横山大観展(日本橋三越本店)

三越の横山大観展に行きました。足立美術館三十五周年記念とうた
われた展覧会です。

横山大観は三年前に東京国立博物館での展覧会が印象的でした。そ
の横山大観展で目玉だった『紅葉』は足立美術館の収蔵作品で、今
回の展覧会にも出展されています。少し広めの空間に鎮座まします
絵の前に、長椅子でゆったりと鑑賞します。発色の良い紅葉の赤に
川の藍。近くでみると川の飛沫が銀の線や方形の模様で表現されて
います。その自然の抽象化の仕方が同じ日に観たガレと好対照でし
た。自然との付き合い方は日本人の方が上手ですよね。ガレの造形
にはある種の恐れが感じられるに対して、大観の描く自然には生活
に馴染んだ心地よさ、あるいはある種の尊敬が感じられました。

岩肌を表す色の滲みは朦朧体。その時の技巧をすべて注ぎ込んだ紅
葉は、目にうれしく感じました。

昨年、芸大美術館で観た『海山十題』とも再会。その他、自然を扱
った小品もあって、なかなか楽しめます。自然を描くときは凛々と
した描写の大観も、小動物を描くときはとても優しい...雀や子犬な
どの描写は微笑ましく感じました。

今回の展覧会は普段利用しないデパート(三越)を会場にした普段読
まない新聞(朝日)主催の展覧会だったので、あやうく行きそびれる
ところでした。デパートの催し物なのであまり混雑するのも逆効果
なのでしょうが、もう少し宣伝したらいいのにな。

鳥取にある足立美術館は横山大観の作品を多く収蔵していることで
有名で、日本庭園も素晴らしいそうです。一度行ってみたいと思い
ました。

横山大観展は4/10までです...