子供達が寝静まった夜にひとり、
テレビも消して、膝を抱えてうずくまってみる。
時刻は、午前1時をまわった頃。
以前、元夫と生活していた頃、元夫を迎えに行った時刻。
大雨だろうが、どんなに疲れていようが、病気だろうが、
連絡を待っていた。
「俺。何時何分。以上。」
その時刻に駅に迎えに出る。
ホームから、出てくる姿を探す。
スーツ姿で、長身の元夫は遠くからでもよく目立った。
大またで足音を立てて . . . 本文を読む
「愛してる」のだと・・・
「好き」なのだと・・・
元夫のことをずっとそういう対象だと、思っていた。
「私」という人間をどんなに軽視し罵倒し、蔑み、無視し、
傷つけ、無き者のように扱われてもなお、
「愛している。」と思っていた。
今思えば、思い込んでいた。
呪文のように、思い続けていた。
「帰りを待て」と言われていたのではなく、
待っていたいから、待っていたし、
「うまいメシを作れ」と言われたか . . . 本文を読む
「お前が奴隷になってくれないと、俺は王様になれないやないか!」
王様ゲームをしていたのではなく、本気でケンカをしているときに、
元夫が叫んだ言葉である。
結婚して数ヶ月目のことで、私は当時当然に、「モラルハラスメント」という言葉を知らなかったので、
まともに受け答えをした。
「・・・私は生まれてこの方奴隷になったことがないから、わからない。」
「夫婦っていうのは、もし仮にあなたが王様なら、私は女王 . . . 本文を読む
台風一過、爽やかな秋の空を久しぶりに仰いだ。
それでも陽射しは真夏並みにじりじりと熱く、さわやかな風が吹いた程度では
涼しさを感じさせてくれない。
9月に入ったとき、
ああ、1年半が経った、と思った。
元夫と住んでいた家から突然脱出を果し、ここへやってきたのは去年の3月だったから、
あっという間に1年半が経過したことになる。
この夏は、ここへ来た頃のことばかり回想していた。
子供達に、「失ったも . . . 本文を読む