美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




久々に森山大道と荒木経惟の作品を観てきました。会場の一階は前
半が昨年八月に新宿で撮られた新作、後半は新宿を巡る旧作。二階
にあがると八月の撮影風景を追ったビデオと野村佐紀子撮影の写真。
そしてアラキネマと森山大道のドキュメンタリー映画の上映と盛り
だくさんの内容です。

特に撮影風景のビデオはとても面白い。三面スクリーンの中央は二
人一緒で、左面は森山一人、右面は荒木一人と、それぞれの個性を
よく捉えた映像でした。

荒木は自己主張しながら積極的に前に出て行くスタイルです。通行
人の若者ともすぐに仲良くなります。中型のでかいカメラを振り回
しながら、あの甲高い声で『はいっ!』とか『よしっ!』とか言い
ながらがつがつ撮影します。

一方、森山はリコーの小さいカメラをメインにしながら寡黙に淡々
と撮影します。荒木がちょっかい出している女の子を一歩引いたと
ころからパチリとやったり、荒木が通りの真ん中をがしがし歩いて
いくのに対して道端のショーウィンドウをパチリとやったり、その
撮影風景は対照的です。

展示の前半はその際に写された作品です。荒木がカラーなら森山は
モノクロ。荒木がライブな新宿を写せば、森山は変わらぬ新宿を捉
えています。特に森山のイメージで埋め尽くされた部屋は圧倒的な
迫力でした。

次にアラーキーの旧作が並ぶのですが、風俗系が多くて、新宿なの
かもしれないけれど、う~んという感じ。途中、『Aの愛人』や
『TOKYO NUDE』は好きなのですが、新宿なのかなぁ...

と少し消化不良で進んでいくと、後半の大きな部屋に『東京は、秋』
のイメージが...やっぱりしびれます。今はすっかりきれいになって
いる新宿駅南口が雑然としていた頃のイメージや、都電の線路が残
っていたゴールデン街の昔の風景...
この作品集は奥さんの陽子さんとの共著です。横長でコンパクトで
装丁が美しいおすすめの本です。

その他『東京物語』や『冬へ』のイメージも久しぶりに思い出しま
した。

一方、森山の昔の作品はすごく刺々しています。時代の緊張した雰
囲気がひしひしと伝わってきます。白黒でざらりとした触感のイメ
ージはとにかく格好いい。

二階に移ると二人の撮影風景のビデオは前述の通り。野村佐紀子さ
んが二人の撮影風景を追った写真はとてもいい。モデルが超一流の
お二人なのですから詰まらない写真になるわけがありませんよね...

昔から友人が何かを撮ろうとしている時に、横からその姿を撮るこ
とがよくあって、カメラを構える姿がとても好きなのです。ある真
剣さが伝わってくるのだな。

今回のお二人の撮影風景も、その獲物を狙う様子がとても決まって
います。長いキャリアの上に培ったスタイルが感じられました。

そして最後は映像のコーナー。私はアラキネマを観てきました。ピ
アノの伴奏を背景に荒木の写真が流れていきます。カラーの『炎夏』
は生々しすぎて苦手でしたが、ある女性を主人公にしたモノクロの
『冬春』や花の色鮮やかな『花秋』はとても良かった。ちょっと睡
魔に襲われたけれど...また、『≒森山大道』は以前、映画館で観た
ですが、歌舞伎町を写して歩く様は、8月のビデオよりも全然、格
好いいですよ。

森山新宿荒木展は3/21までやっています。

映像コーナーのタイムスケジュールはこんな感じです。
13:00~14:00 アラキネマ『冬春』『炎夏』『花秋』
14:30~15:54 『≒森山大道』
16:30~17:30 アラキネマ『冬春』『炎夏』『花秋』
18:00~19:24 『≒森山大道』
19:30~20:30 アラキネマ『冬春』『炎夏』『花秋』(金、土のみ)

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コメント
 
 
 
新宿! (はろるど)
2005-03-17 22:38:54
lysanderさん、こんばんは。

遅ればせながら私も見てきました。



初めてこのお二方の写真をまとまって拝見したのですけど、

当たり前の話で恐縮ですが、もの凄く写真が上手いですね。

参りました…。



撮影の風景の映像、面白かったですよね。

何から何まで対照的でした…。



*ハンドルネームについてお尋ね下さりありがとうございます。

でも深い意味がないのです…。

ブログ名とHNが同じなのは変かなと思っただけでして…。
 
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