美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




北斎とその娘を狂言回しに江戸の風俗を描いた漫画...
音楽の世界を題材にした『のだめカンタービレ』、演劇を題材にし
た『ガラスの仮面』あたりはとっても好きな漫画。だけど絵描きさ
んを主人公にした漫画はお初でした。

嫌いな奴にはつっけんどん、好きな奴にも素直になれない気難しい、
職人肌の北斎と、そんな親父を仕方ないなぁ...と見守る娘に周囲の
人々...あやしくもおかしいものがたくさん徘徊している江戸の街に、
貧しくてもどっこい生きてる長屋の人間模様...

世の中割り切れるものばかりじゃありません。

そんな当たり前のことをそれぞれが受け入れながら暮らしてく、風
通しの良い長屋的な生き方が、再び見直されてされていくのではな
いかな。人情なんて言葉、聴かなくなって久しいけれど...

北斎の絵師としてのエピソードも盛りだくさん。私が好きなのは娘
が描いた地獄絵の話(『鬼』)。その絵の見事さは、絵の中から鬼や
ら餓鬼やら人魂やらが飛び出してくるほど。娘が描いたそんな危な
い絵に落とし前をつける親父の北斎、格好いいのだな...

あとは『人斬り』。道端で転んだ北斎はそのまま犬の視点で街を観
察し、屋根にあがっては鳥の視線で街を観察する、それを居候の
絵描き見習いに講釈するところが何とも言えません。

作者は杉浦日向子さん。昨年、四十六歳の若さで亡くなりました。
こういう大人の漫画を描ける人って少ないのではないかな。他の作
品も読んでみようと思います。

百日紅(上)
百日紅(下)

コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
Unknown (遊行七恵)
2006-10-01 23:24:12
わたしも大好きです。

百日紅と百物語はどこからでも・何度でも読み返します。

上村一夫、石森章太郎らが北斎父娘とその周辺を描いてますが、杉浦さんのが一番好ましいです。



江戸の実生活を感じたのは、やはり杉浦マンガでした。なにより言葉が江戸言葉だ、と感じました。
 
 
 
Unknown (lysander)
2006-10-02 00:09:18
遊行七恵さん

こんばんは



コメントありがとうございます。



杉浦日向子さんの作品を知ったことは、今年の収穫のひとつだと思います。



> 江戸の実生活を感じたのは、やはり杉浦マンガでした。

> なにより言葉が江戸言葉だ、と感じました。

なんかいいですよね。





最近、『美しい日本』なんてことが言われていますが、そんな大層な言葉を

使わなくても、北斎の時代の暮らし方なんて、ひとつのモデルになるのでは

ないのかなぁ...なんて思ったりもしています。
 
 
 
トラックバックありがとうございます (一村雨)
2007-02-22 06:05:37
私も「鬼」がいちばんでした。
優れた才能の持ち主のお栄。さらにそれ以上の
父北斎の見事なさばき方。う~んと、うなって
しまいました。
 
 
 
Re: トラックバックありがとうございます (lysander)
2007-02-24 09:18:48
一村雨さん

コメントありがとうございました。
『鬼』の北斎は格好いいですよね。
再読したくなってきてしまいました。
 
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