町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

30年振りの新形式・直線的フォルムの横浜市営地下鉄4000形

2023年04月05日 | 横浜市営地下鉄

横浜市営地下鉄が開通してから50年目となる2022年、想定以上の老朽化が進行していた3000A形の置き換え用として待望の新形式となる4000形が登場しました。1992年登場の3000A形以来、N•R•S•Vのアルファベットで構造の違いを表しながら増備が続けられながらも系列自体は3000のままで本形式も3000V2次車として計画されていましたが、外観デザインを大幅に変更した為新形式とされたものです。製造メーカーは川崎重工業(202110月より子会社の川崎車両)が担当しており、初代車両の1000形以来こちらも50年ぶりの受注となりました。今後も3000A形の置き換えを完了させるべく増備が予定されています。

これまでの3000形グループでは「く」の字状に尖った流線形スタイルの前頭部でしたが、見る角度で表情が変化する直線的な形状に改め、前照灯・尾灯が縦配置となっているのが特徴的です。これは、横浜市が実施した調査から「横浜のイメージ」「横浜らしさ」を抽出し「海辺の先進的な都会感」をコンセプトに掲げ凛とした佇まい、スピード感を感じさせるデザインとされています。

側面も3000V形までは配置は若干違うものの基本的には青と水色の帯が横方向に貫くデザインでしたが、ゲートタイプのホームドアの普及に伴い上部に4色の帯が入り腰部に細帯が通るスタイルになりました。メカニズム的にはハイブリッドSiC適用IGBT-VVVFインバーター制御を採用し、3000V形とほぼ同じ性能となっています。

3000V形でもガラスを多用した開放感ある車内でしたが、4000形ではまたデザインが見直されました。天井や袖仕切りの形状、一部の配色が変更になりましたが、近年の新造車にしては珍しく、座席は片持ち式ではない蹴込み板があるタイプになったのが特徴です。

車内案内表示器は17.5インチの液晶画面で、3000V形では周囲に合わせて白の筐体でしたが、本形式では黒になりました。停電時でも車載バッテリーによる表示を可能にしており、非常時にも視覚による情報提供を可能にしています。

今回の4000形は3000A形の代替の為に8編成が増備される予定ですがブルーラインは2030年度を目標に、あざみ野〜新百合ヶ丘間の延伸を予定しており開通時には更に車両が増備される予定となっています。4000形はそれらとは関連しない3000A形代替用ですが、延伸の際の増備車は現在の4000形のマイナーチェンジ車になるのか、また完全な新形式になるのか注目ですね。

 

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環状鉄道計画は実現なるか?横浜市営地下鉄グリーンライン10000形

2023年04月01日 | 横浜市営地下鉄

2008年の330日に開通し、横浜市北部地域の足として親しまれる市営地下鉄グリーンラインは本年330日で中山〜日吉間の開通から15周年を迎えました。この路線は横浜環状鉄道として計画されていた区間の一部で、既存の湘南台〜あざみ野間を結ぶブルーラインとは異なり鉄輪式リニアモーター駆動の小断面地下鉄を採用しており、車両は開通より約2年早い20065月に川崎重工業で1000042本が製造され工事中の区間(1同形式登場時点では路線名は未定)で試験を実施、その結果を踏まえた量産車両13本が20077月から20082月までに開通に備えて落成しました。現在は2014年度に輸送力増強用として一部仕様を見直した2次車2編成が登場。更に6両編成化の為20224月からは既存の4両に増結する中間車の増備が開始され、2024年までに在籍する17編成のうち10編成を6両化することが決定しています。本記事を書いている202341日からは、資源循環局のゴミ焼却工場から発生するエネルギーを利用した電力で運転を開始し、1年間で排出されるCO211000t削減(実質排出0)になることが発表されました。

量産1次車である1000010081編成。製造時から将来の増結を考慮しており34号車を欠番扱いにして車号が付与されています。量産車は全編成が川崎重工業兵庫工場からJR線の甲種輸送とトレーラーによりで輸送されていますが、試作車に関しては神戸港から船舶で横浜港に輸送され、そこからはトレーラーでセンター北駅付近に陸上輸送の上で地上の高架線にクレーンで搬入する極めて珍しい方法が取られました。また、戸袋部のカラーもブルーからグリーンへ営業運転開始前に変更(量産車は当初からグリーン)にされるなど、余り他には例が無い経歴を持っています。

2019年までは公営地下鉄路線としては混雑度が最も高く、2020年からは新型コロナウイルスの影響で一時的に利用者が減少するも再び増加傾向にあることを受けて6両編成化された10121編成。現在10000形は増結を前にしてVVVFインバーター制御装置の更新が進行しており、更新車両は磁励音がIGBT素子ながら音階のようにも聞こえる非常に独特な磁励音を発するようになりました。

白い配色を基調とし強化ガラスを多用した座席の袖仕切り、妻面貫通扉と広がりを感じさせる縦縞模様の床面など車体幅の狭い小型車両ながら解放感がある車内。側扉はステンレス仕上げに接着式ガラスを採用する標準的なスタイルで、ブルーラインの車両との共通性が伺える部分です。

車内案内表示器は車高が低い為、ドアの左右に設置されました。写真は1次車の15インチサイズ液晶画面ですが、2次車からは17インチに拡大され、6両化された編成も17インチに換装されています。

リニアモーター駆動地下鉄では数少ない地上の高架線を走行し、車両の全体像を見る事ができる(編成写真をセンター南駅日吉寄りのみですが撮影可能です)他、センター南〜センター北間では車両の規格が全く異なるブルーライン(750V第三軌条集電・軌間1435mm、グリーンラインは1500V架線集電式)と並走する区間が日本で唯一存在するなど、趣味的にも非常に興味深い特色を持つグリーンラインですが、先述の通り横浜環状鉄道の一部である為、日吉〜鶴見・中山〜二俣川間の延伸が計画されており元町・中華街〜根岸間(みなとみらい線の延伸計画)と共に試算も行われました。しかし横浜市では2030年のブルーライン新百合ヶ丘〜あざみ野間の延伸を最優先事項とし、事業化への調査はその後としています。未だ構想段階で延伸実現には20年以上は掛かりそうなグリーンライン延伸ですが、今後が期待される路線です。

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コストダウンでスマート化を図った増備車・横浜市営地下鉄3000N形

2023年03月25日 | 横浜市営地下鉄

開通以来段階的に延伸を繰り返している横浜市営地下鉄は1999829日、横浜市外を超えて藤沢市の湘南台へ至ることになりました。これを受けて更なる運用数増加に伴い3000形の増備が計画されますが、1999年度からの製造分では従来の3000形よりコストダウンを図り、VVVFインバーター制御装置は技術の進展を受けGTOサイリスタからIPMに変更、新たに3000N(Newの頭文字)と称され6両編成7(3238編成)が製造されています。

199963日より運転を開始した32編成。1次車と比較して前頭部がステンレス構造になり角張ったフォルムになっています。登場時から2016117日まで「はまりん号」として音符や交通局公式マスコットキャラクターはまりんのラッピングが施され、車内の広告類は市内の小・中学校の生徒によるイラストや横浜市からのお知らせ、イベント情報が掲出されていました。2011111日から1227日は三井物産フォレストとの提携で「しんりん号」として森と木のラッピングにされた時期もあります。はまりん号指定解除後の現在でも広告類は交通局からのイベント情報や沿線案内などで統一されています。

2本目の増備車である33編成。3000N形は何かとラッピングの機会が多く、この編成も20051216日から201577日まで横浜港開港150周年のラッピング車として運用されました。1次車3000A形同様に2007年までに全編成に対しワンマン化改造が施工され安定して活躍していましたが、第38編成は2019829日に踊場駅で脱線事故を起こし、車両メーカーの診断の結果廃車とすることが決定。現在は6両編成6本の陣容になり、安全教育用に38編成の破損した先頭車が保管されています。

車内はコストダウンの為に先頭車のボックスシートや天井の照明カバーを廃止、ワイドドアを引き継ぎながらもステンレス仕上げに接着式窓のドアとFRPによる大型袖仕切りなどJR東日本209系で採用された設備を採用しています。これらは後の増備車にも反映されました。座席は人数区分がされた非バケットシートでしたが、現在は3000RS形より明るい色彩でバケット化されています。

車内案内表示器はLEDによる表示ですが、3000A形で採用された点灯式の路線図は廃止され、路線案内+戸開予告装置との組み合わせになりました。戸閉装置には初めて戸閉力弱め機構を搭載しており、3000N形が初の採用事例でした。

今後1次車に当たる3000A形が全廃されると横浜市営地下鉄で最古参になりますが、こちらは車体に致命的な劣化は無いようで機器更新が決定しており、三菱電機が落札したことが明らかになっています。走行機器と共に車内は大規模な修繕が実施されるかどうかにも期待したいですね。

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廃車が進行する横浜市営地下鉄3000A形

2023年03月21日 | 横浜市営地下鉄

1972年の伊勢佐木長者町〜上大岡間の開通以来、段階的に路線の延伸して来た横浜市営地下鉄ですが、1985314日の第3期区間上永谷〜舞岡・横浜〜新横浜間開通を控え冷房搭載・電機子チョッパ制御の2000形を登場させ2形式による体制の運用になりました。更に8年後の1993318日の3号線新横浜〜あざみ野間延伸に伴う運用数増加で前年の199276日より市営地下鉄では初となるVVVFインバーター制御車3000形が登場、1995年までの約3年に渡り増備が続けられ6両編成8本が製造されました。2007年からはホームドア新設に伴うワンマン運転対応化が進められ同時に形式を3000A形と呼称するように改められています。

ステンレス車体にFRP成形品の正面を組み合わせ、丸みのある先頭形状になった3000A形。写真は量産編成に当たる29編成で、一番最初に製造された24編成は先行試作車的な要素を持ち運転席の圧力計・電力計がデジタルメーターになっていましたが、量産型の25編成〜31編成からアナログ指針式に変更される相違点がありました。

初登場から24年余り経過した2017年には大規模な車体修繕と機器更新が計画され、入場中の予備車確保の為に3000V形も1編成が製造されましたが、劣化箇所の修繕に予測を超えた費用が計上される事になってしまい、新形式の4000形で置き換えられる事になり、20221020日より25編成を最初に廃車が開始されています。

車内設備は白を主体に明るいオレンジ系の座席を配置し、車椅子スペースと向かい合う乗務員室後部のみ4人掛けボックスシートとしています。ドア幅は先の2形式が1.3メートル幅だったのに対し1.5メートルに拡大したワイドドアになり、これは1999年以降に増備される3000N形以降にも引き継がれました。関東地方の車両としては珍しく車内照明にカバーが設置されていたり四隅のRが小さく面積の広いドア窓など、全体的に関西私鉄を思わせる造りが特徴的です。

車内案内表示器はLEDと点灯式の路線図を組み合わせたタイプで、ワンマン運転改造後は神奈川新聞のニュース配信を表示しており通常の次駅表示とニュース表示の千鳥配置になっていたことがありました。2020年に配信は終了し、現在は全ドアの表示器が旅客向け案内を表示しています。今後は取り外した車両部品の販売も決定し、運用本数自体もダイヤ改正で削減されているので全廃も近いと思われますが、まだ経年が浅い印象なので残念ですね。

 

 

 

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ハマっ子達の日常の足、横浜市営地下鉄3000R形

2023年03月05日 | 横浜市営地下鉄

横浜市営地下鉄13号線(ブルーライン)では、1972年の開業以来長らく初代車両の1000形が主力車両でしたが、消費電力が大きい抵抗制御かつ内部構体を普通鋼製とするセミステンレス構造の車体で老朽化が進行していた為、2004年度から順次置き換えられる事になり、代替の新造車として1999年の戸塚〜湘南台間延伸開通時に増備された2次車の3000N(Newの頭文字)形をベースに細部の改良を実施した3次車となる3000R形を導入しました。Rは置き換えを意味する「Replace」の頭文字で、1000形と同数の6両編成14本が製造されており、現在ブルーラインで運用される3000形グループの中では、この3次車が最多となっています。

日本車輌製造のブロック工法が採用された為、2次車までは車体にあったビードが廃されシンプルな外観になった3次車3000R形。角張った先頭部のデザインは2次車からですが、正面ガラス下部が曲線とされソフトな印象になるよう仕上げられています。

2004年度製造分(3946編成)の落成当時は車掌も乗務するツーマン体制による運転だった為、ワンマン運転用設備は未設置でしたが、2005年度製造分(4752編成)は対応する機器を搭載しており、他編成も改造で設置されました。ATOによる運転は2007120日より開始され、それに伴うホームドアは同年4月中より設置駅から順次稼働開始、1215日からは完全にワンマン運転に移行しています。

車内設備はほぼ2次車を踏襲する部分が多いですが、人数区分がされたバケットシートが採用され、優先席も一般座席と同一のモケットを採用、また車椅子スペースを先頭車から全車両に設置するなどバリアフリー面も強化されています。登場時は路線図一体型のLEDによる車内案内表示器は液晶画面に換装されました。3000S形はR形と同一の設備ですが、一部の手摺りや妻面貫通扉の取っ手に2000形の発生品を再利用するなど、細部に違いが見られます。

新しい印象がある30003次車以降のグループですが、R形も来年で登場20周年を迎えることになりました。今後は2030年度を目標に、あざみ野〜新百合ヶ丘間延伸を控えていますが、開通後もR形・S形共に主力として活躍しているでしょう。

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