 | 
ジャンル分けすると、時代物ファンタジーとでも言いましょうか。

西條奈加の「千年鬼(せんねんき)」。

母親を亡くした幸介は、小売酒屋で小僧として奉公にあがっている。
しかし店の者達からは意地悪をされ、酒浸りの父親にも手がかかる毎日。
そんなある日、小汚い三匹の鬼が現れ、自らを「過去見の鬼」だと言う…。

というスタートをきる、お話です。
7本の短編からなるこの小説は、小鬼と黒鬼が活躍する連作になっています。
(黒鬼は、あんまり活躍しないかも…)
人間を鬼にしてしまう「鬼の芽」を摘んでいく、小鬼。
なんの為か。
鬼の芽とは何か。
黒鬼は、何者か。
といった疑問が、読み進めていくうちに、明らかになってきます。

7本のうち、本格的な小鬼の話は3本。
後半に、ちょっと展開を詰め込みすぎかなぁ…という感は多少ありますが、
気軽に読める、軽い仕上がりとなっております。
(↑他の西條奈加の本と比べて)


やせっぽちの赤鬼が、女の子をおんぶして走っている表紙が、非常にキュートです
(ちなみに裏は、ニヒルな黒鬼の絵)


西條奈加は、デビュー作の「金春屋ゴメス」からずっと大好きな作家の一人です。
よろしければ、他の作品もあわせて読んでみてくださいませ。


「千年鬼」
西條奈加
徳間書店

「信長」ものは多々あれど

2012-06-24 17:40:55 | 
世に「織田信長」を題材にした小説は多々ありますが、
今回ご紹介する本は、そのうちの一つ、と言うにはちょっと抵抗ありです。

花村萬月の「信長私記(しんちょうしき)」
あらすじをわざわざご紹介するまでもありませんね。
信長の12歳位~20代前半、弟の勘十郎信行を殺す所までが描かれています。

花村萬月は、「ゲルマニウムの夜」しか読んだことがないのですが、
暴力的
刹那的
綱渡りのような、焦燥感
…といった印象を、受けました。

そしてこの、「信長私記」。
上記の印象は信長っぽいから、「ゲルマニウムの夜」みたいな読み口かなぁと思いつつ、
「信長私記」を読み始めたのですが…。


信長の一人称で語られている、全文。
気負った感じも、荒々しさもない、淡々と語る信長の口調・心中は、
逆に秘めた欲望やら憤りやらが強調された印象を受けます。

勇猛果敢・傍若無人の信長像とはまた違う、細やかな人間関係が描かれているのも一人称ならでは。
父への想い、竹千代との関係、中務丞との会話。

そして随所に散らばる、「母への想い」。
抱かれた記憶がない
母の乳房の記憶がない
心のどこかに棘となってひっかかっている想いは、
正妻の帰蝶、側室の吉乃との関係からどのように変化していくのか。

賛否両論あるのかもしれませんが、歴女ではない(歴史に詳しくない)私にとっては、
人間関係と信長の内面に焦点をおいたこの作品は、非常に読みやすかったです。



出だしが
「俺は黙読ができる。」
なのですが、
昔の人って、黙読できなかったのかなぁ…と、変な所から惹きつけられてしまいました



「信長私記」(しんちょうしき)
花村萬月
講談社

死ぬほどではない

2012-04-09 23:40:14 | 
毎日疲れちゃったり、嫌な事があったりでストレス溜まりますよね。
すっごく辛くって、「もう耐えられないよ…」と思った時に、
そんなに辛いなら

死ねばいいのに

って言われたら、どうしますか…?


今回ご紹介する本は、京極夏彦の「死ねばいいのに」。

他殺死体で見つかった「鹿島亜佐美」の関係者逹の、色々な思いが渦巻くお話です。
アサミの話を聞かせて欲しいと、関係者逹の前に現れる男、ケンヤ 。
バイトもクビになってしまい、大学生でもないケンヤは、名前だけが自分を説明する唯一の肩書きである。
そんな得体の知れないケンヤを前に、落ち着かなかったり、不信感を抱く関係者逹。
彼らと鹿島亜佐美との関係は?
そしてアサミの話を聞きたがるケンヤの目的は何なのか…?

京極夏彦は、最近パワーダウン気味か?と思っていましたが、京極パワー復活!!といったところでしょうか。
おもしろかったです。
「死ねばいいのに」のニュアンスが、読む前と読後では変わってくるかも?
色々説明するより、とにかく読め!という本ですね。

最近なんだか辛いなーと思っている方は、必読です!



「死ねばいいのに」
京極夏彦
講談社

貴志祐介 「ダークゾーン」

2011-12-08 17:42:12 | 
異空間に召喚されて、訳もわからず戦う羽目になる…というと、一昔前(二昔前かも)のラノベを彷彿とさせますが、この本はちょっと違います。

貴志祐介の「ダークゾーン」。


ふと気づくと、暗い部屋の中にいた塚田裕史。
霞がかった記憶から呼びさまされたのは、自分が「将棋のプロ予備軍の三段、20歳の大学生」であるという事と同時に、「赤の王将(キング)」であるという、二つの認識だった。
同じ部屋の中には、塚田の他に17人の影。

「我々に与えられた猶予は、残り15分というところだ」
不吉な宣告のような、「一つ眼(キユクロプス)」の言葉に始まり、塚田達は「赤」と「青」との戦いを繰り広げることになる。
4つの命を持つ、王将。
王将が死ねば、勝敗は決まる。
戦いは、どちらかが4勝するまで終わらない――敵を4回倒すか、自分が4回死ぬまで。

開発中だった、ゲーム「ダークゾーン」に酷似した設定。
現実世界で上陸したことのある島と、全く同じ戦場。
火蜥蜴(サラマンドラ)
一つ眼(キユクロプス)
鬼土偶(ゴーレム)
皮翼猿(レムール)
死の手(リーサル・タッチ)
六体の歩兵(ポーン)
六体のDF(ディフェンダー)
ゲームじみた名称の駒達は、自軍の「一つ眼(キユクロプス)」と青軍の「聖幼虫(ラルヴァ)」以外は、全て現実世界での知人・友人だが、その呼称に応じて外見も変化していた。


こんな感じで、物語は始まります。

戦闘の世界と、現実世界が交互に組まれていて、塚田の現状やら他の駒との関係やらが徐々に明かされていきます。
戦闘の世界は、とにかくドキドキ。
戦闘シーンよりも、頭脳戦の駆け引きが緊迫感を煽ります。
現実世界は、自軍の「死の手」でもある最愛の恋人・理紗との繋がりや、ライバルで友人でもある「青の王将」奥本との関係性が、物語を進めていきます。

「戦え。戦い続けろ」
の言葉が、戦闘世界・現実世界ともに何度も出てきて、その度に塚田の「飢餓感」やら「焦燥感」やらが伝わってきて、なんだかこっちも力んでみたり切なかったりと忙しいです。

現実世界の物語は、なんだか先が読めるなぁ…と思いながら読み始めたのですが、なかなかどうして! 意外な展開へと進んでいきました。

そして最終章は…
ネタバレなので言えませんが、「ここに繋がるかー」と感嘆。


貴志祐介の他の作品とは、ちょっと内容が異なるイメージでしたが、空気はやはり「貴志祐介」っぽかったです。
(他の作品って、
「クリムゾンの迷宮」
「天使の囀り」
「青の炎」
ぐらいしか、読んでませんが 「新世界より」と「悪の経典」は、読みたいと思いつつ、未読)



貴志祐介
「ダークゾーン」
祥伝社

山奥の村には秘密がある

2011-01-24 18:34:24 | 
風邪をひいて寝込んでいるのをいい事に、今日は2冊本を読みました。
そのうちの1冊、乾ルカ「蜜姫村」がおもしろかったです。

山奥の陸の孤島、滝埜上村(たきのうえむら)。その村の中でも仮巣(かりす)地区は、さらに山奥の一角にあった。
そこを訪れた山上一郎・和子夫妻。山上一郎は昆虫研究のフィールドワークとして、新婚の妻とともに仮巣に1年ほど滞在する予定だった。
妻の和子は医者で、たとえ1年限りではあっても、医者のいない仮巣で自分は役に立つだろうと考えていた。
迎え入れてくれた地区の住民は、無医村にもかかわらず、医者の和子を特に有難がりもせず、和子が提案した健康診断にも興味を抱かない。
漠然とした違和感を抱いていた和子だったが、そのうちに仮巣の住民に高齢者、しかも健康な高齢者が多いことに気付くのだった。
胸の病気が疑われる、空咳をしていた老婆。
高熱で、荒い息をしていたうつろな瞳の少年。
いずれも和子の診察を断っていたのに、翌日には健康的で元気な姿を見せたのだった。
そんなある日、「近づいてはいけない」と言われていた社に向かった一郎が、姿を消す…。
一郎は、どこへ消えたのか。
無医村なのに、医者を必要としない仮巣の秘密とは?
社には、いったい何があるのか?

というスタートを切る、お話です。
村の秘密を暴く、という話かと思っていたら見事に裏切られました。
山上夫妻と、もう一組の男女を中心に、話は進んでいきます。
タイトルにもあるように、蜜姫様という人が出てくるのですが、この人がけっこういいです。
潔い。
清々しいくらい、潔いです。
あとは紅蝶が、脇役として光っています。
もう一組の男女が、胸を突かれるような展開を見せてくれて、なかなか良かったです。

ただなー、一郎がなー…
ダメダメじゃん…
昆虫に夢中になると、周りが目に入らなくなる(結婚前に、そのせいで遭難しかけて、仮巣の人たちに救われた)。
「近づいてはいけない」という社に近づいて、行方不明になる。
そういう役回りとは言え、なんだかなーという感じです。


「蜜姫村」
乾ルカ
角川春樹事務所

おススメ…ではないのだけど、引っかかった本

2010-12-15 10:39:14 | 
某小説大賞を受賞した本を読みました。
(水嶋ヒロの本ではないですよ、念のため)

ジャンルはホラーなのですが、読後感が非常に良くなかったです

展開は容易に想像がつくもので、「いつ、それが出てくるか」がポイントみたいな内容でした。
選考者も選評の中でその事について触れていましたが、「ドラキュラや四谷怪談のように、先がわかっているけれど怖いのと同等」みたいな事を言っていました。
…それは、ちょっと褒めすぎなのでは?

確かに、展開がわかっているのに「ページをめくる手は止まらず」ではありました。
でもそれは、「想像を裏切られる事を期待して」という部分も少なからずあるのです。
ドラキュラや四谷怪談のように、「お約束」の展開をなぞるには、物語にかなり惹きつけられないと難しいです。

三人称で書かれた地の文は、どことなくコミカルで親しみやすいものでした。
ただ、「このシーンで、この文章はどうだろう…?」と違和感を感じる所もありました。
すごくシリアスなシーンで、わざとコミカルに語るという手法もわかりますが、それが効果を発揮してはいなかったのです。逆に、物語から現実へ引き戻されてしまいました。

「読後感が非常に良くなかった」理由は、上記のものではなく、全体に漂う「気持ち悪さ」でした。
得体のしれない、まとわりつくような、気持ち悪さ。
これが「大賞」の理由なのかもしれません。
ホラー小説とすれば、それだけで成功なのでしょうが、雰囲気だけではなく文章の流れを重視したい私にとっては、「あと一歩たりない」という感じです。

物語の設定、登場人物の言葉使い、現実からちょっとずれた世界観は、とても良かったです。
それだけに、地の文の舌足らずさがおしいなぁ…と思いました。

この作者の、次の作品に期待したいところです。

(いつもなら、ここで本のタイトル・作者等を記すのですが、今回は「絶賛本」ではないので、割愛させていただきます。作品にたどり着く為のヒントは記述したと思うので、興味のある方は宝探し的に探してみてくださいませ

図書館×工事中

2010-11-18 16:16:04 | 
図書館が、改築工事にはいってしまいました…。

期間は半月ほど。
工事期間中は、臨時のカウンターが設置されるのですが、予約本の引取りと返却しか出来ません。
当然ながら、通常の貸し出し業務はお休みになります。

週に一度、あるいは二週に一度程度しか通っていないので、半月ぐらいヘッチャラと思っていたのですが、甘かったようです。

図書館に、行きたいよう

今月の「ダ・ヴィンチ」まだ読んでない…。(←買えって?)
お休み前に借りた本、読み終わっちゃったよう…。

通常の運営が再開されるまで、あと一週間あります。
このままだと、
「買うほどでもないけど、読みたいなぁ
    そうだ、図書館で借りよう!」
という本も、買ってしまいそうです。

あと一週間…ガマンガマン

桜庭一樹 「GOSICK -ゴシック-」

2010-11-16 11:14:18 | 
以前から気になっていた本なのですが、やっと読みました

物語の舞台は、20世紀初頭のヨーロッパの小国ソヴュール。
主人公は、この国に留学中の「帝国軍人の三男」、久城一弥。
そしてその頭脳と性格()で、一弥を翻弄する美少女ヴィクトリカ。
一度も授業に出てこず、いつも図書館塔最上階の植物園で気だるく本を(同時に何冊も!)読んでいるヴィクトリカと、先生からの連絡係(?)としてヴィクトリカの元に通う一弥。
二人はとあるきっかけで、「メインディッシュは゛野兎"です」と書かれた、「箱庭の夕べ」への招待状を手にする…。
「箱庭の夕べ」と銘打たれたディナーには、何の目的があるのか?
゛野兎゛の意味するものとは?
船上ディナーへ乗り込んだ二人が目にしたものとは…?

…と、いったかんじのお話です。

本のカバーのあらすじには、「キュートでダークなミステリ」とありました。
まさに「キュート」なお話でした!
何かといえば、「帝国軍人の三男」と自分を鼓舞する一弥がキュート!
天才美少女(だけど、声は老人のようにしわがれている)ヴィクトリカの、存在自体がキュート!
ヴィクトリカの着ている「ふわふわレースのワンピース」がキュート!!(…いや、単なる私の服の趣味です
あ…もちろん、「ダーク」もあるのですが、私はこの「キュート」さにやられてしまいました。

そして、非常に読みやすい本でした。一言で表現すると、「素直な本」でしょうか。
三人称で書かれているのですが、主人公の素直さがそのまま文体にも現れてる…という印象を受けます。
私が今まで読んだ桜庭一樹の本は、
「青年のための読書クラブ」
「少女には向かない職業」
以上2点のみなのですが、その2冊とはまったく雰囲気が違うお話でした。
「GOSICK」が素直な本なら、上記2冊は「ひねくれた本」。ちょっと斜にかまえたイメージです。
「私の男」とか「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」とかも、素直じゃない本っぽいですよね?
(↑未読ですので、イメージですが)

シリーズ物であと何冊か出ているようなので、引き続き読んでみたいと思います。


「GOSICK -ゴシック-」
桜庭一樹
角川文庫