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日記です

『猫下宿』

2007-02-27 21:58:45 | 読書
『猫下宿』 吉田和正(著)
単行本 2006年11月 駒草出版

ひとりやもめの老作家・田浦達は、20匹以上の猫と暮らしている。ひょんなことから自宅の2階を「猫下宿」として貸し出すことに。そこへ3人の女子学生が下宿人として住み始め…。猫と男と女の、おかしくて不思議な同居生活。

どうもイメージしていた内容と違っていたかな。
もっと猫を囲んで、大家である田浦と下宿人である女性たちとの触れ合いというか、おじさんと若い女性たちというギャップのある関係が面白く描かれているのかな、と思いきや。

飼っている猫たちの生態ばかりがめについて、しかもこういう小説に書くにはちょっと生々しい部分も。猫の「愛らしさ」なども全く伝わらず(著者は元々そういう意図がなかったのかもしれないけど?)、なんだか???な読後感。

猫好きの方にも、そうでない方にも、あまりお勧めできません…


『ドリームガールズ』(映画鑑賞)

2007-02-23 22:59:42 | 映画・DVD
『ドリームガールズ』

監督:ビル・コンドン
出演:ジェイミー・フォックス/ビヨンセ・ノウルズ/エディ・マーフィ/ダニー・グローバー/ジェニファー・ハドソン /アニカ・ノニ・ローズ/キース・ロビンソン/

エフィー、ディーナ、ローレルの3人組は、コーラスグループ“ドリーメッツ”を結成し、成功を夢見てニューヨークへ旅立った。やり手マネージャーのカーティスに見出され、大スターのジェームズ・“サンダー”・アーリーのバックコーラスとしてデビューするが…。

とにかく最初から最後まで出演俳優たちのパフォーマンスに圧倒されちゃいました。ストーリーは少女たちの人生の成功と挫折の物語。裏切りや失望を味わいながらも最後には素晴らしい再出発が待っていて、なんか力を与えてくれる映画でしたね。

さて、観る前からすごく気になっていたのはアカデミー助演女優賞にノミネートされているジェニファー・ハドソン。
とにかくパワフルで、新人とは思えない貫禄もあってすごかったです。主演女優賞じゃないの??と思わせるくらいの存在感だったと思います。

ディーナやローレルに見放され、カーティスにも突き放されたエフィが”あなたを離さない”とあらん限りの感情をぶつけて歌うシーンは圧巻…。

まだ売れるまえの時期を演じているビヨンセは、化粧も薄くてなんだか別人みたい。ホントに素朴な可愛らしい女の子に見えたわ。
ウェイトも絞られたのかしら?なんかとってもスマートだったし。

それにしても、歌ってすごいな。
先述のジェニファー・ハドソン扮するエフィの歌もそうですが、ビヨンセが演じるディーナが”私の心の叫びに気づいて!”という思いをこめて歌うシーンも、すごく胸に響いて切なかったわぁ…





『あかんべえ』

2007-02-22 21:06:55 | 読書
『あかんべえ』 宮部みゆき(著)
単行本 2002年3月 PHP研究所

ここに亡者がいるんです。見えないかもしれないけれど確かにいるんです。怖くて、面白くて、可愛くて…涙が込み上げてしまう感動のクライマックス!最高の時代サスペンス・ファンタジー。

お化け(幽霊)が見える女の子・おりんが、両親の営む料理屋ふねやで巻き起こるお化けがらみの騒動の謎を追求するって感じの、一応ミステリー…かな?
宮部さんのミステリーっていうと本格的なものはズシリと重い雰囲気ですが、こちらは以前読んだ、うそうそ、のような軽い作風で気軽に読めます。小学生でもいけるかも。



今年もまた

2007-02-21 23:04:47 | 日々のできごと
2007年2月21日(水)

ウグイスの声を聞きました。
去年、一昨年より早いのでは??とブログで振り返ると、3月1日だったね。
これも暖冬のせいかしら。それとも今年は私が気付くのが早かっただけ?
春の早い訪れは嬉しいものの、地球環境のことを思うと複雑…

帰り道では沈丁花。香りがするとついキョロキョロと、いずこで咲いているのかと探してしまうのでした。

ちなみに沈丁花の花言葉は…?
「不死」「不滅」だって。なんか意外な感じだなぁ。

『紗央里ちゃんの家』

2007-02-19 22:57:42 | 読書
『紗央里ちゃんの家』 矢部 嵩(著)
単行本 2006年11月 角川書店
第13回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作

叔母からの突然の電話で祖母の死を知らされた僕と父親。叔母夫婦の家には変な臭いが充満し、従姉の紗央里ちゃんも行方不明。洗面所の床からひからびた指の欠片を見つけた僕は、こっそり捜索を始めることに…。

先日読んだ『夜市』と同じ日本ホラー大賞で長編賞を受賞した作品。

毎年訪れている、いとこの紗央里ちゃんの家。
僕と父親を出迎えてくれた叔母さんは全身血まみれで、背中に包丁のようなものを隠しつつ、笑顔で「いらっしゃい」なんて言っている。この時点でもう不気味。
そして血まみれなのが大きな魚をさばいていたせいだという叔母さんの言葉を、戸惑いつつも「そうか、それならね…」なんて受け止めて家に上がってしまう親子にもギョっとする。

僕はこの後、人体の様々なパーツ(指だったり舌だったり…)を見つけ驚くんだけど、叔父さんや叔母さんに隠れてほかのパーツを探そうとしたり、普通なら逃げ出す状況なのにそのまま予定通り泊まり続ける異常っぷり…。

いったいこの親族たちはどうなっているの??と気味悪く思いながら、さてこの話がどういう結末に向かうのかも気になってきます。

一番怖いと思ったのは、自宅へ帰る車の中で、今まで話の中心には入ってなくてそんなに存在感のなかった父親がキレる場面ね。
「人の事なんてどぉでもいい」と、「誰かの耳がなくても俺は痛くないじゃん」と言い放つ父親。

明らかに誰かが殺されている家の中で、何事もなかったかのように振る舞う大人たちと、死体のパーツを探す僕と、いなくなってしまった紗央里ちゃん。
全てが異常なこの設定自体がホラーだし、父親の言葉に表されるような、人に対する「無関心さ」というのも、今の世の中の暗い部分を映し出しているようで怖いのです。

『ノラや』

2007-02-18 21:43:29 | 読書
『ノラや』 内田百(著)
文庫 2003年6月 筑摩書房

百宅に入りこみ、ふいに戻らなくなったノラ。愛猫の行方を案じ嘆き続ける「ノラや」を始めとして、猫の話ばかりを集めた二十二篇。

百先生はこの本の中に収められている最初の何話かを読むに、猫が好きではない様子。でも家の庭に住み着いたノラネコが生んだ子猫を"ノラネコ"のまま飼うことになって以来、すっかり可愛がるようになってしまう。その様子が面白いのです。

最初は家に近づけないように飼っていたつもりが、だんだんとノラの居場所は家に近づき、結局家の中で可愛がられるようになったりして。動物に情が移るとありがちですよね。

だけどノラがふいに戻らなくなってしまったあたりからは、ちょっと切ない。必死に捜索し、毎日毎日思い出しては涙する百先生。
結局ノラは戻らず、途中、ノラによくにた迷い猫クルツを飼うようになるけれど、生き物との生活にはやはりどうしても別れはやってくるもの。
百先生の嘆きを読んでいると私まで泣けてきます。もう、そんなに嘆かないでください、って思ってしまうの。そして私の手の中で綿みたいに軽くなって逝ってしまった小さな命を思い出してしまったり…

ところでこうして本で読んでいると、猫もなかなか愛らしい。先生の奥さまがノラを抱っこしながら「ノラちゃんはいいこだ」なんて赤ちゃんをあやすみたいにしてしまうのも、想像すると頬が緩むな。



『猫の建築家』

2007-02-14 22:27:03 | 読書
『猫の建築家』 森博嗣(作) 佐久間真人(画)
単行本 2002年10月 光文社


誰も「美」の意味を説明できない。そんなものが本当にあるのだろうか? 建築家に生まれ、「美」の意味を問い続ける猫。ミステリィ作家・森博嗣が新進画家と共同で生み出した、静謐な物語。

大人の絵本なんだけど、詩的であり哲学的であり、ポストカードになりそうな絵がArtだなって思います。

街を歩く"猫"は建築家で、いつも「造形」を考え、つねに「共生」を意識している。「形」とは何か、「機能」とは何か。「美」とは何を意味するのか。

人間が造りだしたあらゆる造形(信号機だったり列車だったり)を観察しながら、様々なことを考える猫。
うーん、たしかに犬より猫のほうがそんなことを考えていそう…



ドライブ

2007-02-12 21:33:44 | 日々のできごと
2007年2月12日(月)

以前blogに書いたこの時期のMYブーム、南房総へドライブに行ってきました。
助手席はお友達もりっぺサン。やる気はあるものの方向音痴で危うい私を、
男らしく(笑)サポートしてくれました。

出発は大網駅から。
九十九里海岸沿いを南下して…まずは御宿海岸へ立ち寄りました。
童謡「月の砂漠」発祥の地にはラクダに乗った王子様とお姫様の像が佇んでいます。

晴れ渡った空の下で見るのもいいけど、月夜の晩に旅する二人のシルエットを眺めるのも
ロマンチックかも、なんて思ったり。


姫、ともに参りましょう・・・


月の砂漠をはるばると旅の駱駝がゆきました


さてランチは勝浦の「おさかな処 さわ」さんにて。
12時よりちょっと早めに入ったらすぐ座れたけど、
後から続々とお客さんがやってきて満席に。ラッキーだったわ♪

私は刺身丼をいただきました



ホタテ・たこ・マグロ・ブリ・メダイに甘~いエビちゃん。
当たり前ですが新鮮で、甘みがあって美味しいのよ、刺身たち。
大満足なお食事となりました。

この後、千倉のお花畑を目指してまっしぐら!…のはずだったんだけど、
いやいや恐らく同じ目的の車で渋滞ですよ。

ちょっと休憩で鴨川にあるEBIYA CAFEへお立ち寄り。
ここは伊勢エビカレーが名物のようだけど、ランチは済ませたのでお茶だけで。
機会があったら是非、伊勢エビカレー食べたいわ。お値段はそれなりだけど。
もう少し暖かくなったら外のテラスで海を眺めながら…なんてのもいいねぇ。

再び千倉を目指して走りだすも、やっぱり渋滞は変わらず。
17時もまわって、もう日も暮れようかという頃に到着。
お花は摘むのはあきらめて花屋さんで買ってお土産に。
でも1束おまけで入れてくれて嬉しかったわ

潮風王国内の散歩カフェでは”あまおうソフト”なる
魅惑的なソフトクリームが売られていて、甘いものにもなんとかありつけました

あとは高速も乗りつついっきに帰るだけ…だったんだけど、
この後も渋滞地獄に陥り、怒れるオウムの群れを見続けながらの
走行(とは呼べない速度だったけど)がしばし続いたのでした。
この時期の連休を甘くみていたわ…

もりっぺサンを大層疲れさせてしまって、
しかも最後まで私の方向感覚の狂いっぷりに冷や汗ものだったかと思います。
他にも色々と反省点が…

でも、天気もよくて暖かくて最高のドライブ日和。
念願の房総ドライブが叶って私はとっても楽しかったのです。

どうもありがとうっっ
懲りずにまた遊んでね。


『夜市』

2007-02-06 23:04:06 | 読書
『夜市』 恒川 光太郎(著)
単行本 2005年10月 角川書店
第12回日本ホラー小説大賞受賞作

何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼いころ夜市に迷い込んだ祐司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れた。野球部のエースとして成長した祐司だったが、常に罪悪感にさいなまれていた…。

昨年に引き続き、異界を描いた作品に惹かれています。

”夜市”とは時間も場所も定まらず、ある夜突然開かれる市場で、そこでは異形のモノたちが様々な品を売るところ。
「今宵は夜市が開かれる。夕闇の迫る空にそう告げたのは、学校蝙蝠だった…」
冒頭からこの妖しい雰囲気にぐぐっと引き込まれます。

ホラー大賞受賞作品だけど、おどろおどろしいものではなく、どこか薄闇の中をさ迷っているような、その中で夜市の灯りだけがぼんやりと浮かんでいるような、幻想的な雰囲気。

弟を買い戻すために再び夜市に足を踏み込んだ祐司に意外な展開が待つ後半が面白かったですが、私は「夜市」よりもう1作収められた作品「風の古道」のほうが好きな作品だったな。

父親とはぐれたことがきっかけで、"特別"な道を知った少年は、友人カズキとちょっとした冒険心で再びその道を訪れる。しかしそこは大昔から日本にある神々の道。迂闊に人間が立ち居ってはいけない場所だった…

今この世界のどこかにも、目には見えない神秘の領域があって、私みたいに"細い路地をみると入ってみたくなる"などと言っていると、うっかり綻びから違う世界に迷いこんで帰れなくなってしまうかも…。そんな空想を引き起こさせる作品でした。






『精霊の木』

2007-02-05 20:59:54 | 読書
『精霊の木』 上橋 菜穂子(著)
単行本 2004年5月 偕成社

環境破壊で地球に住めなくなった人類は、さまざまな星へ移住した。少年ヤマノシンの住むナイラ星も人類が移り住んでから二百年をむかえようとしていた。ところが、シンの従妹リシアが突然、滅びたと伝えられるナイラ星の民「ロシュナール」の“時の夢見師”の力にめざめてしまう。

地球を捨て他の惑星へ移住した人類。シンとリシアが知ることになったのはロシュナールが滅びたのではなく、人類によって滅ぼされたという事実。
ロシュナールは人類からみれば原始的な民で、人類はそういう民を圧迫し彼らの住む土地を奪い滅ぼしたうえに、その事実を捻じ曲げた歴史を伝えようとしていた…

現在文化人類学を教える大学助教授でもある著者は、地球の歴史の中でも起きている原住民に対する差別や誤った解釈を問題視され、訴えたかったようであるけれど、でも私がこの本を読んで恐ろしかったのは、地球が破滅した原因が急激に進んだ環境破壊だったということ。今まさにその問題が起こっているだけに、単なるSFファンタジーとは思えない設定です。

いつまでも四季を感じられる豊かな星であって欲しい、などと思うのでした。