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GDP、まだ見えぬ真の実力 新基準でR&D費用加算でも

2016年12月08日 | 国際政治
GDP、まだ見えぬ真の実力 新基準でR&D費加算でも
2016/12/8 17:12 日経

 日本の経済規模が8日、大きく膨らんだ。内閣府が同日発表した2015年度の名目国内総生産(GDP)確報値は先月発表した速報値から6.3%も"膨張"。計算手法を国際基準に対応したことで研究開発(R&D)費を加算したためだ。ただ、新基準でもカバーしきれていない経済活動もある。日本経済の真の実力はまだ見えてこないのが実情だ。

■国連が計算基準見直し

 8日発表された15年度の名目GDP確報値は532.2兆円。先月発表の速報値の500.6兆円から31.6兆円(6.3%)も増えた。これまで除外していた民間企業の研究開発費(R&D)を加算しただけで19.2兆円(3.8%)分、上ぶれたという。

 今回から対応した新基準とは、国際連合が各国の経済状況を比べやすくするために設けている計算基準だ。時代の変化に伴って変わる経済活動をより正確に表すため、国連は1993年に定めた基準を2008年に見直し、加盟国に修正を促していた。

 実は日本以外の主要国ではすでに新基準を導入している。内閣府によると、14年までに新基準に対応している経済協力開発機構(OECD)31カ国の平均で3.4%の名目GDP押し上げにつながったという。

 国別で見ると、名目GDPが最も上振れしたのは韓国で7.8%、オランダが7.6%、イスラエルが6.4%と続く。ただ、各国ごとに押し上げの要因は大きく異なっている。

 日本と同じくR&Dの加算が大きく寄与したのは韓国、スウェーデン、フィンランドで、それぞれR&Dの計上分のみで3.6~4.0%のGDP押し上げにつながった。

■非合法活動も対象

 一方、別の要因がGDPの押し上げにつながった国も少なくない。例えば英国やフランスといった相対的に防衛支出の大きい国では戦闘機や戦車などの軍事兵器がGDPに加算されることになった影響がより濃く出ている。

 欧州連合(EU)諸国は麻薬取引や売春、違法賭博などの非合法活動も対象にしている。EU内で作る独自のGDP基準(ESA2010)で認めたためだ。こうした非合法活動だけでEU諸国の名目GDPを0.4%も押し上げた。「ゴッドファーザー」など映画作品でも「マフィア」が取り上げられるイタリアに至っては、1%も増えたほどだ。

 ハリウッド映画などエンターテインメント産業が力を持つ米国では、映画の原作やテレビの長寿番組、音楽や小説などの原本が生み出す付加価値を、13年からGDPに取り込んでいる。

■娯楽産業に伸びしろ

 日本では基礎データの不足から娯楽作品の原本が生む付加価値については現時点ではGDPに加えられていない。ただ、アニメや漫画などのコンテンツ産業が盛んな日本で娯楽作品の基礎統計の整備が進めば、GDPの伸びしろはまだありそうだ。

 こうしたGDPの上振れは、推計方法の見直しの結果にすぎず、それによって経済の実力そのものが高まるわけではない。だが、自国の経済の姿をより正確に捉えることができれば、国の政策判断や企業戦略にも影響を与える可能性がある。

 ここ数年で一段と存在感を増した「シェアリングエコノミー」やネット通販など新たに台頭してきたサービスも、公式統計ではまだ捉えきれていない。

 日本経済の真の実力を捉えようとする試みは、新基準の適用で終わりではなく不断に続ける必要がある。新たな統計の整備に人材や予算を振り向けていくことが欠かせない。

(浜美佐)