この危機を乗り越えるためには、もっと熱狂する「遊び心」を持つことだ。


この危機を乗り越えるためには、もっと熱狂する「遊び心」を持つことだ。

勝利をおさめたの

2016-09-28 10:54:42 | 日記

 
帝国の王女セ?ネドラが真珠をちりばめたクリーム色の花嫁衣装をまとい、いとこのゼラにつき添われて立っていた。彼女は驚くほど美しかった。燃えるよ沽空金額うな髪をガウンの肩に波打たせ、お気にいりの極彩色の入った黄金色の頭飾りをはめていた。その顔には取り澄ましたような表情が浮かび、かすかに頬を赤く染めていた。彼女は終始目を伏せていたが、何かの拍子で二人の目があった瞬間、ガリオンは長いまつ毛の下の瞳がいたずらっぽくきらめくのを見た。そのとたんかれは彼女の取り澄ました表情が作り物であることを確信した。彼女は列席者に自分の美しさを存分に鑑賞させるためにしばらく立ち止まった後、滝のように流れ落ちる優しいハープの調べとともに、がたがた震える花婿に向かって通路を進んできた。バラクの二人の幼い娘たちが、花嫁のすぐ前を歩いて、通路に花をまき散らすのを見たガリオンはいささかやりすぎではないかと思った。
 台座の前に近づいたセ?ネドラは、衝動的ともいえる動作で優しいゴリムのほおにキスすると、ガリオンのかたわらに座った。彼女の体から花のようなよい匂いが漂ってきた。どういうわけかガリオンはそれを嗅いだとたん、ひざが震え出した。
 ゴリムが列席者を前にして話しはじめた。「今日ここにお集まりいただいたのは、ひとえにわれわれをいくたの恐るべき危険から救い、この幸せな日へと導いてきた〈予言〉の最後の部分が明らかになるのをご一緒に目撃するためであります。かつて語られたとおり、リヴァ王の帰還は果たされました。かれはいにしえの仇敵と対決し、です。今、かれの横で美しく光輝いておりますのがその褒賞であります」
 褒賞だって? かれは今まで一度もそんなふうに考えたことはなかった。かれはゴリムの声を聞きながら、そのことについて思い巡らしたが、たいした助けにはならなかった。そのとたん、かれは脇腹を小突かれた。
「ちゃんと聞いてらっしゃいよ」セ?ネドラが小声で注意した。
 それからすぐに式は質問と答えのやりとりにうつった。ガリオンの声はかすかにしわがれていたが、それは当然のことと言えた。だがセ?ネドラの声はよどみなくしっかりしていた。せめて不安そうなふりをすることくらいできないのだろうかとガリオンは思わずにいられなかった。
 二人が交換する指輪を載せた小さなビロードのクッションをエランドが運んできた。子供は真剣に自分の務めを果たしていたようだが、その小さな顔にさえかすかにおもしろがっているような表情が浮かんでいた。ガリオンは心ひそかに憤慨した。まったく誰もかれもがかれをこっそり笑っているのではないか?
 結婚式はゴリムの祝福で終わったが、ガリオンの耳にはまったく入らなかった。かれが祝福を受けているあいだ、〈アルダーの珠〉が耐えがたい押しつけがましさで、かれの耳を歓喜の凱歌で満たし独自の祝福をしていたのである。
 セ?ネドラがかれの方を向いた。「さあ、早く」彼女は小声でうながした。
「何をするんだい?」かれもまた小声で聞き返した。
「わたしにキスしてくれないの?」
「ここで? こんな公衆の面前でやれというのかい」
「それが習慣なのよ」
「馬鹿げた習慣だ」
「いいから、早くやってちょうだい、ガリオン」彼女ははげま正面的生活態度すような暖かい微笑を送った。


なり声を上げてい

2016-09-19 10:57:38 | 日記

ネドラはもの珍しそうにあたりを見まわした譽一鐘錶。崖上にそって築かれた長大な要塞が、威圧的にそびえたっていた。土と石で作られた壁は、ゆうに三十フィートの高さがあった。開かれた門のむこうにはさらに壁がめぐらされ、その前には先を尖らせた杭や、刺のあるイバラの林立する溝が掘られていた。主壁にそうようにして要所要所に小要塞があり、壁の中には兵士たちの宿舎がずらりと並んでいた。
 砦は人々であふれかえり、それぞれの場所でたち働いているために、絶え間なくほこりが舞いあがっていた。そこへ、煤に汚れ、疲れた馬にまたがったアルガーの氏族の一団がゆっくりと入ってきた。数分後、ミンブレイトの騎士たちが、槍旗をはためかせ、ひづめの音も高らかに、あらたな町を破壊するために砦を出ていった。
 崖の縁に設置された巨大な巻きあげ機が、下の平原から引き上げられるチェレク船の重みで、ぎしぎしきしみ、うた。少し離れた要塞の壁の内側では、そうして引きあげられた戦艦が、五十リーグ離れたマードゥ川上流まで運ばれる日を待ち受けるようにして置かれていたYumei水光精華
 ポルガラはダーニクとバラクを従えて、王女と疲労困憊したドラスニア国王をむかえた。
「登りの道はいかがでした」バラクがたずねた。
「身の毛もよだつ思いだ」ローダー王は息もたえだえに言った。「何か食べるものはないか。十ポンドは体重が減ったような気分だ」
「そんなふうには見えないが」とバラク。
「こんな過激な運動は体によくないのよ」ポルガラがあえぎ続ける王にむかって言った。「いったい何で、あんなに頑固に拒否したの」
「じつはわたしは高所恐怖症なのだ」とローダー王は答えた。「あんな機械仕掛けで崖をあがるくらいなら、十回だって登ってやるさ。まったく足の下に何もないというのは、身の毛もよだつような思いがする」
 バラクはにやりと笑った。「さぞかしスリルがあったことだろう」
「頼むから何か食べ物を持ってきてくれ」ローダーは哀れっぽい声を出した。